明智光秀が築いた坂本城周辺は、延暦寺の山麓でもあったことから、天台宗の古刹が点在しています。なかでも聖衆来迎寺(しょうじゅらいこうじ)は、国宝「六道絵」をはじめ、数々の寺宝を伝える寺として著名です。また、坂本の盛安寺(せいあんじ)も十一面観音立像が有名です。いずれも光秀とゆかりがあり、聖衆来迎寺には坂本城の城門が移築され、盛安寺も「明智寺」とも呼ばれていました。本展では、これらの寺々や坂本城周辺の社寺に伝わる宝物を紹介します。
タイトル | 開館30周年記念企画展 「聖衆来迎寺と盛安寺 ―明智光秀ゆかりの下阪本の社寺―」 |
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会期 | 令和2年(2020年)10月10日(土曜)から11月23日(月曜・祝日)まで ※会期中に一部展示替え(前期・後期)があります。 ※前期:10月10日(土曜)〜11月1日(日曜)、後期:11月3日(火曜・祝日)〜11月23日(月曜・祝日) ※「国宝 六道絵」(聖衆来迎寺蔵)は前期展示:10月10日(土曜)〜11月1日(日曜)です。 |
開館時間 | 午前9時から午後5時まで(展示室への入場は午後4時30分まで) |
休館日 | 月曜日(11月23日をのぞく)、11月4日 年間の休館日カレンダー |
会場 | 大津市歴史博物館 企画展示室A・B |
主催 | 大津市、大津市教育委員会、大津市歴史博物館、京都新聞 |
特別協力 | 聖衆来迎寺、盛安寺 |
協力 | 文化庁、滋賀県立琵琶湖文化館 |
後援 | 朝日新聞大津総局、e-radio、NHK大津放送局、共同通信社大津支局、KBS京都、産経新聞社、時事通信社大津支局、(株)ZTV滋賀放送局、中日新聞社、日本経済新聞社大津支局、BBCびわ湖放送、毎日新聞大津支局、読売新聞大津支局 |
観覧料 | 一般:800円(640円) 高校生・大学生400円(320円) 小学生・中学生200円(160円) ※( )内は、前売り、15名以上の団体、大津市内在住の65歳以上の方、大津市内在住の障がい者、介護保険の要介護者・要支援者の方の割引料金(証明するものをご提示ください)。 |
前売券 | 前売券は、大津市内観光案内所(JR大津駅・石山駅・堅田駅前)、ローソンチケット(Lコード52781)をはじめ、京阪津地区の主なプレイガイドで9月15日(火曜)から11月23日(月曜・祝日)まで発売。 |
以下から、チラシのダウンロードができます
展示品一覧(A4横・4ページ)[PDF:1MB]※出品作品と展示入替については予定のため、変更することがございます。
会期中に、展覧会の関連講座を開催いたします(10月16日、10月22日の講座は中止いたしました)。
聴講には、事前申込が必要ですので、申込締切日にご注意ください。また、新型コロナ感染予防のため、講座の開催方法に変更があります。
詳細は講座・講演会情報をご覧ください。
10月14日(水曜) | 「聖衆来迎寺と明智光秀」 講師:和田光生(本館学芸員) |
11月12日(木曜) | 「宝物にみる聖衆来迎寺と元応国清寺」 講師:鯨井清隆(本館学芸員) |
比叡山の麓の港町として栄えた下阪本地域には、延暦寺や日吉大社に関わる多くの神社仏閣が所在しています。特に近江の正倉院とも呼ばれる聖衆来迎寺には、著名な六道絵をはじめとした国宝や重要文化財が多数所蔵されています。そして、天台真盛宗盛安寺には、近江を代表する観音像である十一面観音立像などの名品が伝わります。
元亀2年(1571)、この下阪本の地に坂本城を築城したのが明智光秀です。ルイス・フロイスの『日本史』にも豪華壮麗と記された名城でした。後に本能寺の変や大津城築城などにより廃城となりましたが、現在でも坂本城の伝承は、城門が移築された聖衆来迎寺や、「明智寺」と呼ばれた盛安寺など周辺の社寺に伝わっています。
