大津市歴史博物館

展示・イベント

平成24年度-れきはく講座-

企画展「車石」記念講座(第517回れきはく講座)
車石を探しに行こう−竹田街道【現地見学会】
講師:樋爪修(本館館長)&車石・車道研究会

平成24年4月14日(土) 午後半日コース

 竹田街道は、JR京都駅付近の東洞院塩小路から伏見まで通じる南北路で、江戸時代は伏見街道や鳥羽街道とともに、旅人の通行や物資の運搬に主要な役割を担っていました。車石は、東海道の大津・京都間だけではなく、この竹田街道と鳥羽街道にも敷かれていたのです。今回は京都駅近辺と近鉄竹田駅周辺の史跡や車石を見学します。なお途中、京都駅から竹田駅まで地下鉄線(近鉄線)を利用しますので、その間の交通費が、参加費の他に必要となります。

第518回れきはく講座
大津絵大図解
講師:横谷 賢一郎(本館学芸員)

平成24年4月21日(土) 14:00〜15:30

 大津絵には、最盛期で110種あまりの画題(テーマ)がありました。それら数多くの画題も淘汰されて、現在では作品の確認できない画題や、殆ど忘れ去られてしまった画題もあります。それらも含め、かつての大津絵が繰り広げた江戸時代気質の風刺や教訓、諧謔の世界を紹介しつつ、図像の解説および、画題の背景について触れていきます。

第519回れきはく講座
大津絵師の仕事について
講師:高橋 松山(大津絵師 四代目松山)

平成24年4月28日(土) 14:00〜15:30

 大津絵は、屈託のない表現が魅力的な民間絵師の絵画作品ですが、実態としては街道の土産物でした。即ち、店内で、旅路を急ぐ客のリクエストにスピーディーに対応し、お好みの作品を描き上げて手渡す商品だったのです。そのため、大津絵独自の様々な工夫を用いています。逆に、大津絵独自の作風の魅力は、その工夫によって生み出されていました。本講座では、その江戸時代ゆかりの伝統的な工夫について、制作者の立場から、大津絵独自の描き方を中心に解説します。

第520回れきはく講座
道の名前と近江学
講師:水本 邦彦(長浜バイオ大学教授)

平成24年5月26日(土) 14:00〜15:30

 近江は道の国でした。東海道、中山道といった主要街道のほか、多数の道が縦横に走り、各地を結んでいました。そして、それぞれには伊勢道、京道、北国街道、安土道などローカルな名前が付けられていました。本講座ではそうした「道の名前」に着目しながら、江戸時代を中心に近江の歴史文化について考えます。

第521回れきはく講座
古代日本の都1 飛鳥から藤原京へ
講師:相原 嘉之(明日香村教育委員会文化財保護課調整員)

平成24年6月3日(日) 14:00〜15:30

 6世紀末から7世紀後半まで飛鳥の地(現在の奈良県高市郡明日香村)に営まれた斉明天皇の後飛鳥岡本宮や天武天皇の飛鳥浄御原宮、そして694年に遷都された古代最大の都・藤原京について、「倭国」から「日本国」誕生までのこの時期の都を最近の発掘調査成果をもとにその規模や構造を検討します。

第522回れきはく講座
古代日本の都2 難波宮・京を検証する
講師:積山 洋(大阪歴史博物館課長代理)

平成24年6月9日(土) 14:00〜15:30

 645年、孝徳天皇が難波長柄豊崎宮に遷都し、宮殿は652年に完成した前期難波宮。また683年には天武天皇が複都制の詔により飛鳥とともに難波を都としました。そして奈良時代の726年、聖武天皇が難波京を造営し平城京の複都としました。後期難波宮です。いずれも大阪城の南西、現在の大阪市中央区に所在します。発掘データ等からその実態に迫ります。

第523回れきはく講座
古代日本の都3 近江大津宮を再検討する
黒崎 直(大阪府立弥生文化博物館館長)

平成24年6月17日(日) 14:00〜15:30

 天智天皇が都とした近江大津宮。発掘調査でどこまで明らかになったのでしょうか?周辺寺院や京域の存在も含めて、その構造を再検討します。

第524回れきはく講座
古代日本の都4 近江大津宮と周辺寺院を訪ねて【現地説明会】
吉水 眞彦(本館学芸員)

