大津絵のおしゃれな壁紙ができました!!当館収蔵品の大津絵の中から毎月1種類を選んで壁紙を公開します。
PCデスクトップ用とスマートフォン用があります。ぜひダウンロードして使ってください♪
(2021年1月〜12月に更新したものです。当初は、PC向けでカレンダー付ver.がありましたが、現在はカレンダー無しに差し替えています。)
大津絵壁紙企画もついに12月で最後。
有終の美ならぬ「ゆるさ」を飾るのは、「鬼念仏」です!
こわーい鬼が僧侶の恰好をしてお布施を募っています。形だけの善行をしても心は無慈悲な鬼のまま、という偽善の風刺です。本来恐ろしいはずの鬼が、慈悲深く善行を積んでいるというギャップが人気を集めたのでしょう。どこか憎めない愛らしい大人気キャラクターです。
11月の壁紙は、「提灯と釣鐘図」です。
前には提灯、後ろには釣鐘を、猿が天秤棒でかついでいます。何かおかしなことに気づきましたか?この天秤は、軽いはずの提灯が下がり、重いはずの釣鐘が上がっています。これは重んずべきものを軽んじているという意味で、道理が転倒した世の中の有様を風刺したものだとされています。とりわけ、親への孝行について諭しているそうです。早い時期から描きはじめられた人気の画題で、『大津追和気』や『狂歌画本大津ミやげ』にも登場しています。
10月の壁紙は、「長刀弁慶」が登場。長刀を構えて地面に突き立て、七つ道具を背負った弁慶が、力強く表現されています。「長刀弁慶」の画題は、奥州平泉の衣川(ころもがわ)の戦いで主君の源義経を守り抜いて立ち往生した弁慶を描いたとされ、慈悲の心の大切さを説く意味合いが込められています。
敬老の日にちなんで長寿にまつわる大津絵を紹介します。「外法(げほう)」は、七福神のひとつ福禄寿(ふくろくじゅ)の異名です。長い頭にハシゴをかけて、大黒天に髪を剃ってもらっています。財力(大黒天)の世話なくしては長寿も保てぬ、という風刺ですが、十種大津絵に選ばれ健康長寿の護符となりました。
遠雷、 雷神、 雷鳴、 落雷・・・。入道雲が湧きあがる夏の日は、夕立と雷がつきものです。
大津絵にも雷様が登場します。しかし、彼は大事な太鼓を落としてしまい、慌てて錨(いかり)で釣り上げようと、雲から落ちそうなほど焦っている滑稽なキャラクターとして描かれています。そんなどこか可愛らしさを感じさせる「雷公」は、雷除けの護符としても効能があるとされていました。
7月の壁紙は、剛弓の名手かつ超荒武者の「為朝」です。
彼は保元の乱で敗れ、伊豆諸島に流されましたが、八丈島では天然痘が流行せず、為朝の武威が退散させたと信じられました。また彼の無双の大弓(2.55m)は「運の強弓」として知られました。
梅雨の時期にふさわしい、しっとりとした大津絵です。
「傘さす女」は、宝永6年(1709)刊行の『大津 追和気』にも紹介されており、大津絵の中では古くから描かれていた美人画の画題です。傘をさし、高下駄を履いて凛と構える立ち姿は実に優雅で、まるで肉筆浮世絵風の美人画です。本作は保存状態が極めて良く、描かれた当時のような絵の具の発色が印象的です。
端午の節句には「鍾馗(しょうき)」の出番です。
厄よけ・疫病よけに頼られた中国の神で、宋代には、年越しに鍾馗像を門口に貼り、清代には、端午の節句に鍾馗像を掛けるようになりました。江戸時代の日本でも、鍾馗の幟(のぼり)や武者人形が造られ、端午の節句で用いられるようになりました。
大津絵には18世紀中ごろから描かれ始めました。大きくデフォルメされた髭(ひげ)が一番の特徴で、天を突くかのように長く伸びています。厳めしい表情と出で立ちで、厄を近づけまいとする威厳を表現している訳ですが、19世紀作のこの鍾馗像は、デザインの簡略化が進み、親しみを込めて「鍾馗さん」と呼び掛けたくなるかわいらしさがあります。
春に見ごろを迎える藤の花に合わせ、「藤娘」の登場です。
「鬼の念仏」とならび、大津絵を代表する画題のひとつです。美人画風の画題は、大津絵の早い時期からいくつか描かれていますが、その中で最も長く描き続けられたのが藤娘です。その当初は、藤を担ぐ遊女を描いたものでしたが、のちに若さや美貌のはかなさを暗示するようになりました。また良縁を結ぶ護符としても人気だったそうです。
春の陽気に誘われたような、愉快な「猫と鼠」を紹介します。
天敵である猫の前で、大きな瓢箪の酒を、これまた大きな杯から調子良く飲む鼠。猫はしめしめ、鼠に箸でつまみの唐辛子まで勧めて、油断しきった美味しそうな鼠をいつ食べてやろうかと、舌鼓を打ちながら狙っています。はたして鼠の運命は・・・?!
酒に呑まれて我を忘れることを戒める大津絵です。
大津市の広報誌『広報おおつ』2021年2月1日号の表紙を飾った大津絵「鬼のマスク念仏」です。掲載後、多くのお問い合わせをいただいたことから、大津絵壁紙の1枚として公開します。
この画像は、大津市歴史博物館所蔵の鬼念仏に、マスクを着せたように加工したものです。元の絵は、18世紀前半、いまから約300年前に描かれたもので、幕末には子どもの夜泣き止めや、疫病退散のお守りとして使われました。
大きな鬼が小さなねずみに怯える様が滑稽な大津絵です。
ねずみは、その黒い色や、大黒天がまつられる台所に出没することから、大黒天の使いとされ、またそのシンボルともされています。そんなねずみが魔除けに効果があると信じられ、節分には家の戸口を守る柊をくわえています。つまりこの大津絵は大津絵流の節分の「福は内、鬼は外」なのです。魔除け・厄除けとして、立春におうちで飾っていたのでしょう。ちなみに現存する作品はたいへん希少です。
松の枝にとまる鷹を描いた、新年にぴったりの家運隆盛を願うおめでたい大津絵です。
「鷹」は珍しい画題で、「松に鷹」のほかに、止まり木(架=ほこ)にとまる鷹狩り用の鷹を描いたものがあります。
紙の継ぎ方などから、18世紀に規格化された半紙2枚継ぎの世俗画大津絵が定着する以前の古い作だと考えられます。