大津市歴史博物館

お知らせ

明治24年5月11日午後1時50分、日本は試練のときを迎えた
企画展 大津事件
2003年2月27日(木)〜3月30日(日)

概要

   明治24年(1891)5月11日、来日中のロシア皇太子ニコライは、大津遊覧の帰途、警備中の巡査津田三蔵に斬りつけられた。ニコライは軽傷であったが、大国ロシアの脅威に怯えた政府の閣僚たちは、刑法第116条(大逆罪)を適用して津田三蔵を死刑にしようと画策する。しかし、ときの大審院長児島惟謙(これかた)は、同条文は外国の皇太子には適用されないとして、通常謀殺未遂罪で裁くことを主張。結局、大審院の裁判官らは、児島の主張どおりの謀殺未遂罪により、無期徒刑の判決を下した。これが大津事件の概要である。

 本展では、ニコライが事件に遭遇するまでの足どり、現場の状況、関係者のその後などを、数々の未公開資料によって検証する。

主催 大津市・大津市教育委員会・大津市歴史博物館・京都新聞社
後援 NHK大津放送局

主な展示資料

○大津事件関係資料
津田三蔵の凶器となったサーベル。事件当日、現場近くの呉服太物商・永井長助家に難を避けたニコライは、店先の縁台に腰をおろしてハンカチで血を拭った。そのハンカチ(写真下右)となどの関係品が、今も残されている。
滋賀県には、このほか事件当時の津田三蔵他関係者の調書、巡査等現場配置図など貴重な資料が残されており、今回同時に公開する。

○勲八等白色桐葉章及びケース
 事件当日、ニコライを助けた二名の人力車夫に対し、日露両政府から勲章と年金等が贈られた。写真は日本政府から贈られた勲章。漆塗りケースの蓋には篆書体で「勲八等白色桐葉章」と記され、桐葉章の裏面には「勲功旌章(せいしょう)」の文字も刻まれている。なお同勲章の勲記、ロシア政府からの勲章と勲記も残されており、今回はそのすべてを展示する。(個人蔵)

○事件現場写真
 事件から四日後の五月十五日、ロシアの軍人たちが事件現場を訪れ、周辺の町家に事件当日のように幕や国旗、提灯などをしつらえさせて写真撮影を行った。中央の道路上に見える三脚を立てた人物が、ロシア人撮影技師。事件現場を想起させる貴重なカットである。(個人蔵)

○津田三蔵守山警察署詰め辞令
  西南戦争に従軍した津田三蔵は、退役後巡査となった。写真は、事件発生の一年前、滋賀県守山署詰めを命じられたときの辞令である。(個人蔵)

○総理大臣電報
 5月11日、事件発生の報せを受け取った総理大臣松方正義は、滋賀県知事に対し、「電報落手、驚愕(きょうがく)の他無し、取締りを厳重にし、共謀者無きや厳重捜索せよ」と打電した。文面から、緊迫した事件当日の様子が伝わってくるようだ。

○津田三蔵自筆書簡封筒
津田三蔵の陸軍・巡査時代の自筆書簡は数多く残されている。内容も、政治や社会に対する貪欲なまでの興味を示すもので、津田のイメージを塗り替えるに充分な内容である。写真は、達筆で書かれた封筒の裏書。筆勢のある津田の筆跡が見てとれるだろう。(個人蔵)

 ●その他の主な展示資料

◆永井家名刺帳 市指定文化財 個人蔵
◆津田三蔵滋賀県巡査志願書 個人蔵
◆津田三蔵勲七等褫奪状   個人蔵
◆津田三蔵自筆書簡     個人蔵
◆津田三蔵西南戦争使用脇差 個人蔵
◆北ケ市市太郎使用車夫衣装 個人蔵
◆明治秘史大津事件(歌舞伎台本) 個人蔵
◆膳所監獄平面図 滋賀刑務所蔵

観覧料  
 一 般  600円(480円)
 
高・大生 500円(400円)
小・中生 400円(320円)
※( )内は、団体(15名以上)、前売、市内在住の65歳以上の方・障害者の方の割引料金
 前売券は、大津市内観光案内所、明日都浜大津案内所、大津市民会館、ローソンチケット(Lコード58707)、京阪津地区の主なプレイガイドで発売中