大津市歴史博物館

お知らせ

第51回企画展 慈恵大師1025年御遠忌記念企画展
元三大師良源−比叡山中興の祖−
平成22年 2月27日(土)〜4月18日(日)

概要

 元三大師・慈恵大師・角大師・豆大師など、いずれも良源を指す呼び名です。平安時代に活躍し、比叡山中興の祖と仰がれる良源(912〜985)は、多くの名称で呼ばれるとおり様々な伝説に彩られ、厚い信仰が今も生きています。本年は、良源が歿して1025年の節目の年にあたります。本企画展は、日本仏教史に大きな足跡を残した良源に関連する作品を紹介し、その業績と元三大師信仰の歴史を概観しようとするものです。
 良源は912年(延喜12年)近江に生まれ、第18代天台座主として、比叡山の堂舎を再興するとともに、広学竪義など教学の振興に努め、山内の綱紀粛正にも尽力した高僧です。良源のもとからは、源信をはじめ多くの弟子たちが育ち、日本仏教の発展に大きく寄与しました。良源は、985年(永観3年)正月三日に歿しているため、元三大師とも呼ばれますが、諡号は慈恵(慧)です。
 良源の偉大な足跡はその後、様々な信仰をうみました。没後しばらくして、大師の肖像が多数制作され、慈恵大師講などの法会が営まれています。また角大師・豆(摩滅)大師などの呼び名で庶民にも親しまれ、降魔の護符として幅広く信仰されました。わが国におけるおみくじの元祖(元三大師百籤)としても著名です。
 本展では、こうした良源への信仰も含めた、全貌を紹介しようとするものです。


おもな展示作品

重要文化財
木造元三大師坐像
八幡市・正法寺蔵
木造慈恵大師坐像
京都・法界寺蔵
重要文化財
絹本著色慈恵大師像
加古川・鶴林寺蔵
(3/24〜4/18まで展示)

元三大師縁起絵巻
求法寺蔵
重要文化財
紙本墨画高僧像(良源部分)
京都・仁和寺蔵(3/24〜4/18まで展示)

木造不動明王立像
比叡山延暦寺(横川中堂)蔵
初出陳
重要文化財
木造慈恵大師坐像
京都市・曼殊院蔵(3/22まで展示)

元三大師良源について

◇慈恵大師・元三大師・角大師・魔滅(豆)大師

 良源は、平安時代中期に活躍した天台宗の僧で、比叡山中興の祖として現在も多くの人々に慕われ、崇められています。その功績から「慈恵」の謚号が与えられ、慈恵大師とも呼ばれますが、一般には元三大師が最も親しまれている呼び名で、正月三日に亡くなられたことに由来します。このほかにも、御廟大師・角大師・魔滅(豆)大師とも呼ばれ、それぞれに由緒があり、多くの説話に彩られた高僧ということができるでしょう。

◇良源の生涯

 まずその生涯を簡単に紹介しましょう。延喜十二年(九一二)、近江国浅井郡に生まれ、十二歳で比叡山に登り、十七歳で出家。若くしてその才能が認められ、二十六歳の時、興福寺維摩会の論議でその名が知られるようになります。そして五十歳の応和三年(九六三)、清涼殿で行われた法華八講で南都の高僧と論議し、名声を博します。こうして比叡山を代表する僧となった良源は、五十五歳の若さで第十八代天台座主となり、以後、永観三年(九八五)に亡くなるまでの十九年間、比叡山の大黒柱として活躍しました。
 良源の業績としてまず挙げられることは、比叡山の堂舎のほとんどを再建したことです。また広学竪義といって仏教に関する論議を盛んにし、比叡山の学問を振興するとともに、僧侶の規律を正し、延暦寺の基礎を磐石なものとするために全精力を傾けました。
 学問の振興に尽力した良源は、天台教学を担う多くの弟子を育てています。藤原師輔の子弟で良源の後を継いで座主となった尋禅や明救、聖救、院源、暹賀といった良源の弟子が座主を歴任し、『往生要集』を著し浄土思想に大きな影響を与えた源信(恵心流祖)をはじめ、覚運(檀那流祖)など、天台教学を興隆させた弟子たちを輩出しています。良源以後、天台教学は本覚思想と呼ばれる新たな思想潮流を作り上げ、この中から鎌倉新仏教の祖師たちが生まれます。新しい思想を生み出した原点に立つ僧の一人として、良源を挙げることができるでしょう。ただ、良源は、自らの思想を著作として残すことはありませんでした。

◇元三大師信仰

 良源の超人的な活躍は、権化の人・応化仏(仏や菩薩が衆生救済のため相手に応じていろいろな身体を現すこと)とも考えられ、観音菩薩の権化と捉えられています。その一方で仏法擁護のため魔界の棟梁となったとか、平清盛は良源の生まれ変わりだとも言われ、人々を救い、仏法を助ける強烈な霊力を持った存在と映ったようです。こうした良源への信仰は、外敵を調伏する力を持つと考えられ、鎌倉時代以降たくさんの良源像(彫刻や絵画)が作られました。良源をまつる法会も盛んに行われます。また良源像を摺って、家の入り口に貼っておくと魔除けになるという信仰も早くからうまれ、現在の「角大師」の札に通じます。また近世に入ると、観音籤と呼ばれるおみくじが盛んになりますが、良源の本地が如意輪観音と考えられたことから、元三大師信仰と一体となって広まりました



期間中の展示替えについて

 展覧会期間中、作品の展示替えを行ないます。以下の展示作品一覧に、展示替え予定をしておりますのでご確認ください。なお、所蔵者のご都合等により、急遽展示替えを行なう場合がございますので、あわせてご了承ください。 

【展示作品一覧(展示替え情報含む)がダウンロードできます。】

  企画展「元三大師良源−比叡山中興の祖−」展示品一覧.pdf 【PDFファイル、110KB】

展示解説図録

「元三大師良源−比叡山中興の祖−」展示解説図録
平成22年発行 A4変型 112頁 1200円(カード会員:1000円)

 

企画展インフォメーション

タイトル 第51回企画展 慈恵大師1025年御遠忌記念企画展
元三大師良源−比叡山中興の祖−
会期 平成22年 2月27日(土)〜4月18日(日)
主催 大津市・大津市教育委員会・大津市歴史博物館・比叡山延暦寺・天台宗・京都新聞社
後援 BBCびわ湖放送・NHK大津放送局・エフエム滋賀
観覧料 一般800円(640円) 高大生400円(320円) 小中生200円(160円)
※( )内は、前売、15名様以上の団体。および、大津市内在住の
65歳以上の方、大津市内在住の障害者の方の割引料金
(証明するものをご提示ください)。
会場 大津市歴史博物館 企画展示室A
期間中の休館日 月曜日(3月22日を除く)、3月23日
前売券 前売券は、大津市観光案内所(大津駅・石山駅・堅田駅前)、大津市民会館、ローソンチケット(Lコード51376)をはじめ、京阪津地区の主なプレイガイドで2月10日から3月22日まで発売。