大津市本堅田の居初家には、室町・戦国時代以来の古文書が数多く伝わっています。居初家は、中世以来の堅田諸侍の系譜を引き、江戸時代には船道郷士として琵琶湖の湖上交通に関わる特権を保持して、その支配に関係しました。また一方で、本堅田村の村政の中枢を担い、その関係の文書を多く残しています。そのため、居初家文書は、本堅田や居初家の歴史を知る資料であるだけでなく、琵琶湖水運・漁業など、近江の歴史に関わる重要な歴史資料であることは間違いありません。
今回のミニ企画展では、居初家文書のうち、堅田の歴史や由緒を示すもののほか、湖上特権や琵琶湖の浦々との関係、また堅田大宮の宮座に関するものを紹介します。
浅野長吉の掟書は、豊臣家臣の浅野長吉が坂本城主時代に「堅田四方」に対して出したもので、@琵琶湖の諸浦での荷物輸送や商売等を保障、A堅田浦での船夫・陣夫の負担、B公事船を仰せつけるというものです。
浅野長吉掟書 |
朝妻・船木からの材木や薪等の輸送を大津百艘船でおこない、蔵米はそのほかの浦船で輸送するように命じた豊臣秀吉の朱印状です。宛先の新庄駿河守直頼は、天正19年から文禄4年(1595)までの大津城主で、観音寺は天台宗寺院で船奉行を勤めた詮舜という寺僧のことです。他の資料とも合わせると、この秀吉の命令によって、琵琶湖水運の公用船の手配ルートは、@大津城主→大津百艘船、A船奉行→堅田→諸浦という2つのコースがあったことが明らかになりました。
豊臣秀吉朱印状 |
1 諸浦惣代堅田村訴状 1通 元和元年(1615)7月 |
2 足利高氏御判御教書 1通 元弘2年(1332)6月13日 |
3 足利高氏知行宛行状 1通 元弘3年(1333)9月 |
4 織田信長朱印状写 1通 永禄12年(1569)正月19日 |
5 △浅野長吉掟書 1通 天正11年(1583)12月12日 |
6 △豊臣秀吉朱印状 1通 〔天正19年(1591)〕11月3日 |
7 △徳川家康禁制 1通 慶長5年(1600)9月19日 |
8 大津代官小野半之助書付 1通 貞享元年(1684)3月 |
9 御朱印・御證文等目録覚 1通 元禄15年(1702)5月24日 |
10 御朱印扣并西之切御判物写 1冊 文化元年(1804) |
11 居初家記録〔宮座由緒記録〕 1冊 文化年間(1804〜1817)写 |
12 本堅田村明細帳 1冊 元禄11年(1698) |
13 船仲間諸用留帳 8冊 明和3年(1766) |
14 百艘出入公事留帳 4冊 寛政5(1793)・同6年(1794) |
15 舩道日記 3冊 享和元年(1801) |
16 江州滋賀郡本堅田浦丸舩員数改帳 12冊 宝暦13年(1761)〜弘化2年(1845) |
17 釣猟師庄八一札 1通 天明5年(1785)正月 |
18 東猟師清兵衛書付 1通 文政3年(1820)7月 |
19 愛知郡平松村増五郎親類他証文 1通 文政7年(1824)9月 |
20 年中下行帳 1冊 大永2年(1522)4月 |
21 鳥居木奉加帳 1冊 大永2年(1522)5月20日 |
22 堅田大宮社中年中諸役并下行儀式 1巻 天正13年(1585)9月10日 |
23 本堅田大宮再建之奉加帳 1冊 元和8年(1622) |
24 宮座加入につき口上書 1通 正徳2年(1712) |
25 文書箱 2箱 文政9年(1826) |
※ △は大津市指定文化財
タイトル | 第108回ミニ企画展 大津の古文書7 居初家文書の世界 |
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会期 | 平成25年9月10日(火)〜10月14日(月・祝) |
期間中の休館日 | 9月17日、23日、30日、10月7日 |
会場 | 大津市歴史博物館 常設展示室内 ミニ企画展コーナー |
観覧料 | 常設展示観覧料でご覧いただけます。 一般210円(160円) 高校・大学生150円(120円) 小中学生 100円(80円) ※( )内は、15名様以上の団体料金。大津市内在住の65歳以上の方、大津市内在住の障害者の方は無料(証明するものをご提示ください)。 ※土曜日は、すべての小中学生の方は無料です。 |