大津市歴史博物館

お知らせ

第37回ミニ企画展
大津の仏教文化4‐密教図像‐
平成16年1月6日(火)〜2月15日(日)

概要

 ミニ企画展「大津の仏教文化」展は、当館が所蔵する仏教美術の資料と、大津市内に所在する各寺院の調査結果を踏まえ、そこに伝来する仏教美術を展示することにより、その豊な仏教文化を広く市民に紹介しようとするものです。

 今回は、密教図像をテーマに、市内に伝存する台密(天台密教)・東密(真言密教)の図像を紹介します。図像は、インドや西域などから中国や日本に仏教が伝来する場合に、仏像の像容を伝える手段の一つとして発達したもので、特に密教でその奥義を師資相伝する場合などに重要視され、密教系のものが数多く伝存していることなどから、特に「密教図像」と呼ばれます。とりわけ、空海や円仁、円珍、宗叡などのいわゆる入唐八家が膨大な数の密教図像を我が国に請来したことは有名で、そのうち園城寺の五部心観(国宝)などが今でも現存しています。これらは後世に学僧などによって書写され、原本が失われた後もその写本により当初の内容を伺うことが出来ます。平安後期になると、これら図像研究が進み、特に東密で図像集の編集が盛んになり、著名なものとしては「図像抄」「覚禅抄」「別尊雑記」などが知られています。また、台密ではやや遅れて鎌倉時代に「阿娑縛抄」が編さんされています。実際の仏像の造像とこれらの図像の学問的成果は密接な関係を有しており、それぞれ影響を与えていました。

 本展では、天台密教最大の図像集「阿娑縛抄」の、代表的な写本である延暦寺の天海蔵本、真如蔵本、毘沙門堂本を展示し、さらに、真言系密教図像の宝庫、石山寺校倉聖教の中から不動明王の図像を紹介し、難解で深遠な密教図像の魅力の一端に迫ります。


おもな展示作品

1.阿娑縛抄(天海蔵) 79巻のうち6巻  叡山文庫蔵
2.阿娑縛抄(真如蔵) 54冊のうち6冊  叡山文庫蔵
3.阿娑縛抄(毘沙門堂蔵) 75冊のうち5冊 叡山文庫蔵
4.重要文化財 不動御面 仁安二年 朗澄筆 校倉聖教のうち 一通 石山寺蔵
5.重要文化財 不動三尊像 定智筆 玄朝様 校倉聖教のうち 一鋪 石山寺蔵
6.両界曼荼羅図(金剛界八十一尊形式) 二幅 本館蔵 金剛界(前期)・胎蔵界(後期)
         前期:1月6日(火)〜1月25日(日) 後期:1月27日(火)〜2月15日(日)

企画展インフォメーション

常設展示のチケットでご観覧いただけます。

観覧料 一般210円(160円) 高大生150円(120円) 小中生100円(80円)
※( )内は団体・前売料金。市内在住の65歳以上の方・障害者の方は無料
会場 常設展示室1F ミニ企画展コーナー