山王曼荼羅は、比叡山延暦寺を守護する日吉社の神々の姿を描いたものです。
日吉社は、比叡(日枝)山への信仰からはじまり、天台宗の発展とともに平安時代後期には山王七社とよばれる体制が整います。その後、中七社・下七社を加え、山王二十一社と呼ばれる神々の体系が形成されました。ちなみに日吉社を山王と呼ぶのは、最澄が中国の天台山国清寺の地主神山王元弼(げんひつ)真君にならったものです。
中世の日本仏教は、神仏習合という考えの中で、仏菩薩が衆生済度のため、仮の神の姿となって現れたとする本地垂迹説を生み出します。この考え方に基づいて作成されたのが山王曼荼羅です。山王曼荼羅の図像は、本来の姿である仏菩薩(本地仏)で描いた作品や、神の姿(垂迹形)で描いた作品などが作られました。
本展では、こうした山王曼荼羅の諸相を、多数の初公開作品によって紹介します。また比叡山麓の坂本では、現在も山王曼荼羅を祭る信仰が生きており、その一端も紹介します。
天台を守護する神は山王のみでなく、様々な独自の神を祀ってきました。園城寺で祀られる新羅(しんら)明神は、円珍が仏教を学ぶため中国に渡った帰路に感得したと伝えられる護法神です。このほか、赤山明神や摩多羅神など天台にまつわる神々が天台の教えを護ってきました。これらの神々を描いた作品も紹介します。
山王七社一覧
旧社名 |
現在の社名 | 本地仏 |
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大宮(大比叡) |
西本宮 | 釈迦如来 |
二宮(小比叡) |
東本宮 | 薬師如来 |
聖真子 |
宇佐宮 | 阿弥陀如来 |
八王子 |
牛尾神社 | 千手観音菩薩 |
客人 |
白山姫神社 | 十一面観音菩薩 |
十禅師 |
樹下神社 | 地蔵菩薩 |
三宮 |
三宮神社 | 普賢菩薩 |
大行事像 個人蔵 |
日吉山王垂迹神曼荼羅図・坂本蔵之辻伴 |
日吉山王垂迹神曼荼羅図 西教寺蔵 |
日吉山王本地仏曼荼羅図・坂本悪王子伴 |
滋賀県指定文化財 日吉山王垂迹神曼荼羅図 正源寺蔵 |
重要文化財 日吉山王宮曼荼羅図.大和文華館蔵 |
山王宮曼荼羅図 日吉大社蔵 |
展覧会をより深くご理解いただくため、期間中さまざまな講座を開催いたします。
「渓嵐拾葉集(けいらんしゅうようしゅう)」は延暦寺の僧光宗によって編纂された中世の百科全集ともいえる史料で、仏教教理のみならず当時の様々な思想や歴史の宝庫です。本講座では、その成立や内容についてわかりやすく解説します。
【申込締切】10月4日(水) 【参加料】300円(カード会員150円)
山王曼荼羅(さんのうまんだら)は、日吉社の神々の姿を描いた絵画作品。今までは限られた作品しか知られていませんでしたが、企画展「天台を護る神々」に伴う調査により、多数の作品を再発見することができました。本講座は、新たに見出された作品から山王曼荼羅の図像分析を行う初の試みです。
【申込締切】10月11日(水) 【参加料】200円(カード会員100円)
菅原先生は東洋哲学・日本宗教思想史の研究家で、山王信仰を中心に、わが国の神仏習合に関する多数の著作があります。本講座では、もっともご専門とされている山王信仰について、幅広い知見からご講演をいただきます。
【申込締切】11月1日(水) 【参加料】300円(カード会員150円)
・上記の各講座・教室は事前申込制です。
・ハガキで歴史博物館までお申し込み下さい。
・申込の際には、希望する講座名・郵便番号・住所・氏名・電話番号を必ずお書きください。
・定員を超える場合は抽選となります。
主催 | 大津市・大津市教育委員会・大津市歴史博物館 ・文化庁・京都新聞社・天台宗・比叡山延暦寺・日吉大社 |
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後援 | KBS京都 |
観覧料 | 一般600円(480円) 高大生500円(400円) 小中生200円(160円) ※( )内は団体、前売、市内在住の65歳以上の方・障害者の方の割引料金 |
会場 | 大津市歴史博物館 企画展示室A |
期間中の休館日 | 10月10、16、23、30日 11月6、13日 |
前売券 | 大津市内の各観光案内所、大津市民会館 ローソンチケット、京阪津地区のおもなプレイガイドにて 9月13日から販売 |