本展では、明智光秀ゆかりの下阪本に伝わる文化財を紹介します。普段はあまり公開されることなく寺院に伝わるたくさんの名宝に加え、今回は関係機関の特別なご協力により、東京や大阪、京都、奈良などに寄託されている至宝の数々の里帰りを予定しています。
特に国宝の「六道絵」は、その15 幅全てが並ぶのは地元の近江では実に36年ぶりのことで、かつてない規模でご覧いただけることとなるでしょう。また、海外の方々にも六道絵に親しんでいただけるよう、4か国語の解説パネルを用意した「六道絵の世界」も併設します。
本展を通じて、大津の豊かな歴史文化に触れていただけましたら幸いです。
※なお、「国宝 六道絵」の展示期間は10月10日〜11月1日です。
1.坂本城と下阪本の社寺
2.盛安寺
3.聖衆来迎寺
(1)聖衆来迎寺の歴史
(2)元応国清寺
(3)聖衆来迎寺の経典・聖教
(4)聖衆来迎寺の仏像
(5)聖衆来迎寺の工芸
(6)聖衆来迎寺の絵画
(7)国宝 六道絵 (展示期間:10月10日〜11月1日)
(8)六道絵の世界
国宝2件(17点)、重要文化財19件(36点)、県指定6件(6点)、市指定3件(3点)を含む約100件(約160点)を展示予定。
会期中に一部展示替えがあります(前期:10月10日〜11月1日、後期:11月3日〜11月23日)
元亀2年(1571)に明智光秀が築城した坂本城の伝承は、城門が移築された聖衆来迎寺や、「明智寺」と呼ばれた盛安寺、光秀の正室、熙子の墓がある西教寺など、周辺の社寺に現在も伝わっています。ここでは、展覧会準備中にみつかりました、熙子の戒名が記された仏涅槃図などを紹介します。
仏涅槃図【墨書銘】 1幅
聖衆来迎寺蔵 天正9年(1581)銘
※裏面(墨書銘側)を展示予定
織田秀信像(信長の孫、三法師)1幅
聖衆来迎寺蔵 桃山時代
陣太鼓 1面
盛安寺蔵 ※常設展示室内1階
近世に「明智寺」と呼ばれ、光秀ゆかりの陣太鼓や位牌などが伝わる盛安寺(天台真盛宗)。平安〜鎌倉時代の仏像や、室町時代の仏画などの優品を紹介します。
重要文化財
十一面観音立像 1躯
盛安寺蔵 平安時代
阿弥陀如来立像(片袖弥陀)1躯
盛安寺蔵 鎌倉時代
大津市指定文化財
地蔵菩薩立像 1躯
盛安寺蔵 鎌倉時代
仏涅槃図 1幅
盛安寺蔵 室町時代
※展示は前期のみ
阿弥陀三尊来迎図 1幅
盛安寺蔵 室町時代
※展示は後期のみ
慈恵大師二童子像 1幅
盛安寺蔵 江戸時代
※展示は後期のみ
恵心僧都源信にゆかりのある聖衆来迎寺(天台宗)。「近江の正倉院」とも呼ばれ、沢山の寺宝を伝えていることで有名です。ここでは、聖衆来迎寺の歴史的な事柄について紹介します。
滋賀県指定文化財
恵心僧都像 1幅
聖衆来迎寺蔵 鎌倉時代
真玄上人像 1幅
聖衆来迎寺蔵 江戸時代
慈眼大師(天海)像 1幅
聖衆来迎寺蔵 江戸時代
重要文化財
霊山院釈迦堂毎日作法 1巻
寛弘4年(1007)
※前期・後期で展示部分が異なります
来迎寺要書 3冊
聖衆来迎寺蔵 江戸時代
鎌倉時代後期、天台宗の円頓戒の戒場として京都の白川に創建された元応寺(元応国清寺)。聖衆来迎寺は、桃山時代にこの元応寺の寺籍を受継ぎ、多くの仏像や仏画、聖教類が移されてきました。ここでは、元応寺ゆかりの宝物を紹介します。
重要文化財
日光・月光菩薩立像 2躯
聖衆来迎寺蔵 元応元年(1319)
戒壇釈迦図 1幅
聖衆来迎寺蔵 鎌倉時代
※展示は前期のみ
重要文化財
釈迦三尊像 3幅
奈良国立博物館蔵 室町時代
聖衆来迎寺旧蔵
※展示は後期のみ
国宝 十六羅漢図(16幅のうち2幅)