平成24年6月24日(日) 午後半日コース

 天智天皇の近江大津宮跡(現在の大津市錦織地区所在)の実態や、その北方に造営された南滋賀廃寺、さらには大津宮の西北、滋賀里山中に造られた崇福寺跡などの現地を訪れ、それらの規模や構造を検証します。

第525回れきはく講座
古代日本の都5 平城京の歴史的意義を考える
黒崎 直(大阪府立弥生文化博物館館長)

平成24年7月14日(土) 14:00〜15:30

 奈良時代、唐の長安城を模したとされる奈良・平城京。発掘調査で明らかになったその様子と、なぜ平城京が造られたのか?その歴史的意義を考えます。

第526回れきはく講座
古代日本の都6 紫香楽宮・恭仁宮・保良宮
小笠原 好彦(滋賀大学名誉教授)

平成24年7月22日(日) 14:00〜15:30

 奈良時代、聖武天皇が営んだ紫香楽宮(甲賀市所在)や恭仁宮(京都府木津川市所在)、そして淳仁天皇が営んだ保良宮(大津市石山付近所在と推定)など、複都や離宮とも解釈される宮について歴史的性格とその実態を考えます。

第527回れきはく講座
古代日本の都7 長岡京から平安京へ
小笠原 好彦(滋賀大学名誉教授)

平成24年7月28日(土) 14:00〜15:30

 奈良時代末から平安時代にかけて桓武天皇の勅願により、都は平城京から長岡京(現在の京都府向日市や長岡京市に所在)へ遷都しました。その後の794(延暦13)年には平安京(京都市の中心部)へと遷ります。それぞれの都のようすについて、発掘データや文献史料などから歴史的意義を考えます。

第528回れきはく講座(ミニ企画展関連講座)
シベリア抑留を語り継ぐために
樋爪 修(本館館長・学芸員)

平成24年8月4日(土) 14:00〜15:30

 シベリア抑留から生還した人々が残された体験記録や、体験者へのインタビューで判明した当時の悲惨な状況を、後世に語り継ぐことを目的として開催する講座です。受講される方々とともに「平和」について考える場にしたいと思っています。

    
第529回れきはく講座(ミニ企画展関連講座)
大津百艘船と彦根三湊−百艘船敗北の理由−
杉江 進(大津市教育委員会文化財保護課参事)

平成24年9月1日(土) 14:00〜15:30

 近世、大津湊では、百艘船に特権が認められており、大津に繁栄をもたらしていました。しかし、この特権をめぐって、彦根三湊との相論が起こり、享保5年(1720)、彦根側の主張が認められます。大津に打撃を与えた相論の経緯を再検討します。

    
第530回れきはく講座(ミニ企画展関連講座)
琵琶湖の近代−蒸気船から観光船へ−
和田 光生(本館学芸員)

平成24年9月8日(土) 14:00〜15:30

 明治2年(1869)蒸気船「一番丸」が就航し、琵琶湖に近代化の波が訪れ、以後、たくさんの蒸気船が浮かびます。しかし、明治22年(1889)東海道線が全通し、琵琶湖は物資運搬の役割を終え、観光の湖へと移り変わります。こうした近代の変化を紹介します。

    
第531回れきはく講座【現地見学会】
葛川明王院とその周辺を訪ねて
和田 光生(本館学芸員)

平成24年9月29日(土) 1日バスコース(10時〜16時)

 大津市葛川坊村町に所在する明王院は、天台回峰行をはじめた平安時代の僧、相応和尚によって開かれました。若き日の相応和尚は、修行の地を求めて比良山中にわけいり、三ノ滝で不動明王を感得したと伝えられており、現在も聖地として大切に守られています。今回は、明王院やその周辺をじっくり見学し、霊場葛川の歴史に触れる予定です。(山道を歩きます)

    
第532回れきはく講座(ミニ企画展関連講座)
土偶(どぐう)
瀬口 眞司(財団法人 滋賀県文化財保護協会)

