大津市歴史博物館

お知らせ

壬申の乱1350年記念企画展
 大友皇子と壬申の乱
開催期間 令和4年(2022年)10月8日(土曜)から11月23日(水曜・祝日)まで

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 本年は、672年の壬申の乱から1350年という節目の年です。日本古代史上、最大の争乱といわれる壬申の乱は、大友皇子と大海人皇子による皇位継承の争いでした。
 大友皇子は、大津に都を遷した天智天皇の長子で、太政大臣の地位にあり、近江朝廷の中心人物でした。一方、天智天皇の弟・大海人皇子は、天智天皇の晩年に政権中枢を離れて吉野宮へ退きながらも、多くの支持を得て兵を集め、乱の勝者となりました。その後、再び都を飛鳥に移し即位した天武天皇は、天皇を中心とした国づくりを進めていきました。
 国史として編纂された『日本書紀』は、壬申の乱の経緯を詳しく伝えますが、大友皇子の最後の地は「山前」と記されるのみです。後世、大友皇子は即位の有無が議論になるとともに、埋葬地についても異説や伝承が多数みられ、時代によって認識が変化していきました。
 本展では、古代の壬申の乱から、明治政府によって大友皇子が弘文と諡号され、弘文天皇陵が定められた近代の動向までを、各地の出土品や歴史資料から紹介します。


企画展インフォメーション

   
タイトル 壬申の乱1350年記念企画展(第88回企画展)
「大友皇子と壬申の乱」
会期 令和4年(2022年)10月8日(土曜)から11月23日(水曜・祝日)まで
開館時間 午前9時から午後5時まで(展示室への入場は午後4時30分まで)
休館日 月曜日(10月10日を除く)、10月11日(火曜)、11月4日(金曜)
年間の休館日カレンダーをご確認ください
会場 大津市歴史博物館 企画展示室A
主催 大津市歴史博物館
後援 朝日新聞大津総局、e-radio、NHK大津放送局、共同通信社大津支局、京都新聞、KBS京都、産経新聞社、時事通信社大津支局、(株)ZTV滋賀放送局、中日新聞社、日本経済新聞社大津支局、BBCびわ湖放送、毎日新聞大津支局、読売新聞大津支局
観覧料 一般:800円(640円)、高校生・大学生:400円(320円)、小学生・中学生:200円(160円)
※企画展観覧料で、常設展示もご覧いただけます。
※()内は、前売り、15名以上の団体、大津市内在住の65歳以上の方、大津市内在住の障がい者の方、大津市内在住の介護保険の要介護者・要支援者の方の割引料金(証明できるものをご提示ください)。
※前売り券は、当館受付では10月7日まで販売し、大津市内観光案内所(大津駅・石山駅・堅田駅前)で9月10日から11月23日まで販売します。
※文化財家族参観事業(家族ふれあいサンデー)について、企画展は対象になりません。
図録 企画展図録『大友皇子と壬申の乱』96ページ(A4判変形)、1,500円
当館ミュージアムショップで販売中。
※通販をご希望の方はお問い合わせください。

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以下から、チラシのダウンロードができます。

企画展「大友皇子と壬申の乱」チラシ A3両面【6.7MB】

企画展「大友皇子と壬申の乱」展示資料一覧



企画展関連講座

会期中に、関連講座を開催いたします。
聴講には、事前申込が必要です。申込方法や料金など、詳しくは講座・講演会情報をご覧ください。

           
2022年
 10月10日(月曜・祝日)
14時から15時30分まで
記念講演会「壬申の乱とその時代」
 講師:早川 万年 氏(元岐阜大学教授)
 ※会場:大津市役所別館1階大会議室
 10月15日(土曜)
14時30分から16時まで
れきはく講座「あのね、壬申の乱ってね…」-1350年の伝言ゲームと宮滝遺跡の調査前史-
 講師:中東 洋行 氏(吉野歴史資料館学芸職員)
 11月5日(土曜)
14時30分から16時まで
れきはく講座「壬申の乱の『山前』を考える」
 講師:松浦 俊和 氏(元大津市歴史博物館長)
2022年
 10月27日(木曜)
 午後
現地見学会「近江大津宮関連史跡をめぐる」(滋賀里〜錦織周辺)
 11月10日(木曜)
 午後
現地見学会「壬申の乱伝承地をめぐる」(瀬田唐橋周辺)
2022年
 10月28日(金曜)
11月12日(土曜)
 14時から(40分程度)
スライドトーク「大友皇子と壬申の乱」 ※講堂での展示解説 
講師:本館学芸員

