大津市歴史博物館

展示・イベント

平成23年度-れきはく講座-

企画展「柴田晩葉」関連講座(第487回れきはく講座)
柴田晩葉と大正日本画界
講師:島田 康寛(立命館大学先端総合学術研究科教授)

平成23年4月9日(土) 14:00〜15:30

 柴田晩葉の活躍した大正時代は、個性的な表現を試みる画家、自然への回帰を目指す画家、退廃的な世界を描く画家など、様々な画家が京都画壇において輩出しました。柴田晩葉の世界とあわせて、当時の大正日本画の世界を概観します。

第488回れきはく講座
《現地見学会》山王曼荼羅めぐり
講師:和田光生、寺島典人(本館学芸員)、坂本の歴史を語る会会員他

平成23年4月12日(火) 徒歩1日コース

 山王祭の時、所蔵の山王曼荼羅を個人宅に祀る伝統は、坂本に伝えられた貴重な風俗で、日吉大社・延暦寺との深い結びつきが、このような習俗を生んだといえます。今回は、山王祭「午の神事」の日である、4月12日に、家々に山王曼荼羅が祀られている様子を見学します。※開催曜日にご注意ください。土曜日ではありません。

第489回れきはく講座
大津事件の真相に迫る
講師:樋爪 修(本館学芸員)

平成23年4月30日(土) 14:00〜15:30

 事件発生から大審院判決までの17日間、政府と司法の間ですさまじい駆け引きがなされました。その過程で、青木外務大臣と駐日ロシア公使との間に交わされた「密約」が明らかにされたのです。学会でもいまだに「謎」とされている、この密約問題を資料によって分析するなかで、あらためて、大津事件の真相に迫ります。

第490回れきはく講座
《現地見学会》琵琶湖疏水を歩く
講師:樋爪 修(本館学芸員)

平成23年5月14日(火) 徒歩1日コース

 明治23年(1890)に完成した琵琶湖疏水は、日本の近代化に大きな役割を果たしました。今回、大津三保ヶ崎の取水口から京都市山科区の第三トンネル入口まで疏水を踏査し、沿線の史跡を見学します。
【コース(予定)】
 三保ヶ崎取水口−小関越えの疏水竪坑−四ノ宮舟溜り−トンネル出入口の扁額−日本最初の鉄筋コンクリート橋

第491回れきはく講座
朝鮮通信使応接記録を読む
講師:伊東 宗裕(京都市歴史資料館員)

平成23年5月21日(土) 14:00〜15:30

 延享5年(1748)に来日した朝鮮通信使は、大坂(現、大阪)から淀川をさかのぼり淀城下(現、京都市伏見区)で上陸。ここで淀藩の接待を受けたあと、京都へ向かって出発しました。その通信使一行を迎えた淀藩士のなかに渡辺善右衛門という好奇心いっぱいの侍がいました。今回は彼が記録した「朝鮮人来聘記」他の、一風かわった通信使応接記録を読んでみたいと思います。

第492回れきはく講座
かつて神罰は下ったのか!?−近江の起請文・鉄火裁判−
講師:高島 幸次(大阪大学招聘教授)

平成23年6月4日(土) 14:00〜15:30

 戦国・江戸初期の村々は、共同体において重要な約束を行なう場合、護符の裏面に起請の内容を記し、背いた場合には甘んじて神罰を受けることを誓いました。また、他村との争論に際しては、両村の代表者が精進潔斎の後に灼熱の鉄棒を握り、火傷の具合によって正邪を決したといいます。現代では、法的効力のある契約書を交わしたり、裁判で決着をつけたりすることが、かつては神判に委ねられたのです。我が国の最先進地域であった近江には、数多くの関係史料が伝えられています。果たして、邪悪な者には、本当に神罰が下ったのでしょうか。それとも…

ミニ企画展「横井金谷」関連講座(第493回れきはく講座)
坂本の奇人・横井金谷−奇行の紀行−
講師:横谷 賢一郎(本館学芸員)

平成23年6月11日(土) 14:00〜15:30

 文人画家・横井金谷は、元気と無邪気のカタマリのような奇人・破戒僧でした。行動力に満ちた、その生き様は、時に奔放無謀、時に勤勉刻苦、と極端で、晩年まで諸国の遊歴・定住を繰り返しました。彼は自らのエピソードを面白おかしく『金谷上人御一代記』に仕立てましたが、今回は担当者の視点で「御一代記」エピソードをいくつか紹介します。