東京国立博物館蔵 平安時代
聖衆来迎寺旧蔵
※前期展示:第八尊者、後期展示:第十三尊者
重要文化財
十二天図 12幀
聖衆来迎寺蔵 鎌倉時代
※前期6幀、後期6幀で展示替え
重要文化財
水瓶 1口
聖衆来迎寺蔵 建治2年(1276)
※展示は前期のみ
比叡山麓の天台宗寺院として、聖衆来迎寺には多くの経典や聖教が現存しています。ここでは、主な経典類を紹介します。
梵夾(円珍請来) 4葉
聖衆来迎寺蔵 唐時代
滋賀県指定文化財
注大般涅槃経巻第十 1巻
聖衆来迎寺蔵 奈良時代
※展示は前期のみ
滋賀県指定文化財
不空羂索神変真言経巻第三 1巻
聖衆来迎寺蔵 奈良時代
※展示は後期のみ
滋賀県指定文化財
観音経 1巻
聖衆来迎寺蔵 奈良時代
※展示は前期のみ
重要文化財
法華経 1巻
聖衆来迎寺蔵 平安時代
※展示は後期のみ
仏舎利系図 1巻
聖衆来迎寺蔵 南北朝時代
※展示は後期のみ
聖衆来迎寺には、白鳳・奈良時代から江戸時代まで、各時代のさまざまな仏像が安置されています。比叡山文化を代表する名品の数々を紹介します。
重要文化財
釈迦如来坐像 1躯
聖衆来迎寺蔵 鎌倉時代
地蔵菩薩立像 1躯
聖衆来迎寺蔵 平安時代
重要文化財
地蔵菩薩立像 1躯
聖衆来迎寺蔵 元徳二年(1330)
重要文化財
十一面観音立像 1躯
聖衆来迎寺蔵 平安時代
重要文化財
薬師如来立像 1躯
聖衆来迎寺蔵 奈良時代
吉祥天立像 1躯
聖衆来迎寺蔵 平安時代
阿弥陀如来立像(引接弥陀) 1躯
聖衆来迎寺蔵 鎌倉時代
愛染明王坐像 1躯
聖衆来迎寺蔵 鎌倉時代
菩薩立像 1躯
聖衆来迎寺蔵 鎌倉時代
聖衆来迎寺のバリエーション豊かな工芸品を紹介します。
重要文化財
犀角如意 1柄
聖衆来迎寺蔵 平安時代
※展示は前期のみ
重要文化財
堆朱香盆 1口
聖衆来迎寺蔵 元時代
※展示は前期のみ
滋賀県指定文化財
独鈷杵 1口
聖衆来迎寺蔵 平安時代
※展示は後期のみ
重要文化財
三具足 1具
聖衆来迎寺蔵 明時代
※展示は後期のみ
大津市指定文化財
雲板 1面
聖衆来迎寺蔵 寛正6年(1465)
※展示は後期のみ
御簾楓蒔絵硯箱 1合
聖衆来迎寺蔵 桃山時代
※展示は後期のみ
聖衆来迎寺には、仏画から襖絵まで、いろいろな絵画類が現存しています。ここでは、初公開作品を含む、主な絵画を紹介します。
重要文化財
山王曼荼羅舎利厨子 1基
聖衆来迎寺蔵 室町時代
※展示は後期のみ
法華種子曼荼羅図 1幅
聖衆来迎寺蔵 鎌倉時代
※展示は後期のみ
釈迦如来像(紅衣釈迦) 1幅
聖衆来迎寺蔵 室町時代
※展示は前期のみ
重要文化財
十六羅漢図(十八羅漢図) 2幅
聖衆来迎寺蔵 室町時代
※展示は前期のみ
重要文化財
楊柳観音図 1幅
聖衆来迎寺蔵 高麗時代
※展示は後期のみ
瓶花図 伝王淵筆 1幅
聖衆来迎寺蔵 元〜明時代
※展示は後期のみ
重要文化財
釈迦十六善神図 1幅
聖衆来迎寺蔵 鎌倉時代
※展示は後期のみ
観経変相図 1幅
聖衆来迎寺蔵 鎌倉時代
※展示は後期のみ
三千仏 3幅
聖衆来迎寺蔵 南北朝時代
※展示は後期のみ
天台浄土教の至宝、聖衆来迎寺の六道絵(鎌倉時代)について、地元の滋賀県では36年ぶりに、15幅全てを展示します。
国宝六道絵の展示期間は、前期:10月10日(土曜)から11月1日(日曜)まで。後期は、江戸時代の模本5幅を展示。
閻魔庁図
※展示は前期のみ
阿鼻地獄図
※展示は前期のみ
人道苦相図1
※展示は前期のみ
六道絵に描かれている図柄について、江戸時代の模本の写真パネルを使って、四か国語(日本語・英語・中国語・ハングル)で説明します。【2階展望ロビー】
閻魔庁図(江戸時代模本)
阿鼻地獄図(江戸時代模本)
人道苦相図1(江戸時代模本)