平成30 年10 月1 日、大津市は明治31 年(1898)の市制施行から120 周年、人にたとえれば「大還暦(2度目の還暦)」という節目を迎えます。今回の展覧会では、大津市が還暦を迎えた昭和33 年(1958)を中心に、高度経済長期を迎えて急速に変化する昭和30 年代の市内の移り変わりを、当時の写真や資料で紹介します。
昭和33 年は、大津市にとって新たな出発となる年でした。戦後、米軍(進駐軍)によって使用されていたキャンプ大津が返還され、返還間もないキャンプA地区(現:皇子山総合運動公園)の体育館で、市制60 周年記念式典が行なわれました。
この頃の大津市は、湖岸の埋め立てや山の手の開発などによる市街地の拡大とともに、学校や公共施設などの都市基盤の整備が急速に進められました。これらの様子は、当時の広報誌や市制60 周年の記念誌『還暦』などに多くの写真を使って紹介されています。まさに、現在の私たちが生活する大津の風景や生活の土台は、この頃にかたち作られていったといえるでしょう。
また、本展覧会期間中のミニ企画展は「大津市制の120 年」と題して、明治31 年の市制施行から現在までを市町村合併を中心に、かけあしで振り返ります。加えて、期間限定ですが、西武大津店でも貴重なカラー写真の展示も予定しています。この機会に、これまでの大津市のあゆみについて理解を深めていただければ幸いです。
タイトル | 大津市制120周年記念企画展(第76回企画展) 「60年前の大津」 |
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会期 | 平成30年(2018)10月2日(火)から11月25日(日)まで |
休館日 | 期間中の月曜日(10月8日を除く)、10月9日(火) |
会場 | 大津市歴史博物館 企画展示室B |
開館時間 | 午前9時から午後5時まで(展示室への入場は午後4時30分まで) |
観覧料 | [常設展示観覧料でご覧いただけます] 一般:320円(250円) 高校・大学生:240円(190円) 小中学生:160円(120円) ※( )内は15名以上の団体料金 ※大津市内在住の65歳以上の方は、一般料金の半額。 大津市内在住の障がい者・介護保険の要介護者及び要支援者の方とその介護者1名は無料(証明するものをご提示ください)。 |
主催 | 大津市・大津市教育委員会・大津市歴史博物館 |
企画展「60年前の大津」リーフレット表面 【ダウンロードはこちら(PDF)】
企画展「60年前の大津」リーフレット裏面 【ダウンロードはこちら(PDF)】
昭和33 年(1958)10 月1 日、大津市制60 周年の記念式典の会場が、米軍のキャンプA地区にあった体育館(皇子山体育館)で催され、終了後には全長約2キロにおよぶ祝賀行列が市内をパレードしました。
この年の大津市は、現在使用している市章の制定、大津市民の歌の制作、名誉市民の創設、『新大津市史』の編纂など、市制60 周年を記念した様々な事業が行われました。ちなみに、大津市民憲章の制定は昭和36 年のことです。
市役所前を巡行する大津祭の曳山(昭和33年)
左手に見える建物が浜大津にあった庁舎です。玄関には60周年記念の看板が掲げられています。
60周年記念式典の会場(昭和33年)
現在の皇子山総合運動公園で行われました。奥は会場となった体育館(のちの皇子山体育館)です。
記念パレードの行列(昭和33年)
大津宮の時代をイメージした風俗行列
大津市民の歌発表会(昭和33年)
滋賀会館を会場に行なわれました。
現在の国道1号一帯、逢阪学区や平野・膳所学区の南側や、富士見、晴嵐学区あたりの住宅地域は、昭和30年代は「山の手」と称される大津市の注目エリアでした。
この地域は、元々は棚田や山々が一面に広がっていましたが、昭和20年代の国道1号開通により、東西に幹線道路が出来たこと、また昭和30年の国鉄東海道線の電化によって、京阪神のベットタウンとして一躍注目されたことが住宅開発のきっかけでした。
新たな住宅需要を見込んで、昭和20年代半ばから、公営や民間事業者により山の手に大規模な住宅開発が次々と行なわれ、新たな市街地が形成されました。ほかにも、昭和38年の名神高速道路、翌39年には東海道新幹線の開通と、日本の新たな主要交通幹線がこの場所に開通しました。
電化当時の大津駅
昭和30年11月、国鉄東海道線の米原−京都間が電化されました。(昭和30年代撮影)
名神高速道路開通時の大津インター周辺
鶴の里をはじめとする住宅街の開発前の様子です。(昭和40年代撮影)
北大路附近の工事風景
名神高速道路の工事風景。新幹線との交差部のあたりです。(昭和30年代撮影)
瀬田川を走る新幹線(昭和39年・谷本勇撮影)
現在の打出浜やにおの浜は、昭和30年から40年代にかけて、琵琶湖岸の埋め立てによって出来た土地です。「京阪電車の線路(浜大津‐石場間)から向こう側は琵琶湖やった」という地元の方々の昔話は、当時の湖岸の様子をわかりやすく示す表現です。
一連の湖岸埋め立ては、山の手開発で紹介した国道1号のバイパス道路の建設に加え、湖岸にも東西の幹線道路を通すこと、また埋め立てによって新たな市街地を作り出すことが目的でした。
昭和33年6月2日には湖岸道路が暫定開通し、並行するように道路北側の大規模な埋め立てが行なわれました。新たに出来た湖岸の土地には、商工会議所や卸売市場など、かつて市街地にあった様々な施設や、琵琶湖文化館や水上飛行機の発着場など、新たな観光需要に応えた施設が次々と設けられ、新しい市街地を形成しました。
開通当時の湖岸道路
(昭和33年頃撮影)
湖岸道路の開通式典
(昭和33年撮影)
昭和30年(1955)から昭和40年(1965)にかけて、大津市内に完成した施設(もの)や、起った出来事(こと)をランダムに紹介します。
昭和30年 菱屋町商店街のアーケード設置
市内初の全天候型アーケードの設置でした。
昭和33年 比叡山ドライブウェイの開通
(谷本勇撮影)
昭和34年 皇子山球場の完成
昭和34年 国道1号瀬田川大橋の開通
昭和36年 国立大津ユースホステルセンターの開業
昭和36年 大津市民憲章の制定
昭和38年 名神高速道路の開通
昭和39年 琵琶湖大橋の開通
昭和39年 曽束大橋の開通
昭和40年 サンケイバレイの開業
西武大津店の会場でご紹介する写真は、昭和30年代の大津市内各所が撮影された鮮明なカラー写真です。当時、カラーフィルムは高価だったため、大変貴重な記録写真です。大津市内の町並みや観光地の様子、ビワコ一周自転車競走といった行事の写真など、厳選した写真の数々を展示。総天然色でよみがえった60年前の大津をお楽しみください。
※会場と会期が他と異なりますので、ご注意ください。
【会期】11月2日(金)〜 11月8日 午前10:00〜午後8:00(最終日は午後6時まで)
【会場】西武大津店6階特設会場 【協力】西武大津店
京阪中ノ庄駅
(昭和30年代・西村榮次郎撮影)
玻璃丸
(昭和31年・西村榮次郎撮影)
新唐崎港で帰路を急ぐ遊覧客
(昭和31年・西村榮次郎撮影)
滋賀会館
(昭和30年代・西村榮次郎撮影)