第494回れきはく講座
円珍像と良源像−山門・寺門を護る祖師−
講師:寺島 典人(本館学芸員)

平成23年6月18日(土) 14:00〜15:30

 比叡山延暦寺の慈覚大師円仁の派閥を復活させた良源一派(山門派)と智証大師円珍の門徒(寺門派)は、正暦四年(993)に分裂し、祖師である円珍像と良源像をまつり、それぞれの門流の興隆を願いました。単なる祖師ではない、特別な尊像としての両像の造像の様子をみていきます。

第495回れきはく講座
近江東海道の魅力
講師:八杉 淳(草津市街道交流館 館長)

平成23年7月16日(土) 14:00〜15:30

 江戸時代の東海道。多くの人やものが行き交い、多くの文化や情報の伝達経路としての役割も果たしていました。しかし、鉄道や自動車交通の発達により、江戸時代の街道が忘れ去られつつありましたが、江戸時代の街道の魅力を再発見させてくれたのは、明治以降の芸術家や作家の作品でした。近年は街道を歩く人も増え、かつての街道を活かしたさまざまな取り組みもなされています。近江の東海道と宿場を中心に、街道の様子や宿場のすがたとともに、いまなお残る街道の風景や街道や宿場を活かした取り組みなどについても紹介します。

企画展「地中からの贈りもの」関連講座(第496回れきはく講座)
大津の城と城下町
講師:松尾 信裕(大阪城天守閣館長)

平成23年7月30日(土) 14:00〜15:30

 大津城攻防戦の舞台となった大津城と城下町の構造の復元や、その前身であった坂本城と城下町の構造の復元などを行ない、秀吉の大坂城と城下町や近隣の織豊期城下町の復元案等との比較研究した成果を紹介します。

企画展「地中からの贈りもの」関連講座(第497回れきはく講座)
瀬田橋の戦いと大津宮-「壬申の乱」から見た石山・膳所地域-
講師:松浦 俊和(大津市埋蔵文化財調査センター所長)

平成23年7月31日(日) 14:00〜15:30

  壬申の乱で最後の戦いの場となった瀬田橋の周辺、特に瀬田川西岸の地域には、壬申の乱に関わる伝承地が数多く残っています。また乱に前後する時期の遺跡も数ヵ所確認されています。ここでは、「壬申の乱」から見た石山から膳所にかけての地域の歴史を、いまに残る伝承地や遺跡から分かりやすく紹介します。

ミニ企画展「大津・戦争・市民」関連講座(第498回れきはく講座)
湖国に模擬原爆が落ちた日 滋賀の空襲を追って
講師:水谷 孝信(滋賀県立長浜北星高校社会科教諭)

平成23年8月6日(土) 14:00〜15:30

 昭和20年7月24日朝、東レ石山工場への模擬原爆(パンプキン爆弾)投下は、「ヒロシマ」「ナガサキ」を含む米軍の一連の作戦の7番目の任務であり、それはまた来るべき核戦争時代への秘かな準備でもありました。そして同じこの日から滋賀県は「本土決戦」の前哨戦ともいうべき米機動部隊の艦載機空襲を受けることになります。しかし現在、滋賀県の空襲についての情報量は絶対的に少なく、それゆえ誤った説明も少なくありません。それどころか空襲があったこと自体が忘れ去られていく悲しい現状にあります。今回はこうした戦争体験の風化と平和の失速にささやかながら抵抗し、県内の記録と米軍の資料から、滋賀県の空襲を大津を中心に検証してみたいと思います。
【申込締切】7月27日(水) 【参加料】500円(カード会員250円)申込について    

企画展「地中からの贈りもの」関連講座(第499回れきはく講座)
考古学からみた近江の渡来文化
講師:吉水 眞彦(本館副館長)

