江戸時代の大津百町は、東海道の宿場町、琵琶湖水運の港町、そして三井寺の門前町として発展していきます。本展は、企画展「大津百町」と連動して、百町が誕生する以前の室町・戦国時代の様子、また太閤検地を経て発展していく町の姿を、組織や年中行事に関わる古文書や古絵図などから紹介します。あわせて古文書読解ポイントや鑑賞方法も紹介しています。古文書に記された文字や形から、一緒に百町の歴史を考えてみましょう。
太閤検地が大津町にも実施されたことを知る文書です。豊臣秀吉の家臣である長束正家と前田玄以が連署して、検地奉行の井上新介へ「大津町と松本新町を検地の上で大津宰相(京極高次)に与える」ということを伝えたことがわかります。年号はありませんが、豊臣秀吉の近江国の検地実施や、京極高次の大津城入城などから、文禄五年であることはまちがいありません。大津町の誕生を知る数少ない古文書のひとつです。初公開。
豊臣氏奉行人連署状写 |
太間町は、中町通に面している町で、戦国末期の坂本城移築にともなって移転してきた町のひとつです。太間町の町定は、ほかの町に比べても条目が格段に多く、細かくみると75箇条もあります。制定された理由は定かではありませんが、倹約に関する内容が多いので、町財政の立て直しの一環であった可能性があります。また、同時に展示した下書には、「入」という文字や番号が付してあり、採用する条目や順番を確認していたようです。
太間町年中行事定書〔表紙〕 |
太間町年中行事定書〔展示部分〕 |
1 △牽山由来覚書 1幅 江戸時代 西行桜狸山保存会蔵 |
2 △木造狸面 1点 桃山時代 西行桜狸山保存会蔵 |
3 南院惣相集会引付 1冊 応永23年(1416) 園城寺蔵 |
4 南院惣相集会引付 1冊 永享12年(1440) 園城寺蔵 |
5 三尾社燈油料地子帳 1冊 宝徳4年〜享禄4年 園城寺蔵 |
6 京極高次宛行状 1通 文禄4年(1595) 個人蔵 |
7 豊臣氏奉行人連署状写 1通 文禄5年(1596) 個人蔵 |
8 水観寺本帳 1冊 慶長4年(1599) 園城寺蔵 |
9 本覚坊分指 1冊 慶長4年(1599) 園城寺蔵 |
10 法泉院領年貢納 1冊 寛永4年(1627) 園城寺蔵 |
11 大津町古絵図(慶応本)(パネル) 1点 江戸時代後期 慶應義塾大学文学部古文書室蔵 |
12 大津町覚 1冊 江戸時代後期 大津市歴史博物館蔵 |
13 △四宮祭礼牽山永代伝記〔前期展示〕 1冊 江戸時代後期 大津祭曳山連盟蔵 |
14 ◎湖浦改書〔後期展示〕 1冊 慶安5年(1652) 彦根城博物館蔵 |
15 近江與地志略(パネル) 1点 享保19年(1734) 滋賀県立琵琶湖文化館原蔵 |
16 管内高入狂仕訳書 1冊 明治3年(1870) 滋賀県蔵 〔県官員大参事存置方御願別添資料〕 |
17 坂本町「条目」 1冊 寛政10年(1796) 本館蔵 |
18 川口町「掟書」 1冊 文化8年(1811) 川口町自治会蔵 |
19 上京町「町儀定目書」 1冊 文政3年(1820) 上京町月宮会蔵 |
20 大津代官条々請書 1通 明和9年(1772) 尾花川親友会蔵 |
21 尾花川町覚〔後期展示〕 1通 寛政5年(1793) 尾花川親友会蔵 |
22 太間町年中行事定書 1冊 天保9年(1838) 太間町自治会蔵 |
23 太間町年中行事定書下書 1冊 江戸時代後期 太間町自治会蔵 |
24 寺請証文 1通 安政2年(1855) 太間町自治会蔵 |
25 送手形 1通 安政2年(1855) 太間町自治会蔵 |
26 宗門人別改帳 10冊 安政2年(1855)他 太間町自治会蔵 |
27 元禄8年の大津町各町絵図(パネル) 4点 元禄8年(1695) 大津市歴史博物館蔵・滋賀県立図書館蔵 |
28 公用諸事記 6冊 明和9年(1772)〜明治2年(1869) 善通寺蔵 |
※ △は大津市指定文化財、◎は重要文化財
※ bR・4・6・7・11・16〜28は初出陳。
※ 前期展示は2月26日〜3月24日まで。後期展示は3月26日から4月14日まで
タイトル | 第103回ミニ企画展 大津の古文書6 大津百町の誕生 |
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会期 | 平成25年2月26日(火)〜4月14日(日) |
期間中の休館日 | 月曜日 |
会場 | 大津市歴史博物館 常設展示室内 ミニ企画展コーナー |
観覧料 | 常設展示観覧料でご覧いただけます。 一般210円(160円) 高校・大学生150円(120円) 小中学生 100円(80円) ※( )内は、15名様以上の団体料金。大津市内在住の65歳以上の方、大津市内在住の障害者の方は無料(証明するものをご提示ください)。 ※土曜日は、すべての小中学生の方は無料です。 |