展示構成と主な展示作品

1.壬申の乱 (1)天智天皇と近江大津宮


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小倉遊亀 或る御神像 1978年(昭和53年)
滋賀県立美術館蔵(同画像提供)

大津市西の庄・石坐神社の天智天皇・大友皇子・宅子媛像をモデルに描かれた作品

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天智天皇坐像 江戸時代 大練寺蔵


 
  

1.壬申の乱 (2)大津宮周辺の古代寺院

   

崇福寺跡、南滋賀町廃寺、穴太廃寺、衣川廃寺、真野廃寺、園城寺前身寺院、大津廃寺、膳所廃寺などの出土品を展示し、大津宮周辺の古代寺院を紹介します。

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国宝 崇福寺塔心礎納置品
白鳳時代 近江神宮蔵


  
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大津宮周辺の白鳳寺院出土瓦

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大津市指定文化財 崇福寺跡出土 せん仏
白鳳時代 近江神宮蔵


     
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穴太廃寺出土 銀製押出仏
白鳳時代 滋賀県立安土城考古博物館蔵

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穴太廃寺出土 三尊せん仏
白鳳時代 滋賀県立安土城考古博物館蔵


     
 

1.壬申の乱 (3)壬申の乱の経過と関連遺跡


『日本書紀』の記述に沿いながら、乱の経過を追っていきます。関連地域の遺跡・遺物などを展示します。

 
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壬申の乱 戦乱全体図


  
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宮滝遺跡(吉野宮跡)出土の土器
奈良県立橿原考古学研究所蔵(同附属博物館画像提供)

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久留倍官衙遺跡出土の埋納土器
奈良時代 四日市市蔵


     
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三重県縄生廃寺塔心礎納置品
白鳳時代 文化庁蔵(同画像提供)

※本展ではレプリカ(朝日町歴史博物館蔵)を展示。

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不破関出土 複弁蓮華文軒丸瓦
白鳳時代 不破関資料館蔵(同画像提供)


     
   
 
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石神遺跡出土の鉄鏃
白鳳時代 奈良文化財研究所蔵(同画像提供)


   
 
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古代の瀬田橋復元模型 唐橋遺跡・第1橋(7世紀中頃)
滋賀県立琵琶湖博物館蔵(同画像提供)


  
 
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唐橋遺跡出土の土器
滋賀県立琵琶湖博物館蔵


   

 

1.壬申の乱 (4)天武天皇と飛鳥浄御原宮


 
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飛鳥池出土「天皇」木簡
白鳳時代 奈良文化財研究所蔵(同画像提供)

※本展ではレプリカを展示。

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川原寺裏山遺跡出土 方形三尊せん仏
白鳳時代 明日香村教育委員会蔵


     
 
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川原寺裏山遺跡出土 塑像(神将形の腰部)
白鳳時代
明日香村教育委員会蔵(奈良文化財研究所画像提供)

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川原寺裏山遺跡出土 塑像(丈六像の指)
白鳳時代 明日香村教育委員会蔵


     

 

2.大友皇子と弘文天皇 (1)大友皇子の人物像

   
 
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大友皇子像
江戸時代 法傳寺蔵
展示期間:10月8日〜30日

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大友皇子像
1922年(大正11) 法傳寺蔵
展示期間:11月1日〜23日


   
 

2.大友皇子と弘文天皇 (2)大友皇子即位説の展開

   

大友皇子を皇太子とする『懐風藻』、即位と記した『扶桑略記』や『水鏡』、大友皇子を歴代天皇に加え即位説を取り上げた江戸時代の『大日本史』や『長等の山風』などの文献を展示します。

 
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近江輿地志略 巻之九十五
1734年(享保19) 滋賀県立琵琶湖文化館蔵

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伴信友 長等の山風
江戸時代 園城寺法明院蔵


     
 

2.大友皇子と弘文天皇 (3)弘文天皇の誕生

   

明治3年、大友皇子は「弘文天皇」と諡号され、歴代天皇に加えられました。この際の公文書を展示します。

 
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大友帝外二帝諡号取調ノ儀御達並御奉諡祭典式
重要文化財 公文録(公00320100)
1870年(明治3) 国立公文書館蔵

※展示期間中に頁替えあり


  
 

3.弘文天皇陵の探索と決定 (1)弘文天皇陵の決定

明治8〜9年頃、弘文天皇陵の探索が本格化し、明治10年には現在の弘文天皇陵が定められました。天皇陵決定と、その経緯について、国や滋賀県に残る当時の公文書の記録を展示します。

 
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近江国滋賀郡別所村陸軍営所柵内亀丘図(「弘文天皇長等山前陵勘註」付属図)
重要文化財 公文録(公02044100)
1877年(明治10) 国立公文書館蔵