平成23年8月13日(土) 14:00〜15:30

  近江は、遣隋使や遣唐使などの対外交渉に任じられた小野妹子や犬上御田鍬(いぬかみのみたすき)をはじめとする小野・犬上氏一族が存在したことが文献史料から知られる地域で、またそれらの氏族の周辺には渡来人の存在もうかがうことができます。一方、琵琶湖周辺に所在する遺跡において、数多くの特異な遺構や遺物が発見され、とくにそれは比叡山東麓地域で集中的に分布しており、それらは渡来文化の影響を色濃く受けた遺跡として注目されています。今回は古墳時代を中心に考古学からみた渡来文化の様相や、どのような性格の渡来人が居住していたかを探ります。
【申込締切】8月3日(水) 【参加料】500円(カード会員250円)申込について

☆れきはく講座500回記念講座☆
壬申の乱と大友皇子‐天智天皇の目指したもの‐
講師:井上 満郎(京都市歴史資料館長・京都産業大学名誉教授)

平成23年8月20日(土) 14:00〜15:30

  大友皇子は弘文天皇のことです。といってもご存じない方が多いと思いますが、明治になってから「即位」した天皇です。天智天皇といういわばスーパーチャンピオンの子として生まれ、その期待をにないながらも、壬申の乱の激動にまきこまれて亡くなった人物でして、その生涯と父天智をめぐって、当時の東アジア世界の国際情勢を考え合わせながら読み説いてみたいと思います。

企画展「神仏います近江−日吉の神と祭」関連講座(第501回れきはく講座)
山王祭の魅力
講師:和田 光生(本館学芸員)

平成23年10月22日(土) 14:00〜15:30

 明治元年の神仏分離令によって、延暦寺との関係が断たれた中でも、山王祭は継承され、現在も盛大な行事が行われています。そこで、江戸時代と明治以降の山王祭を比較することで、その変わらない部分を検討し、脈々と流れる山王祭の魅力を考えてみたいと思います。

企画展「神仏います近江−日吉の神と祭」関連講座(第503回れきはく講座)
神像の姿について
講師:長坂 一郎(東北芸術工科大学芸術学部教授)

平成23年10月29日(土) 14:00〜15:30

 古来より信仰されてきた日本の神は、本来は姿が見えないものでした。だから、ある程度決まりによって姿が定まっている仏像とは違って、神像は様々な姿に表されます。本講座では、仏教や中国の信仰の影響によって造形化された可能性のある、我が国の神像の表現について、最新の成果からわかりやすく説明します。

企画展「神仏います近江−日吉の神と祭」関連講座(第504回れきはく講座)
公開討論会「山王祭について語る」
講師:嵯峨井 建(下鴨神社禰宜)・山口幸次(『日吉山王祭』著者)・和田 光生(本館学芸員)

平成23年11月5日(土) 14:00〜15:30

 山王祭は、湖国を代表する春祭として盛大に行われています。三月の御輿上げに始まり約一か月半に及ぶ長期間で、大規模な祭礼です。その中身を知り尽くした山口氏を迎え、華やかな祭りを支える人々の姿や、見落としてしまいそうな行事の細部などを紹介いただきます。また、嵯峨井先生には、神職の立場から見た山王祭の魅力を語っていただきます。鼎談という形で、山王祭にまつわる様々なお話が飛び交う予定です。

第505・506・507回れきはく講座
古文書入門〜はじめの第一歩!!〜【3回連続講座】
講師:高橋大樹(本館学芸員)

平成23年12月3日(土)・10日(土)・17日(土) 14:00〜15:30

 古文書ってくずれた字ばかりで難しそうにみえるかもしれません。ですが、そこに何が書かれているか興味のある方も多いはず。本講座では、大津に伝来した戦国時代から明治時代の古文書を使って、皆さんと一緒に読み解く《超》入門の講座です。くずし字を読むだけでなく、古文書に秘められた過去のドラマもひも解きます。またあわせて博物館などで展示される古文書の鑑賞ポイントもご紹介します。

ミニ企画展関連講座(第508回れきはく講座)
西教寺の聖教
講師:宇都宮 啓吾(大阪大谷大学教授)

平成24年1月21日(土) 14:00〜15:30

 西教寺(天台真盛宗総本山戒光山兼法勝西教寺)には、古代から近世に亘る様々な書籍(聖教)が所蔵され、これらは天台系聖教の中でも三大コレクションの一つとして有名です。そこで、これらの中から、「おおっ!」というものを紹介しつつ、「西教寺にある」ことの意味や西教寺の歴史や文化との関わりについてお話しします。

