大津市歴史博物館

お知らせ

第46回企画展
石山寺と湖南の仏像−近江と湖南を結ぶ仏の道−
平成20年 7月13日(木)〜8月24日(日)

概要

 大津市の南郊を流れる瀬田川は、古来より都(飛鳥・奈良)と近江をつなぐ大動脈として認識されてきました。藤原京や平城京、東大寺などを建立するにあたり、田上、大石や信楽、高島など近江の材木をこの川により輸送したことは有名です。また、小浜や敦賀などに到着した日本海側の人や物そして仏教文化は、琵琶湖を経由して瀬田川もしくは宇治田原を通る「田原道(東山道か)」、そして奈良街道などにより、都へ運ばれていきました。
 そしてこれらのルートは、都の最新の仏教を近江にもたらす道でもありました。奈良時代には、岩間山や比良山系、金勝山(こんぜやま)、湖北の己高山(こだかみやま)など、近江の山岳仏教は、南都の僧により開発が進められ、各地で寺院が建立されました。そして何よりも、田上山や大石の開発と関連して、造東大寺司により石山院(石山寺)が創建され、また瀬田地域に国府や国分寺などが造られ、さらには保良宮(ほらのみあ)や禾津頓宮(あわずとんぐう)などの宮が造られるなど、奈良の都の文化が直接この地に花開いたのです。
 このように石山寺を中心とした膳所、石山、瀬田、田上、大石、宇治田原町などの瀬田川(宇治川)流域、木津川流域、そして田原道沿道の湖南地域は、近江と大和(南都)を文化的につなぐ道として重要な役割を担っていたのであり、この地域は近江の仏教史を考えるうえで重要なキーワードを多く孕ませています。現在、その長い歴史のなかの栄枯盛衰の長い歴史のなかで、往時の繁栄を示すものは多く失われてしまいましたが、それでもなお、地域の深い信仰により大事に守られてきた文化財、特に仏像が多く伝来しています。

 本展では、このように日本仏教の重要な地域の一つであるこの地域にスポットを当て、今は忘れ去られている近江と南都の親密な交流を、重要文化財20件、府県指定文化財18件、重要美術品2件を含む約100件の文化財を通してたどるものです。


おもな展示作品から

重要文化財 銅造如来立像
(木造如意輪観音半跏像胎内仏)
(飛鳥時代 石山寺蔵)
重要文化財 木造大日如来坐像
(快慶作 鎌倉時代 石山寺蔵)

大津市指定文化財 木造阿弥陀如来立像
(平安時代 月輪・新福寺)
展示期間:7/13〜7/27

 木造四天王立像(持国天)
(平安時代 大石・若王寺蔵)
城陽市指定文化財 木造阿弥陀如来立像
(平安時代 城陽市・長光寺蔵)
重要文化財 木造四天王立像(増長天)
(平安時代 宇治田原町・禅定寺蔵)



期間中の展示替えについて

 展覧会期間中、作品の展示替えを行ないます。以下の展示作品一覧に、展示替え予定をしておりますのでご確認ください。
 なお、所蔵者のご都合等により、急遽展示替えを行なう場合がございますので、あわせてご了承ください。 

【展示作品一覧(展示替え情報含む)がダウンロードできます】

  企画展「石山寺と湖南の仏像」展示品一覧.pdf【PDFファイル、243KB】

展示解説図録

「石山寺と湖南の仏像−近江と湖南を結ぶ仏の道−」図録
平成20年発行 A4判 96頁 1000円 売り切れ
 

 

 

関連の催し物

展覧会をより深くご理解いただくため、期間中さまざまな講座を開催いたします。

企画展「石山寺と湖南の仏像」関連講座(第402回れきはく講座)
南山城の仏像と石山寺
講師:伊東 史朗(元文化庁主任文化財調査官、京都国立博物館名誉館員)

平成20年7月19日(土) 13:30〜15:00

奈良時代はもちろん平安時代にあっても、宇治田原町や宇治市、城陽市などの南山城地方は奈良と京都・近江をつなぐ回廊であり、京都に近い地域ながら奈良風の文化も根づいていきました。今回は宇治田原町の禅定寺諸像をはじめとして、木津川・宇治川(瀬田川)流域にある著名な仏像について解説します。
【申込締切】7月9日(水) 【参加料】300円(カード会員150円) 

