大津市歴史博物館

お知らせ

開館20周年記念企画展
柴田晩葉‐湖都のモダン日本画家‐
平成23年 3月5日(土)〜4月17日(日)

概要

 明治京都画壇を竹内栖鳳と二分した山元春挙、日展の大御所として、近年まで活躍していた小倉遊亀、文展で活躍した後、結成に参加した日本自由画壇で独自の活動をした渡辺公観など、湖都・大津が育んだ日本画家は少なくありません。また、戦前までの大津は、春挙門下の画家たちや渡辺公観らを、江戸時代以来の富商や数奇者、花街の料理屋などが後援者として、作品の揮毫を依頼し、支えていました。
 本展で取り上げる、柴田晩葉(1885〜1942)もその一人です。晩葉は、同時代の大津出身の日本画家と比較して、高等美術教育機関を修了して、画壇にデビューした日本画家です。その点で、晩葉の作品には、大正時代の最先端の美術モードの影響が反映されています。しかし、同時に、牧歌的な詩情にあふれた作品も、自然体で制作している点は、大津出身・湖国出身の人物ならではの、特異な魅力といえます。
 それにもかかわらず、現在の晩葉の知名度は意外なほど低いといえます。戦前は、文展・帝展で受賞を重ね、晩葉本人の手紙にもあるように、「凱旋将軍に対する如き賛辞」を大津の人々から受けて、晩葉本人がとまどっていたほどであったのですが、終戦を待たずに還暦前の年齢で逝去してしまい、戦後の日展で活躍することはありませんでした。ゆえに、忘れ去られてしまったというのが実情なのでしょう。
 したがって、晩葉の展覧会も、過去に滋賀県立琵琶湖文化館で小規模に開催された程度であり、作品の発掘もまだまだこれからの段階です。
 幸い、本展の事前調査によって、戦前に結成された、晩葉の作画活動に共鳴する大津の有志の後援組織・十葉会の存在が明らかになり、その会員の遺族宅を中心に、魅力を放つ作品をいくつも確認することができました。これを機会に、ユニークな表現を貫いた大津の日本画家の仕事にスポットを当て、まとまった形で紹介するものです。

京の町
大正 大津・個人蔵

《晩葉展》鑑賞のツボ

 柴田晩葉の作品は、まるで現代の日本人のイラスト作品を見るかのような、モダンな人物表現や、メルヘンチックな情景の作品が続いたかと思うと、一方で、日本の四季や風物、農村風景なども、情緒豊かに描いています。さらに、実験的な水墨技法を駆使した大作もあり、晩葉ワールドは、実に多彩な日本画の側面を、われわれに見せてくれ、楽しませてくれます。かつての大津の人々が愛した、晩葉ワールドは、全く色褪せていません。どうぞ、お気軽にお楽しみください。


おもな展示作品

【大正の幕開けと晩葉】

巡礼者御一行
大正 京都・個人蔵
大仏の鐘
大正 大津・個人蔵
三笑図
大正 大津・個人蔵

四季草花図
大正3年 大津・個人蔵

【十葉会‐晩葉のサポーターたち‐】

宇治の茶摘
昭和 大津・個人蔵

【禅刹障壁画への挑戦‐青龍寺の襖絵群‐】

雲竜図(阿形)
大正14年(1925) 大津・青龍寺蔵

【昭和の晩葉‐大津への回帰】

嵐渓紅葉図
昭和 大津・個人蔵
帰帆
昭和 大津・個人蔵
薄暮月下帰樵図
昭和 本館蔵

【モダンな軽味‐晩葉の俳画】

時雨傘
昭和 大津・個人蔵
暑中見舞 江若鉄道車中より
大正10年 大津・個人蔵

【師・山元春挙、そして門人の異色作品たち】

俳画 大石内蔵助「濁江の…」
山元春挙 大正 大津・個人蔵
写生図巻のうち 別保より膳所眺望
小林翠渓 大正 本館蔵



展示解説図録

「柴田晩葉‐湖都大津のモダン日本画家‐」展示解説図録
平成23年発行 A4版 48頁 700円(カード会員:600円)

 

関連の催し物

展覧会をより深くご理解いただくため、期間中さまざまな講座を開催いたします。詳しくは、講座・講演会情報をご覧下さい。

企画展インフォメーション

タイトル 開館20周年記念企画展
柴田晩葉‐湖都のモダン日本画家‐
会期 平成23年 3月5日(土)〜4月17日(日)
主催 大津市・大津市教育委員会・大津市歴史博物館・京都新聞社
後援 NHK大津放送局・エフエム滋賀
観覧料 一般800円(640円)  高校・大学生400円(320円)  小中学生 無料
※( )内は、前売、15名様以上の団体。および、大津市内在住の
65歳以上の方、大津市内在住の障害者の方の割引料金
(証明するものをご提示ください)。
会場 大津市歴史博物館 企画展示室A
期間中の休館日 月曜日(3月21日は開館)、3月22日
前売券 前売券は、大津市観光案内所(大津駅・石山駅・堅田駅前)、大津市民会館、ローソンチケット(Lコード:59870)をはじめ、京阪津地区の主なプレイガイドで2月15日から3月16日まで発売。