平成24年10月7日(日) 14:00〜15:30

 一昨年の2010年5月、縄文時代草創期(今から約1万3000年前)の国内最古級の土偶が、東近江市相(あい)谷(たに)熊原(くまはら)遺跡(いせき)で発見されました。高さ3pほどと小さいながらも、女性の特徴である胸の豊かな膨らみや、腰のくびれなどが強調されていました。土偶は他にも大津市穴太遺跡や滋賀里遺跡など滋賀県内から10数点が出土しています。「子孫繁栄」「食生活の安定」に対する強い願いなどを土偶に託したとされる意見が多いなかで、その制作意図や縄文時代の世界感の変化について考えます。

    
第533回れきはく講座(ミニ企画展関連講座)
近江最古の石器の登場―ナイフ形石器からマイクロコアへ―
鈴木 康二(財団法人 滋賀県文化財保護協会)

平成24年10月13日(土) 14:00〜15:30

 今から約2万6000年前から1万4000年前の後期旧石器時代、琵琶湖の周辺にヒトは棲んでいたのでしょうか。考古学的調査によって、琵琶湖の南湖周辺に立地する大津市瀬田惣山遺跡、中路遺跡、田上関津遺跡、北部の真野遺跡などからナイフ形石器や角錐状石器、カミソリのような細石刃(マイクロコア)が集中して出土しています。旧石器と呼ばれるこれらの石器の登場の意義を考えます。

    
第534回れきはく講座(企画展関連講座)
快慶作阿弥陀如来立像の模刻について
吉水 快聞(彫刻家・工房巧匠堂代表)

平成24年10月20日(土) 14:00〜15:30

 運慶と並ぶ我が国を代表する仏師で、特に阿弥陀如来立像を得意とした快慶。彼があみだした「安阿弥様」の阿弥陀如来は、現代にいたるまで浄土系寺院本尊のスタンダードとなりました。今回は快慶作の阿弥陀如来立像を実際に模刻することによって得られた、造り方や工房の様子、仏師の考え方などをお話しします。

    
第535回れきはく講座(企画展関連講座)
描かれた高僧の生涯−法然・親鸞・蓮如の絵伝−
村松 加奈子(龍谷ミュージアムリサーチ・アシスタント)

平成24年10月27日(土) 14:00〜15:30

 我が国には高僧の生涯を描いた絵巻物や絵伝図がたくさんあります。そのなかでも、メジャーなものの一つが「法然上人絵伝」や「親鸞聖人絵伝」です。また、大津の等正寺には珍しい「蓮如上人絵伝」が伝わっています。講座では、これらの高僧の生涯を絵伝に沿って説明し、伝説化された祖師の姿を見て行きます。

    
第536回れきはく講座【現地見学会】
百町の襖絵
横谷 賢一郎(本館学芸員)

平成24年11月10日(土) 午後半日コース

 大津百町内において、襖絵(障壁画)を所蔵している寺院を巡ります。いずれも、普段は一般公開をしていない寺院です。桃山時代の枯淡秀麗な花鳥画から、大正時代のダイナミックな臨場感をみせる雲竜図にいたる、パノラマ絵画さながらに囲まれた寺院の室内の空間を観賞し、学芸員が解説します。
  園城寺光浄院(狩野派による桃山時代の客殿襖絵)
  青龍寺(本堂の柴田晩葉雲龍図・唐獅子図・耕作図襖絵)
  大津別院(門主謁見の間の狩野派の襖絵)

    
第537回れきはく講座(企画展関連講座)
木戸安養寺・絹本著色阿弥陀来迎図の修復と模写について
坂田墨珠堂

平成24年11月17日(土) 14:00〜15:30

 大津市木戸の浄土宗寺院、安養寺には、頭髪部に実際の毛髪を植毛することでリアルに表している珍しい阿弥陀来迎図が伝わっています。この度修復が行われ、さらに原寸大の復元模写もつくられ、造立当初の姿をわかりやすくみることができます。講座では、これらの作業工程に触れ、南北朝時代の当初の技法について見て行きます。

    
第538回れきはく講座(企画展関連講座)
大津市現存の阿弥陀如来像−新発見像を中心に−
寺島 典人(本館学芸員)