※展示期間中に頁替えあり(本図の展示期間は11月8日〜23日)


  

 

3.弘文天皇陵の探索と決定 (1)江戸時代の大友皇子陵墓考証 (2)弘文天皇陵の候補地

   
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首註陵墓一隅抄
明治時代刊 本館蔵

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弘文天皇御陵見込書
滋賀県指定文化財 滋賀県行政文書(明せ99-79)
1976年(明治9)6月20日 滋賀県立公文書館蔵


     
 

3.弘文天皇陵の探索と決定 (2)弘文天皇陵の候補地

  
 

最終的に弘文天皇陵と決定された「亀丘(亀塚)」以外にも、現大津市域内に位置した王子山古墳、膳所茶臼山古墳上の塚、鳥居川御霊神社、現京都府乙訓郡大山崎町で宝積寺門前に位置した伝大友皇子御陵、現岐阜県不破郡関ケ原町の首塚などが候補として上げられていました。関連資料を展示して、それぞれの候補地を紹介します。

 
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園城寺境内古図(北院)
江戸時代 園城寺蔵

左下の住吉社と並び「亀岳」が描かれている。


  
 
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園城寺境内図
江戸時代 園城寺蔵

江戸時代末頃の園城寺境内を描いた図。北院の手前隅に、かろうじて亀丘らしき小丘が確認できる。


  
 
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園城寺領古絵図
明治時代 本館蔵

亀丘や、王子山古墳が位置した王子山(王城山)が描かれている。


  
 
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王子山古墳の略図 (弘文天皇御陵見込書付図より)
滋賀県指定文化財 滋賀県行政文書(明せ99-79)
1876年(明治9)6月15日 滋賀県立公文書館蔵

※パネル展示


  
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御陵御取調ニ付書上
1871年(明治4)4月 錦織共有財産管理委員会蔵

王子山(王城山とも書かれた)の位置する錦織村から、その山中に大石のあることを報告した文書。この場所が、王子山古墳として弘文天皇陵候補となった。

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岩垣松苗 国史略
1865年(慶応元)刊 個人蔵

江戸時代後期の歴史書で、膳所茶臼山に大友皇子が葬られたという伝承が記されている。


     
 
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葬り塚図
1885年(明治18) 法傳寺蔵

膳所茶臼山古墳上に築かれた五基の塚(大友皇子、その子・与多王、群臣たちが葬られたと伝わる)を描いた図


  
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東海道名所図会 秋里籬島編
1797年(寛政9) 本館蔵

鳥居川御霊神社の祭神が大友皇子であることを記している。

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御霊社取調書・鳥居川御霊神社境内絵図(部分)
滋賀県指定文化財 滋賀県行政文書(明せ99-37)
1975年(明治8)6月18日 滋賀県立公文書館蔵

※パネル展示


     
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宝積寺絵図
江戸時代 大山崎町歴史資料館蔵

宝積寺門前に「大友皇子御陵」と記された小丘が描かれている。

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宝積寺絵図(部分)
江戸時代 宝積寺蔵

※パネル展示。宝積寺絵図の原図。


 
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自害峰(岐阜県関ケ原町) 2022年撮影
※パネル展示

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藤下村字自害峯鎮座若宮八幡社並山神之図
明治時代 関ケ原町歴史民俗学習館蔵


 
 

3.弘文天皇陵の探索と決定 (4)千葉県内の弘文天皇陵治定運動

  

大友皇子御陵伝承は、千葉県にも存在します。明治10年代〜30年代頃、旧久留里藩士たちを中心に、白山神社古墳(現千葉県君津市俵田)を弘文天皇陵とする治定運動が活発に行われました。当地に伝わる関連資料を展示します。

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弘文天皇御陵之儀ニ付建言(田原家文書)
1881年(明治14)4月20日
個人蔵・君津市立久留里城跡資料館画像提供

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御陵之事のうち小櫃山古図(田原家文書)
1895年(明治28)
個人蔵・君津市立久留里城跡資料館画像提供


 
 
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各地に残る大友皇子御陵伝承


  

大津市内の壬申の乱1350年記念事業

詳しくは長等創作展示館・三橋節子美術館ホームページをご覧ください。

 
2022年
 10月29日(土曜)〜11月23日(水曜・祝)
「鈴木靖将が描いた壬申の乱絵画展」
 11月3日(木曜・祝)
13時30分から15時まで
「鈴木靖将氏講演会と大津京コンサート」
 11月6日(日曜)
13時30分から14時30分まで
講演会「大友皇子とその遺跡」
 講師:大友暢 氏(愛荘町立歴史文化博物館学芸員)