タイトル | 第182回ミニ企画展 三井寺の唐時代のパスポート |
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会期 | 令和5年(2023年)7月4日(火曜)から7月30日(日曜)まで |
休館日 | 月曜日(7月17日を除く)、7月18日(火曜) 詳しくは休館日カレンダーでご確認ください |
会場 | 大津市歴史博物館 常設展示室1階ミニ企画展コーナー |
開館時間 | 9時〜17時(展示室への入場は16時30分まで) |
観覧料 | 常設展示観覧料でご覧いただけます 一般:330円(260円) 高校生・大学生:240円(190円) 小学生・中学生:160円(130円) ※( )内は15名以上の団体料金 詳しくは利用のてびきへ |
最澄や空海とともに「入唐八家」として著名な智証大師円珍は、嘉祥5年(853)から天安2年(858)の約5年間、入唐しました。園城寺には、この時の古文書や典籍が、「智証大師関係文書典籍」として46件、そして絵画資料の「五部心観」1件(2点)が伝わり、すべて国宝に指定されています。これらは、東京国立博物館所蔵の国宝「円珍関係文書」等とともに、「智証大師円珍関係文書典籍―日本・中国の文化交流史―」として、令和5年5月にユネスコの「世界の記憶」に登録されました。
本展ではそれを記念して、円珍が入唐した際の貴重な資料である、「過所」や「公験」を展示します。特に「越州都督府過所」と「尚書省司門過所」は、唐の国内で円珍が移動するにあたっての役所から出された公式の通行証や証明書で、ほとんど現存しない唐時代の公文書として世界的に貴重なものです。また、円珍が持ち帰ったこれらの資料は、幾多の困難を乗り越えて現存し、我々が目にできることは奇跡といっても過言ではありません。本展により、国際性豊かであった大津の歴史と、文化財を伝えてきた先人の思いについて紹介したいと思います。
bP 国宝 越州都督府過所 1通
唐時代 大中9年(855)3月19日
園城寺蔵 縦30.9p・横44.0p
bQ 国宝 尚書省司門過所 1通
唐時代 大中9年(855)11月15日
園城寺蔵 縦30.7p・横62.2p
円珍が越州から長安に向かう際に、越州都督府が発行した過所(1)と、長安から戻るときに中央官庁の尚書省が発行した過所(2)。過所は、滞在場所の公的機関が、関所などの通過を各関所に依頼する公文書で、唐の国内パスポートともいうべき通行証です。
bR 国宝 請台州公験牒 1通
唐時代 大中12年(858)閏2月日
園城寺蔵 縦29.8p・横41.6p
bS 国宝 請台州刺史両字及印信牒 円珍加筆 1通
唐時代 大中12年(858)3月5日
園城寺蔵 縦30.0p・横41.2p
bT 国宝 再請台州刺史両字及印信牒 円珍加筆 1通
唐時代 大中12年(858)4月1日
園城寺蔵 縦29.1p・横42.5p
bU 国宝 請賜台州公験牒 1通
唐時代 大中12年(858)4月9日
園城寺蔵 縦29.9p・横40.7p
円珍が、経典を日本に持ち帰るための許可を台州刺史(長官)に申請したものの案。3通(3〜5)も残っており、なかなか許可が下りず3回も申請していることがわかります。4通目(6)は許可されたことに対しての謝意を表した牒(文書)です。
bV 国宝 台州公験 1通
唐時代 貞元21年(805)2月20日
園城寺蔵 縦30.4p・横126.0p(bV・8合)
bW 国宝 明州公験 1通
唐時代 貞元21年(805)5月13日
園城寺蔵
bX 台州公験請状 1通
唐時代 大中12年(858)閏2月日
園城寺蔵 縦28.p7・横300.7p
円珍が帰国のために台州刺史(長官)宛に申請書を提出するにあたり、文面の案を円珍が作成したものです。さらに、最澄がかつて台州と明州の刺史から発給された公験の写し(原本は延暦寺にあったか)を参考に添えています。
2023年 7月14日(金曜) 14時から15時まで ※14時に講堂集合。 |
ミニ企画展関連講座 「円珍の過所」スライドトーク 講師:寺島典人 (本館学芸員) |
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