大津市歴史博物館

展示・イベント

   

平成21年度


第49回企画展
戦争と市民
平成21年 7月25日(土)〜8月30日(日)

 大津市は今から60年程前まで、大津連隊区司令部・大津海軍航空隊・滋賀海軍航空隊・陸軍少年飛行兵学校、天虎飛行研究所、比叡山上の特攻基地など、軍の関係施設が設置されていました。本展では、明治8年(1875)の陸軍歩兵第九連隊の設置から説き起こし、第二次世界大戦、さらには戦後の進駐軍時代に至る、大津にとっての戦争の歴史を紹介します。特に、軍事施設のありさまや、「銃後」と呼ばれた内地の市民生活に焦点を当て、その変遷を、残された資料や写真パネルなどによって振り返ります
企画展「戦争と市民」の詳細

リーフレット【PDF】  展示品一覧【PDF】 
大津観光十社寺・湖信会結成50周年記念(第50回企画展)
湖都大津 社寺の名宝
平成21年 10月10日(土)〜11月23日(祝)

 湖都大津には古い神社仏閣が実に多く所在しています。古代には平安貴族が遊山に訪れ、近世は「近江名所図会」などが作られるなど、大津の社寺を観光の眼から見ることは古くから行なわれていました。1958年、大津市内の観光社寺が協力して「湖信会」が結成されました。神社と寺院が観光面で団結して協力することは珍しい試みでしたが、その湖信会が創られて丸50年を迎えました。それを記念して、普段観光として訪れてもなかなか拝観できないこれら観光社寺の名宝を一堂に集めて展示します。
> 企画展「湖都大津 社寺の名宝」の詳細

リーフレット【PDF】  展示品一覧【PDF】 

第51回企画展
元三大師良源−比叡山中興の祖―
平成22年2月27日(土)〜4月18日(日) 

 元三大師・慈恵大師・角大師・豆大師など、いずれも良源を指す呼び名です。平安時代に活躍し、比叡山中興の祖と仰がれる良源(912〜985)は、多くの名称で呼ばれるとおり様々な伝説に彩られ、厚い信仰が今も生きています。本年は、良源が歿して1025年の節目の年にあたります。本企画展は、日本仏教史に大きな足跡を残した良源に関連する作品を紹介し、その業績と元三大師信仰の歴史を概観しようとするものです。
 良源は912年(延喜12年)近江に生まれ、第18代天台座主として、比叡山の堂舎を再興するとともに、広学竪義など教学の振興に努め、山内の綱紀粛正にも尽力した高僧です。良源のもとからは、源信をはじめ多くの弟子たちが育ち、日本仏教の発展に大きく寄与しました。良源は、985年(永観3年)正月三日に歿しているため、元三大師とも呼ばれますが、諡号は慈恵(慧)です。
 良源の偉大な足跡はその後、様々な信仰をうみました。没後しばらくして、大師の肖像が多数制作され、慈恵大師講などの法会が営まれています。また角大師・豆(摩滅)大師などの呼び名で庶民にも親しまれ、降魔の護符として幅広く信仰されました。わが国におけるおみくじの元祖(元三大師百籤)としても著名です。
 本展では、こうした良源への信仰も含めた、全貌を紹介しようとするものです。
企画展「元三大師良源」の詳細

リーフレット【PDF】  展示品一覧【PDF】 




ミニ企画展

第75回ミニ企画展
平成20年度 新指定・新収蔵品展
平成21年 4月21日(火)〜6月14日(日)

 当館では、購入、受託によって収蔵品の充実を行い、常設展示、企画展示に活用しています。今回は、平成20年度に新たに蒐集した資料、新たに大津市の指定文化財となった資料をお披露目します。いずれも大津の歴史を知る貴重な資料です。


第76回ミニ企画展
柴田晩葉 大正日本画 in 大津
平成21年 6月16日(火)〜7月26日(日)

 現代では、知名度が薄れてしまったものの、市内には意外なほど作品が残されていることに驚く画家がいます。本展で取り上げる柴田晩葉(1885‐1944)もそのひとりです。戦前は、大津で書画会を開催し(渡辺公観と共催)、席上で揮毫した扇子画や色紙などが飛ぶように売れたという人気振りでした。
 その彼は、明治18年、大津・新町の教育家の家に生まれました。京都美術学校から京都絵画専門学校に進み、本科研究科を卒業したのち、改めて山元春挙の門に入りました。画壇活動を考慮したのでしょうか。以後、彼に対する評価も順調でした。文部省美術展覧会では、大正元年の第6回展をはじめ、7回、10回、12回に入選を果たし、またサンフランシスコ万国美術展覧会にも選抜されて出品し、銀牌を受賞したほか、同8年には、『現代 滋賀県人物史』にも県下の政財界人にまじって登載、かつ巻頭口絵にも彼の作品が掲載され、堂々たる名士の扱いです。こうしてみると、いかにも時流に乗って成功した画家のように見えますが、作品をみると、とても優しい詩情をただよわせた作品が多いことに気がつきます。本人自身はごく自然体で作画しており、良い意味で師の春挙風とは異なった、感覚的な造形に魅力を発揮した画家なのです。まさに、大正ロマンの時代に活躍した画家といえるでしょう。今回は、大作小品とりまぜて、大正期の晩葉作品を紹介いたします。


第77回ミニ企画展
大津の仏教文化10 西教寺の地獄十王二使者図
平成21年 7月28日(火)〜8月23日(日)

