大津市歴史博物館

お知らせ

第66回企画展
江若鉄道の思い出
平成27年 3月7日(土)〜4月12日(日)

白鬚付近 昭和44年 福田静二氏撮影

☆★当時の「記録」とみなさんの「記憶」でよみがえる 懐かしい風景★☆

 本展は、長く湖西の重要な交通機関として愛された江若鉄道(こうじゃくてつどう)について、当時の記録と様々な思い出で綴る展覧会です。
 江若鉄道の記録は、沿線の写真やスケッチ、ジオラマなど、営業当時の様子を伝える資料が、今も様々な形で残されています。今回は、これらを記録された方々のエピソードとともにご紹介します。
 また会場内では、これまで博物館に寄せられた江若鉄道に関する思い出をご紹介します。お越しになったみなさんの思い出も、是非そこに書き加えてください。
 懐かしい写真などから、みなさんの記憶を思い起こしていただくことで、ご一緒に当時の思い出を共有し、それらを後世へと伝えていく。そんな展覧会になればと考えています。

   
安曇川を渡る 昭和44年 福田静二氏撮影

江若鉄道について

 江若鉄道は、近江と若狭を結ぶ鉄道として計画され、大正10年(1921)の三井寺〜叡山駅間を皮切りに、昭和6年(1931)には浜大津〜近江今津駅間が開通しました。残念ながら、若狭までの延伸は実現しませんでしたが、湖西をむすぶ鉄路として、長年にわたって愛されてきました。国鉄湖西線の建設にともない、昭和44 年(1969)に廃線となりましたが、45年余が経過した今も、思い出深い鉄道として、多くの人々に語り継がれています。

   

おもな展示の紹介

◇ 江若鉄道の沿線スケッチ−赤井泰山さん ◇

 安曇川の故赤井泰山さんが、江若鉄道の廃線間際に描いた沿線スケッチです。浜大津から近江今津までの各駅や特徴的な風景が描かれています。

三井寺下駅スケッチ 昭和40年代 赤井泰山画
近江今津駅スケッチ 昭和40年代 赤井泰山画

 

◇ 江若鉄道、最後の二日間を追って−福田静二さん ◇

 当時、大学の鉄道同好会に在籍していた福田静二さんは、江若鉄道の廃線を知って各駅の様子や在籍車両などを精力的に撮影されました。展示では、昭和44年10月31日の営業運転最終日と、翌11月1日のさよなら運転の2日間にわたって撮影された沿線の風景を、ご本人のコメントとともに紹介します。

近江今津駅での記念撮影
昭和44年10月31日 福田静二氏撮影
お別れ列車を見守る(日吉駅)
昭和44年11月1日 福田静二氏撮影

◇ ジオラマで再現する思い出の風景−西村雅幸さん ◇

 西村さんにとって、江若鉄道の廃線は大学の鉄道同好会に在籍中のことでした。平成に入って、自身が撮影された写真や関係資料、関係者の聞き取りなどを元に、浜大津駅、三井寺下駅、白鬚駅、高島町駅の精巧なジオラマを制作されました。展示では、そのすべての模型を展示します。

浜大津ターミナル ジオラマ  西村雅幸氏制作
三井寺下駅 ジオラマ  西村雅幸氏制作

◇ 昭和43年夏の水泳輸送点描−江若交通株式会社 ◇

 沿線の水泳場へと行楽客を運ぶ夏の水泳輸送は、江若鉄道にとって一番のかきいれ時でした。江若交通には、昭和43年夏の水泳輸送の混雑の様子を記録した写真アルバムが保存されています。展示ではアルバムとともに、夏の混雑の様子を紹介します。

列車に乗り込む乗客(浜大津駅)
昭和43年 江若交通株式会社蔵
水泳を終え、帰りの列車を待つ(近江舞子駅)
昭和43年 江若交通株式会社蔵

◇ 社員が記録した沿線風景−溝好雄さん ◇

 江若鉄道に勤務していた溝さんは、廃線を迎えるにあたって沿線の風景を記録に残しました。駅間を少しずつ歩いて撮影した写真の中には、膳所-浜大津駅間の3線区間や滋賀-叡山駅間の線路脇にあった米軍の水耕農場跡など、関係者でなければ記録できない写真が多く含まれています。

浜大津−膳所駅間の国鉄貨物輸送 昭和44年 個人蔵
線路脇に残る水耕農園跡 昭和44年 個人蔵

◇エピローグ・江若鉄道の思い出◇

 関係者や利用者の当時の記憶から、江若鉄道営業当時の様子を再現するコーナーです。
 懐かしい沿線の写真に加えて、博物館にこれまでに寄せられた江若鉄道に関する思い出を、展示室の壁面いっぱいに貼りだしてご覧いただきます。お越しいただいたみなさんも、是非当時の思い出を書き加えてください。

 
〔博物館に寄せられた思い出から〕

 田んぼでの楽しみは、忘れた頃にやって来る江若鉄道に、3才下の弟と並んで「さよなら」と手を振る事。
 私達に気付いた方や車掌さんが手を振って下さる事が嬉しかった。
      
稲刈り時期の日吉駅付近
昭和44年 福田静二氏撮影


 
〔博物館に寄せられた思い出から〕

 昭和40年頃より助役勤務を命じられ、蓬莱駅等では、カーレータという動く道の珍しい物が登山者等で客が少し多くなり、忙しい毎日でした。
蓬莱駅付近(左奥にみえるのがカーレーター)
昭和44年 福田静二氏撮影

関連の催し物

展覧会をより深くご理解いただくための講座を開催いたします。
期間中には講演会2回と、三井寺下・浜大津周辺の現地見学会1回の計3回(いずれも有料)を予定しております。
聴講・参加には、事前申込が必要です。詳しくは、講座・講演会情報をご覧下さい。


浜大津交差点 昭和43年 江若交通株式会社蔵

企画展関連書籍

「江若鉄道の思い出 ありし日の沿線風景」
大津市歴史博物館編 サンライズ出版刊 A5判 128頁
大津市歴史博物館および一般書店にて発売中

 昭和44年(1969)、国鉄湖西線の建設にともない廃線になった江若鉄道は、廃線から45年余を経た現在も懐かしむ声が絶えません。本書は、江若鉄道のかつての様子を、浜大津−近江今津駅間の26駅の懐かしい写真とともに、駅周辺の町の移り変わりを交えて紹介しています。また、江若鉄道利用者や関係者の思い出もあわせて収録し、様々な角度から懐かしい江若鉄道の様子を思い起こせるように構成しました。


ダウンロード

企画展「江若鉄道の思い出」リーフレット(A4版、表裏)【PDF 1.92MB】


企画展インフォメーション

タイトル 企画展 江若鉄道の思い出
会期 平成27年 3月7日(土)〜4月12日(日)
期間中の休館日 月曜日(3月9・16・23・30日、4月6日)
会場 大津市歴史博物館 企画展示室B
主催 大津市、大津市教育委員会、大津市歴史博物館、京都新聞
協力 高島市教育委員会
後援 江若交通株式会社・NHK大津放送局・BBCびわ湖放送・エフエム滋賀
観覧料 一般:400円(320円)  高校・大学生:300円(240円)  小中学生:無料
※( )内は、前売、15名様以上の団体。および、大津市内在住の65歳以上の方、大津市内在住の障害者の方の割引料金(証明するものをご提示ください)。
前売券 前売券は、大津市観光案内所(JR大津駅・石山駅・堅田駅前)、大津市民会館、
ローソンチケット(Lコード:53799)をはじめ、京阪津地区の主なプレイガイドで2月13日から3月22日まで発売。