平成24年11月24日(土) 14:00〜15:30

 今回の展覧会準備で、市内の浄土系寺院を調査したところ、今まで未確認の平安・鎌倉時代の阿弥陀如来像が数多くあることがわかりました。講座では文化財的に眠りから覚めた、歴博しか知らないそれらの像を紹介し、あらためて大津の仏教文化の豊潤さを感じていただきます。

    
第539・540・541回れきはく講座
古文書講座〔初級〕−大津百町の古文書を読む−
高橋 大樹(本館学芸員)

平成24年12月1・8・15日(土)〔3回連続講座〕 14:00〜15:30

 大津の中心市街地「大津百町」の歴史は、古く400年前にさかのぼります。本講座では、みなさんと一緒に大津町に残る古文書を読み解きながら、その歴史の歩みを考えたいと思います。初めて古文書を読む方、読みたい方へ、古文書をみるポイントや方法もお伝えします。ベテランの方も今一度、初心にかえって挑戦してみてください。

    
第542回れきはく講座
大津の明治天皇史蹟碑 聖蹟碑をたずねる
伊東 宗裕(京都市歴史資料館)

平成25年2月2日(土) 14:00〜15:30

 天皇が行幸した所を戦前は聖蹟とよんでいました。とくに明治天皇の聖蹟は全国で競うように保存され碑が建てられています。その碑は現在も数多く残されていますが,何のために建てられたのかあまり知られていません。2012年は明治天皇没後百年だったのですが,これらの碑はあまり世間の注目をあびることはなかったようです。今回は大津の聖蹟碑に焦点をあて,建てられた意味をさぐります。

    
第543回れきはく講座
古墳の形からみた近江の古墳時代−方から円へ−
田中 勝弘(元安土城考古博物館学芸課長)

平成25年2月16日(土) 14:00〜15:30

 古墳は3世紀中葉から7世紀まで日本列島に築かれました。岩手県から鹿児島県まで造営された5200基もの前方後円墳をはじめ、前方後方墳・円墳・方墳など様々なかたちの古墳がみられます。これらを題材に近江の古墳時代社会や文化の特徴について、また、東アジアや大和王権と、どの様なつながりがあったのかをみていきます。

    
第545回れきはく講座
近世大津町絵図を読む
大場 修(京都府立大学生命環境学部教授)

平成25年3月9日(土) 14:00〜15:30

 近世の町絵図からどのようなことがわかるのか。近世大津町を中心に、町の成り立ちや町構成、景観、さらには不動産取引の実態とそれによる町の変化や地価の変動など、絵図史料に即してわかりやすく解説します。

    
第546回れきはく講座
大津百町の寺院を巡る〔現地見学会〕
寺島 典人(本館学芸員)

平成25年3月14日(木) 14:00〜15:30

 大津百町には、実に多くの寺院が所在しています。今回は江戸時代の古絵図を見ながら、信仰に支えられていまなお残るお寺を巡ります。<健脚向き>

    
第547回れきはく講座
大津百町シンポジウム
脇田 健一(龍谷大学社会学部教授)、柴山 直子(有限会社柴山建築研究所)、樋爪 修(本館館長、学芸員)

平成25年3月23日(土) 14:00〜16:00

 「大津百町」と呼ばれる大津の中心市街地には、様々な歴史の魅力があります。現在、本市においても活性化に向けた諸事業が模索されていますが、市民グループや大学でも魅力の発掘や将来への伝承を見すえた活動が行なわれています。本シンポジウムでは本館館長の樋爪が百町の歴史を、龍谷大学の脇田教授から学生たちが地域の人々と共同で地域の課題に取り組む「大津エンパワネット」の活動を、柴山氏からは、登録文化財など町家の調査で得られた成果を、それぞれ紹介し、その後、大津百町の現状と未来像などについて語り合います。

    
第548回れきはく講座
かつての湖岸ラインを探る〔現地見学会〕
樋爪 修(本館館長、学芸員)

平成25年3月30日(土) 13:00〜17:00

 大津の湖岸埋め立ては、戦後の高度経済成長に従って、順次実施されました。埋め立て以前の陸地と琵琶湖の境には石垣が積まれていましたが、なんと、その石垣の痕跡が今も各所に残されているのです。見学会では、浜大津周辺から膳所方面まで歩き、残された石垣を紹介します。ちょっとマニアックな見学会になります。