ミニ企画展関連講座(第509回れきはく講座)
西教寺の仏像
講師:寺島 典人(本館学芸員)

平成24年2月4日(土) 14:00〜15:30

 天台真盛宗総本山西教寺には、重要文化財に指定されているものをはじめとして多くの仏像が伝来しています。特に、昨年夏に当館の調査で新発見された「木造阿弥陀如来及び両脇侍像」は、快慶の一番弟子の行快作の像として注目を集めています。今回はこの像を中心にして西教寺に現存する仏像を紹介します。

ミニ企画展関連講座(第510回れきはく講座)
霊験は時空を超えて 〜三国伝来のほとけたち
講師:松岡 久美子(龍谷大学龍谷ミュージアム講師)

平成24年2月11日(土) 14:00〜15:30

 長野・善光寺の本尊をはじめ、釈尊在世中からの霊験を伝える仏像には、しばしば「分身」と称される模像が造られました。単なる複製とは異なるこれらの像が、どのような信仰のもと生み出されたのかを紹介します。

第511回れきはく講座
傘連判の世界
講師:高島 幸次(大阪大学招聘教授)

平成24年2月18日(土) 14:00〜15:30

 傘連判状(からかされんぱんじょう)って、ご存じでしょうか。多人数が丸く放射状に署名する、あの連判状のことです。我が国では、中世・近世から近代初頭にかけて、近江を含む全国各地に、百数十点が伝えられています(朝鮮半島でも見つかっています)。どうして、こんな質面倒臭い形式にしたのでしょう。通常の一列連判では駄目だったのでしょうか。「首謀者を隠すため?」「連帯を強めるため?」たしかに高校の教科書や概説書などでは、そのように説明しています。しかし、それは間違いです!
  本当はね、なんと…いやいや、衝撃の正解は、当日のお楽しみにしておきましょう。

企画展「車石」記念講演会(第513回れきはく講座)
車石の謎に迫る!!トークバトル
講師:樋爪修(本館館長)&車石・車道研究会

平成24年3月3日(土) 14:00〜15:30

 車石(くるまいし)って一体全体なんのこと?いつ、誰が、何の目的で工事をしたの?車石についている車輪の跡(轍・わだち)は最初から彫られていたの?江戸時代から車道と歩道が分けられていたなんて信じられない!そんな疑問をお持ちの方には是非とも受講をお奨めします。車石に秘められた謎が、この日、明かされます。

企画展「車石」記念講座(第514回れきはく講座)
車石を探しに行こう−東海道@【現地見学会】
講師:樋爪修(本館館長)&車石・車道研究会

平成24年3月18日(日) 午後半日コース

 車石は江戸時代、牛車の車輪の幅に合わせて、東海道の大津・京都間などに2列(1車線)に敷かれていましたが、明治以降の工事により撤去され、庭石とか民家の石垣などに転用されました。そのため、今も東海道を歩くと、各所に車石が残されています。今回は東海道の大津札の辻から追分まで、車石発見のツアーを実施します。

企画展「車石」記念講座(第515回れきはく講座)
日岡峠の道路改修事業と木食正禅
講師:安田 真紀子(奈良大学非常勤講師)

平成24年3月24日(土) 14:00〜15:30

 江戸時代、京都・大津間の東海道筋では、4度にわたり道路改修工事が実施されています。なかでも、元文年間(1736〜41)に行われた日岡峠の道路改修は、木食僧主導によって工事が進められた点で特異であり、文書が多く残されていることから、当時の京津間の道路状況を知る手がかりとしてたいへん興味深いものがあります。今回は、木食正禅の道路改修事業に関わる史料を紹介しながら、工事前の道路状況や実施された工法などを検証し、車道の実態や車石の起源について考えてみます。

企画展「車石」記念講座(第516回れきはく講座)
車石を探しに行こう−東海道A【現地見学会】
講師:樋爪修(本館館長)&車石・車道研究会

平成24年3月25日(日) 午後半日コース

 車石発見ツアーの第2弾は、山科から蹴上(けあげ)方面まで歩き、沿道の史跡や車石を見学します。このコースには、江戸時代の旅人や、荷車を曳く牛たちも汗を流した難所の日ノ岡峠が含まれています。ちょっとハードですが、昔の旅人の気分にひたれることは請けあいます。