大津市歴史博物館

お知らせ

第48回企画展
道楽絵はがき−コレクターたちの粋すぎた世界−
平成21年 3月6日(金)〜4月19日(日)

概要

 大正・昭和のコレクターたちが作った「道楽絵はがき」の世界へようこそ!
 今回ご紹介するのは、大正・昭和にかけて、絵はがきは勿論、郷土玩具・納札・絵馬など、様々なものを蒐集するコレクターたちが交換会を通して製作した、ちょっと変わった木版絵はがきの数々です。
 当時のコレクターたちは、単に物を集めるだけではなく、時には自らが着想した趣味品を制作・頒布し、趣味の世界を存分に楽しんでいました。道楽絵はがきはその絵葉書版です。彼らはコレクターとして、モノの面白さや出来栄えにこだわりました。面白さについては年賀状の干支や宝船といったモチーフにちなんだ洒落や見立てに知恵を絞って愉快な図柄を考案し、出来栄えについては、浮世絵の長谷川貞信やおもちゃ絵の川崎巨泉といった絵師や、彫師、摺師といった木版職人に依頼することでこだわりを示しました。このようにして、普通の図柄には見られない、美しくも面白い道楽絵はがきが作られたのです。
 平成18年、当館に寄贈を受けた米谷徳太郎絵葉書コレクションには、これらの絵はがき約3,500枚が残されています。また、展示では、道楽絵はがきとの他にも、コレクターたちの絵はがき交換会から派生して、童画家の武井武雄が主催し、恩地孝四郎・川上澄夫・関野準一郎などの版画家たちが参加した、創作版画の年賀状交換会「榛の会(はんのかい)」作品もあわせて展示します。
 当時のコレクターたちの趣向を凝らした「道楽絵はがき」の魅力と、絵はがき交換会を通したコレクターたちの交流という、ちょっと粋すぎた趣味の世界から、戦前のオタク趣味ともいうべき、愉快な絵はがきの数々をご堪能ください。


展示解説図録

「道楽絵はがき−コレクターたちの粋すぎた世界−」図録
平成21年発行 B5変形判 80頁 1500円(カード会員:1300円)

展示作品の中から厳選した、約450点の「道楽絵はがき」を収録。また、お買い上げの方には、本展開催のために復刻した、桝岡良作「宝船」(復刻:京都・竹笹堂)の8度摺の木版作品(シート)を特典としてお付けします。

関連の催し物

展覧会をより深くご理解いただくため、期間中さまざまな講座を開催いたします。

大正イマジュリィ学会 全国大会シンポジウム
『イマジュリィ』道楽─収集・交換・生産をめぐって 
司   会:岸文和(同志社大学教授)
パネリスト:木津勝(大津市歴史博物館学芸員)
       橋爪節也(大阪大学総合博物館教授)
       山田俊幸(帝塚山学院大学教授)

平成21年3月7日(土) 13:30〜17:00

【趣旨】
K・ポミアン『コレクション――趣味と好奇心の歴史人類学』によれば、「コレクション」とは、「目の前にある品物」によって「目に見えない何か」を表象する行為であるという。では、名うてのコレクターたちは、どのような品物を、どのような方法で集めることによって、いったい何を表象しようとしたのか。三人のパネリストたちが、「イマジュリィ」という、私たちの身近にある大衆的な図像の収集・交換・生産について熱く語ります。
【報告】
◇ 道楽絵はがきから見た大正・昭和のコレクター
大正・昭和のコレクターたちが、洒落や見立てに趣向を凝らした道楽絵はがき。これらは、コレクターたちが主催した、絵葉書交換会を通じて制作されたものです。コレクター自らが生産・交換・蒐集した交換会のシステムや絵葉書の制作方法などから、コレクターたちが交換会を通して、何を蒐集しようとしていたのかについて考えてみたいと思います。(木津 勝)

◇ 道楽こうじて展覧会を成す――大阪資料の収集と展覧会――

“収集”は、未知の領域に新しい地図を作るためのフィールドワークであり、一つのモノの“収集”を〈点〉を打つ行為とすれば、収集の持続は〈線〉から〈面〉へと広がり、破片のような資料が化学反応して「展覧会」へと成長することもある。個人的に続けてきた近世近代の大阪関係資料の収集で、私は「大阪」という都市の個性を再確認し、「大阪」をテーマとした「展覧会」にも関係することになった。道楽こうじて展覧会を成す――そんな体験を紹介する。(橋爪節也)