企画展「石山寺と湖南の仏像」関連講座(第404回れきはく講座)
石山寺と古代の仏像
講師:井上 一稔(同志社大学文学部教授)

平成20年8月2日(土) 13:30〜15:00

石山寺は白鳳時代に前身寺院が造られた可能性があり、さらに奈良時代に平城京と直結の技術で仏像が造られました。そして平安時代には真言宗、修験道と関わりが深くなり、さらに観音信仰の中心地となっていきました。今回はこのように様々な顔を持つ石山寺と周辺寺院に残る古代の仏像について紹介します。
【申込締切】7月23日(水) 【参加料】300円(カード会員150円) 

企画展「石山寺と湖南の仏像」関連講座(第405回れきはく講座)
石山寺の塑像彩色の背景について−飛鳥・奈良時代の絵画―
講師:百橋 明穂(神戸大学文学部教授)

平成20年8月9日(土) 13:30〜15:00

石山寺の天平当初の本尊、塑造観音の表面彩色は奈良時代で名前の知られている数少ない画工(画家)の一人、東大寺を造った役所の「造東大寺司」 の「上楯万呂(かみのたてまろ)」が描きました。今回は石山寺や正倉院に見られる奈良時代の絵画とその背景について、古代絵画の視点からお話します。
【申込締切】7月30日(水) 【参加料】300円(カード会員150円) 

企画展「石山寺と湖南の仏像」関連講座(第407回れきはく講座)
涅槃図を読み解く‐石山寺所蔵仏涅槃図について‐
講師:古谷 優子(北九州市立自然史・歴史博物館学芸員)

平成20年8月16日(土) 13:30〜15:00

涅槃図は釈迦の入滅の様を描いた絵画で宗派を問わず多くの寺院に所蔵されています。石山寺所蔵の涅槃図は鎌倉時代の作例で国の重要文化財に指定された素晴らしい作例ですが、同時代に流行した涅槃図とは異なる特徴を持っています。本講座では、この特徴が何に基づくのか、経典や他の作例を参考にしながら読み解いていこうと思います。
【申込締切】8月6日(水) 【参加料】300円(カード会員150円) 

企画展「石山寺と湖南の仏像」関連講座(第408回れきはく講座)
近江の仏像の道−陸と湖と山の道−
講師:寺島 典人(本館学芸員)

平成20年8月23日(土) 13:30〜15:00

石山寺のある湖南地域は、古代の要路、瀬田川と田原道の通る交通の要所として、飛鳥・奈良と、北国・日本海そして大陸とを結ぶまさに玄関口でした。この地域を通り伝わった、ものと人はわが国の仏教文化の歴史に重要な役割を果たしました。今回は、この地域に現存する仏像をみることで地域文化財の考え方について触れたいと思います。
【申込締切】8月13日(水) 【参加料】300円(カード会員150円) 

 

・上記の各講座・教室は事前申込制です。
・ハガキで歴史博物館までお申し込み下さい。
・申込の際には、希望する講座名・郵便番号・住所・氏名・電話番号を必ずお書きください。
・定員を超える場合は抽選となります。

企画展インフォメーション

主催 大津市・大津市教育委員会・大津市歴史博物館・京都新聞社
後援 BBCびわ湖放送・KBS京都・NHK大津放送局・エフエム滋賀
提携 源氏物語千年紀in湖都大津実行委員会・びわ湖観光協会
観覧料 一般600円(480円) 高大生500円(400円) 小中生200円(160円)
※( )内は、前売、15名様以上の団体。および、大津市内在住の
65歳以上の方、大津市内在住の障害者の方の割引料金
(証明するものをご提示ください)。
会場 大津市歴史博物館 企画展示室A
期間中の休館日 7月14日、22日、28日、8月4日、11日、18日
前売券 大津市内観光案内所(大津駅・石山駅・堅田駅前)、
大津市民会館、ローソンチケットをはじめ、京阪津地区の
おもなプレイガイドで販売