このたび、東京都の個人が所有する銅造勢至菩薩立像が、大津市下阪本四丁目の眞光寺(天台宗)が所蔵する銅造観音菩薩立像(奈良時代 重要文化財 本館寄託)と、本来一具(「阿弥陀如来及び両脇侍像 3躯」のうちの、観音菩薩と勢至菩薩の「両脇侍像」)であった可能性が高いことが判明しました。そこで両像を歴史博物館で並べて展示公開します。個人蔵の像は今回初公開です。
タイトル | 速報展示 眞光寺観音菩薩像とその一具像 |
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会期 | 令和3年(2021年)6月11日(金曜)から6月27日(日曜)まで |
休館日 | 月曜日 年間の休館日カレンダー |
会場 | 大津市歴史博物館 常設展示室2階 |
開館時間 | 9時〜17時(展示室への入場は16時30分まで) |
観覧料 | 常設展示観覧料でご覧いただけます 一般:330円(260円) 高校生・大学生:240円(190円) 小学生・中学生:160円(130円) ※( )内は15名以上の団体料金 詳しくは利用のてびきへ |
備考 | 速報展示作品の写真撮影はご遠慮ください。 |
勢至菩薩立像 奈良時代
個人蔵
観音菩薩立像 奈良時代
大津市下阪本・眞光寺蔵
若干大きめの頭部に、綺麗にカールした髻(もとどり)を表し、その正面と左右に三面頭飾を着けています。その正面には坐像の阿弥陀如来を示す化仏(けぶつ)が表されており、本像が観音であることがわかります。右手を屈臂して持物を執る仕草をし、左手は体側で垂下させて手のひらを下に向けています。この仕草や腰をひねる姿勢から、阿弥陀三尊の脇侍である可能性が高いと考えられます。体躯のバランスや裳裾(もすそ)を上げ気味に表す点などは、奈良市・薬師寺の薬師三尊の内の観音像や興福寺東金堂の同像に近いところがあり、本像の造像も8世紀始め頃と思われます。
少し大きめの頭部に、螺形に表した髻(もとどり)を表し、三面頭飾を着けています。その正面には宝瓶が表されており、本像が勢至菩薩であることがわかります。左手を屈臂して仰掌し、右手は体側で垂下させて手のひらを下に向けています。この仕草と腰をひねる姿勢や、勢至菩薩は単体で造られることがほとんどないことから、阿弥陀三尊の脇侍と考えられます。体躯のバランスや胸を後方に引く姿勢、裙の正面のあわわせ方、作者の個性が出るとされる耳の形など、造形的に眞光寺像とそっくりです。さらに法量や材料の成分、構造も同じであり、ともに8世紀始め頃に阿弥陀三尊の一具像として、造立された可能性が高いと考えられます。
勢至菩薩立像 背面
個人蔵
観音菩薩立像 背面
大津市下阪本・眞光寺蔵
勢至菩薩立像 左側面
個人蔵
観音菩薩立像 左側面
大津市下阪本・眞光寺蔵
勢至菩薩立像 右側面
個人蔵
観音菩薩立像 右側面
大津市下阪本・眞光寺蔵