  比叡山では平安時代の恵心僧都源信(えしんそうずげんしん)以降、極楽往生思想とともに六道輪廻(ろくどうりんね)の思想の中心地として多くの地獄図や十王図が描かれました。その比叡山の麓に所在する西教寺は、『眞盛上人往生伝記』に「慈恵大師(じえだいし)経始の道場、恵心先得建立の伽藍」とあり、良源や源信ゆかりの浄土教、念仏の寺院として知られ、多くの宝物が伝来しています。
 今回は、地獄を司る十王と二使者を表す図としては古例に属する西教寺本を十二幅すべてと、地獄思想に関わりの深い、珍しい盂蘭盆経説相図(朝鮮時代・16世紀)を展示します。


第78回ミニ企画展
葛川明王院文書U
平成21年 8月25日(火)〜9月23日(祝)

  重要文化財「葛川明王院文書」は、延暦寺の別院である明王院に伝来した古文書で、平安時代から江戸時代にいたる、4334通の膨大な古文書群です。明王院は、天台回峯行を開いた相応和尚(そうおうかしょう)が、苦行の末、生身(しょうじん)の不動明王を感得した修行の地。毎年行われる「蓮華会」(太鼓回しで知られている)は、相応和尚の修行をたどるもので、聖地としての明王院が今も生きていることを痛感させられる伝統行事です。この古文書群は、葛川に生きる人々の歴史を雄弁に語る貴重な証しで、研究が重ねられてきたのは、鎌倉時代後期の葛川の領域をめぐる伊香立との相論です。ただこの古文書群は、こうした相論文書ばかりで構成されているわけではありません。回峰行に関する行者の活動を語る記録や、仏教の法会にまつわる資料も多く含まれています。今回のミニ企画展では、そうした資料も含めて、幅広い内容を持つ、葛川明王院文書の一端を紹介します。


第79回ミニ企画展
膳所藩主のブレーン・皆川淇園の文人画
平成21年10月27日(火)〜11月29日(日)

  膳所藩主・本多家完に、天明八年(一七八八)に招かれ、藩の教学の振興に尽力した京都の大儒学者、皆川淇園(一七三五〜一八〇七)は、膳所藩校・遵義堂の設立推進者です。淇園は藩主にとっての、藩政の良き諮問相手であったばかりでなく、藩士の学問水準向上や、子弟教育に多大な貢献があり、彼の逝去にあたっては、藩主・本多康禎自らが、淇園の墓碑の碑文に、筆を揮りました。
 現代では、彼の事蹟が取り上げられることは少なく、まして、彼の画事について知る人は殆どいません。しかし、彼の描く文人画は生前、高い評価を得ていました。また、円山応挙や長沢芦雪をはじめとする、当代の一流の絵師たちをはじめ、文化人との多彩な交流でも知られた人物でした。本展では、当時のプロの画人をしのぐ作画を手がけた、知られざる淇園の文人画の世界を紹介します。


第80回ミニ企画展
寅年の絵はがき
平成21年 12月1日(火)〜平成22年1月17日(日)

  今春に開催した「道楽絵はがき」展の展示資料(米谷コレクション)の中から、来年の干支である「寅」の年賀状を中心に展示します。ちなみに、左の年賀状は一休とんち話の見立て。衝立の虎を出せという無理難題に、一休さんがとんちで返すお話をモチーフにしています。虎を画面に描かないのが粋なところでしょうか。このように、大正・昭和のコレクターたちが、年賀状交換会のために知恵を絞った木版年賀状の数々から、当時の趣味家たちの洒落や見立ての世界を存分にお楽しみください。ご覧いただければ、みなさんの年賀状作りにきっと刺激を与えてくれることでしょう。


第81回ミニ企画展
古文書を楽しむ
平成22年 1月19日(火)〜3月7日(日)

  和紙に墨で、ミミズが這ったような文字が書かれた文書が、旧家の土蔵などに保管(放置?)されていることがよくあります。何が書いてあるのかさっぱり分からない。また、上向きか下向きかも分からない。虫が食べたような穴もある。捨ててしまおうか・・。これが古文書の悲しい運命です。でも、そんな古文書も、昔の人が書き残した立派な歴史の情報なのです。捨てる前に歴史博物館にお持ちいただくのも一つの方法ですが、ちょっと勉強されて、古文書の文字の解読に挑戦してみられませんか。古文書解読の講座は、各地の博物館で開催していますが、今回のミニ企画展では、古文書の解読の方法も盛り込んだ、親しみやすい展示にしようと、現在担当者は頭をひねっている最中です。古文書解読の楽しさや基礎を、現物の古文書を使って紹介します。乞うご期待。


第82回ミニ企画展
大津の遺跡シリーズ8 上仰木遺跡
平成22年 3月9日(火)〜4月25日(日)

  大津市仰木にある上仰木遺跡は、平安時代と室町時代を中心とした遺跡です。御所の山で発見された屋敷跡からは多量の土器類や漆器などが出土し、有力者の邸宅跡とみられます。
 平安時代の堀跡から出土した墨画土器は、皿をカンバスにみたて、僧や長刀、女性の顔や姿などを描いています。写真の女性の顔はその一つで、整った構図に、手慣れた筆使いが窺えるものと、稚拙にみえるものとが、上下に描かれています。師匠のお手本を見ながら弟子が練習していたのでしょうか。また、上仰木遺跡からは多くの中国産陶磁器が出土したことも特筆されます。質の高い青磁や白磁の類に加えて、磁州窯系の陶器類なども出土しました。緑釉白地掻落梅瓶(りょくゆうしろじかきおとしめいぴん)は大英博物館所蔵のものと同工品といえるもので、わが国の遺跡ではきわめて珍しい出土品です。
 今回の展示では、これら御所の山に眠っていた邸宅からの出土品について紹介します。