◇ スタール、竹内久一、田蝶
大正末に、シカゴ大学の人類学博士という触れ込みのもと、フレデリック・スタールという人物が日本各地を漫遊、その記録は翻訳されて、現在は古書となって残されている。このスタールは、神社仏閣の納札を収集した人物としても有名で、とりわけ「納札の祖」と言われる歌川国芳門の「田蝶」のものなど、遺族の彫刻師竹内久一などの協力を乞い、収集、シカゴ大学に収蔵したと言われる。今回は、外国からの変な収集家、お札博士、F・スタールについての話題を提供したい。(山田俊幸)

【主催】大正イマジュリィ学会
【参加料】500円 【申込】不要。当日会場にお越しください。 

※本シンポジウムは、大正イマジュリィ学会全国大会として開催されるものですが、一般聴講可能です。

企画展「道楽絵はがき」関連講座(第425回れきはく講座)
絵はがきを紀念する
講師:細馬 宏通(滋賀県立大学人間文化学部准教授)

平成21年3月14日(土) 13:30〜15:00

日本の絵はがきは日露戦争期に爆発的に流行しました。その原因の一つとなったのが、戦争を紀念するスタンプです。紀念スタンプは、その後、博覧会や大演習などの国家的イベントが行われるたびに発行され、収集の対象となりました。絵はがきが紀念されることは、人々のどのような欲望を喚起したのか、その流行の過程を追います。
【申込締切】3月4日(水) 【参加料】300円(カード会員150円) 

企画展「道楽絵はがき」関連講座(第426回れきはく講座)
関西蒐集家列伝−大正・昭和のオタクたち−
講師:藤野 滋(近江郷土玩具研究会代表)

平成21年3月21日(土) 13:30〜15:00

 大正末期、いまだ大震災からの復興途上にあった首都圏に代わり、関西経済界は空前の活況を呈していました。その経済的余裕を背景に多くの収集趣味家が登場。当時の趣味雑誌に掲載された収集趣味家訪問記や各種記事を手がかりに、そんな彼らの破天荒な、それでいて妙に生真面目な“オタク”ぶりを紹介します。
【申込締切】3月11日(水) 【参加料】300円(カード会員150円) 

企画展「道楽絵はがき」関連講座(第427回れきはく講座)
伝統木版職人からみる木版絵はがき
講師:竹中 健司(竹中木版 竹笹堂代表)

平成21年3月28日(土) 13:30〜15:00

 木版で出来た作品は、とにかく綺麗です。色んな作品はどの様な時代背景から考えられ、どのように作られてきたのでしょうか。木版印刷だから出来る木版画の魅力は、線と面が交差し、色の力が増したとき、木版画ならではの作品が生まれます。今に伝わる木版技術を有する職人が当時の木版絵はがきを、制作者サイドから検証・説明致します。
【申込締切】3月18日(水) 【参加料】300円(カード会員150円) 

企画展「道楽絵はがき」関連講座(第428回れきはく講座)
道楽絵はがきの魅力 徹底解剖!!
講師:木津 勝(本館学芸員)

平成21年4月11日(土) 13:30〜15:00

 道楽絵はがきの魅力は図柄の面白さだけではありません。道楽絵はがきが作られた交換会のシステムや彼らをとりまく人々をみると、趣味の域を超えた、様々なこだわりが見えてきます。講座では、これらを徹底解剖し、コレクターたちの目指したものを考えてみたいと思います。
【申込締切】4月1日(水) 【参加料】300円(カード会員150円)

申込について

  • シンポジウム以外の各講座は事前申込制です。
  • ハガキで歴史博物館までお申し込み下さい。
    申込の際には、希望する講座名・郵便番号・住所・氏名・電話番号を必ずお書きください。
  • 定員を超える場合は抽選し、締切後、当落の結果を郵送でお知らせします。
  • 諸般の事情により、各講座・教室は、中止あるいは内容が変更されることがあります。

企画展インフォメーション

タイトル 道楽絵はがき−コレクターたちの粋すぎた世界−
会期 平成21年 3月6日(金)〜4月19日(日)
主催 大津市・大津市教育委員会・大津市歴史博物館・京都新聞社
後援 BBCびわ湖放送・KBS京都・NHK大津放送局・エフエム滋賀
協力 大正イマジュリィ学会
観覧料 一般600円(480円) 高大生500円(400円) 小中生200円(160円)
※( )内は、前売、15名様以上の団体。および、大津市内在住の
65歳以上の方、大津市内在住の障害者の方の割引料金
(証明するものをご提示ください)。
会場 大津市歴史博物館 企画展示室A
期間中の休館日 月曜日
前売券 大津市内観光案内所(大津駅・石山駅・堅田駅前)、大津市民会館、ローソンチケット(Lコード57063)をはじめ、京阪津地区のおもなプレイガイドで2月6日から3月22日まで販売