大津市歴史博物館

お知らせ

第64回企画展
戦争と大津
−激動の時代と子どもたち−
平成26年 7月19日(土)〜8月31日(日)

 第二次世界大戦が終結してから、本年で69年目の夏を迎えます。当時、戦争を体験された方々の高齢化も進んでおり、戦争の記憶が風化しようとしている現在、戦争の時代の記録と記憶を後世に語り継ぐことが、平和な世界を願う我々の責務と考えています。
 本展では、戦争の時代のみではなく、終戦後の占領軍進駐の時代まで範囲を広げて、当時の市民生活の実態を明らかにするとともに、戦前から戦後にかけての子どもたちの様子を、時代背景を物語る様々な資料や写真、体験者の証言ビデオなどから、学校教育の変遷に重点をおきながら紹介するものです。
 そして、その時代を生きた子どもたちの、日常の生活や学校教育の移り変わりに焦点を当て、第1部を「戦時下の子どもたち」、第2部を「戦後の学校教育」として展示を組み立てました。

   
青い目の人形たち
左から、メリー(甲賀市立甲南第二小学校)、ジェーン・ハイランド(大津市立平野小学校)
マリオン・L・スナイダー(彦根市立稲枝北小学校)、マリオン・ベイビー(日野町立日野小学校)
背景は、ジェーン・ハイランド(平野小学校)のパスポート

日米親善のお使い−青い目の人形−

 昭和2年(1927)3月、アメリカから日本の子どもたちに、1万2,700体を超える「青い目の人形」が贈られました。日米親善の願いのこもった人形たちは、日本の雛祭りに合わせて贈られました。幼稚園と小学校では、人形の歓迎会が盛大に催されました。そして同年の11月、日本からはアメリカのクリスマスに合わせ、「答礼人形」58体を贈りました。
 しかし昭和16年、日米間で戦争が始まると、日本では、敵国からの人形だとして、多くが壊されてしまいました。滋賀県には3月から4月にかけて135体が配られたのですが、戦後まで生き残った人形は写真の4体だけです。この人形たちは、平和の大切さを私たちに訴えかけているようです。今回の企画展は、この青い目の人形の紹介から始まります。


   

第1部 戦時下の子どもたち

 昭和2年(1927)、日米親善の証(あかし)として、アメリカから日本の子どもたちに贈られた「青い目の人形」。しかし、その頃すでに学校では、紀元節(きげんせつ)や天長節(てんちょうせつ)などの祝祭日での「教育勅語(きょういくちょくご)」の奉読(ほうどく)と「御真影(ごしんえい)」(天皇・皇后の写真)の拝礼が義務とされており、満州事変勃発の2年後、昭和8年の第四期国定(こくてい)教科書には「ススメススメ、ヘイタイススメ」の文章が、行進する兵隊の絵とともに登場しました。
 子どもたちは「銃後(じゅうご)」を支える「少国民(しょうこくみん)」と呼ばれ、日常の生活にも、戦争物の子ども茶碗や兵隊人形、少年兵の活躍を描いた少年雑誌、「鬼畜米英(きちくべいえい)」をテーマとした紙芝居などが目立つようになりました。


「ススメ ススメ ヘイタイ ススメ」
(第四期国定教科書 尋常科用小学国語読本 巻一 昭和8年改訂 ) 個人蔵

高等科生徒の勤労動員を見送る下級生(戦時下の小学生が記した絵日記)
瀬田国民学校絵日記 昭和19年4月から20年3月 197枚のうち 本館蔵

戦時中の子ども茶碗(高射砲)
KINコレクション
『少国民の友』(戦時中の少年雑誌)
昭和18年 個人蔵

   

第2部 戦後の学校教育

 第2部では、戦後のGHQによる教育制度の改革に焦点を当てて展示します。戦後直後、文部省の指示により、教科書で戦争に関する部分に墨を塗って抹消することが、子どもたちの最初の仕事でした。そして新制教育としての、六・三・三・四制の導入。教育の民主化を目指す「実験学校」など、めまぐるしい社会の変化と子どもたちの生活ぶりを、さまざまな資料によって紹介します。


墨塗り教科書 初等科国語 滋賀県平和祈念館蔵

企画展「戦争と大津」第2会場

戦争と大津−銃後の市民生活−
平成26年7月15日(火)〜8月31日(日) 会場:常設展示室1階、ミニ企画展コーナー
 

 戦場で戦う軍隊を後方から支援することから、内地(ないち)の生活は「銃後(じゅうご)」と呼ばれました。「ほしがりません勝つまでは」などの標語は、銃後の市民生活を象徴する言葉として使われました。本展では、物資不足に対応するための衣料切符や味噌・醤油の購入券、兵器製造のための金属類供出奨励ビラや宣伝用の紙芝居、燈火管制(とうかかんせい)などの仕方を図解した防空演習時の配布物や召集令状(赤紙(あかがみ))など、さまざまな資料で、きびしかった銃後の市民生活を振り返ります。

出征風景を描いた紙芝居
昭和16年 本館蔵
燈火管制の図解
昭和12年 本館蔵

【展示作品一覧(展示替え情報含む・予定)のダウンロードはこちら。PDFファイル、184KB】



展示解説図録

「戦争と大津」展示解説図録
平成26年発行 A4判 32頁(オールカラー) 600円(カード会員価格:550円)
 

企画展インフォメーション

タイトル 企画展 戦争と大津−激動の時代と子どもたち−
会期 平成26年 7月19日(土)〜8月31日(日)
期間中の休館日 月曜日(7月21日を除く)、7月22日
会場 大津市歴史博物館 企画展示室B
主催 大津市、大津市教育委員会、大津市歴史博物館、京都新聞
後援 NHK大津放送局・BBCびわ湖放送・エフエム滋賀
観覧料 一般:400円(320円)  高校・大学生:300円(240円)  小中学生:無料
※( )内は、前売、15名様以上の団体。および、大津市内在住の65歳以上の方、大津市内在住の障害者の方の割引料金(証明するものをご提示ください)。
前売券 前売券は、大津市観光案内所(JR大津駅・石山駅・堅田駅前)、大津市民会館、
ローソンチケット(Lコード:59189)をはじめ、京阪津地区の主なプレイガイドで7月1日から8月31日まで発売。