紫式部が『源氏物語』の着想を得たといわれ、『枕草子』などにも登場する文学の寺として知られる石山寺。本尊の如意輪観音像の霊験が多くの人々の信仰を集めたことから、西国三十三所観音巡礼の札所としても著名です。また、石山寺はすぐれた教学が花開いた学問の寺としての側面を持っています。平安時代には、淳祐内供(しゅんにゅうないく)の入寺などを契機に真言密教の影響を受け、学僧たちが学問に励む場となりました。石山寺に残る淳祐内供筆聖教〔薫聖教(においのしょうぎょう)〕や一切経、校倉(あぜくら)聖教などは彼らの研鑽(けんさん)の証です。
本展では、石山寺に伝わる貴重な寺宝が一堂に会し、石山寺縁起絵巻(重要文化財)を全巻展示するとともに、近年の調査で新たに確認された仏像・仏画・聖教類を初公開します。
近江屈指の古刹・石山寺の歴史と仏教文化をぜひご覧ください。
タイトル | 第96回企画展 「石山寺 ―密教と観音の聖地―」 |
---|---|
会期 | 令和6年(2024年)10月12日(土曜)から11月24日(日曜)まで [前期]10月12日(土曜)から11月4日(月曜・祝日)まで [後期]11月6日(水曜)から11月24日(日曜)まで ※一部作品は、前期・後期内でさらに期間を限定して、展示替や巻替をおこないます。詳しくは、出品リストをご覧ください。 |
開館時間 | 午前9時から午後5時まで(展示室への入場は午後4時30分まで) |
休館日 | 10月15日(火曜)・21日(月曜)・28日(月曜)、11月5日(火曜)・11日(月曜)・18日(月曜) ※年間の休館日カレンダーをご確認ください。 |
会場 | 大津市歴史博物館 企画展示室A・B |
主催 | 大津市歴史博物館 |
特別協力 | 大本山石山寺 |
後援 | 朝日新聞大津総局、e-radio、NHK大津放送局、共同通信社大津支局、京都新聞、KBS京都、産経新聞社、時事通信社大津支局、(株)ZTV滋賀放送局、中日新聞社、日本経済新聞社大津支局、BBCびわ湖放送、毎日新聞大津支局、読売新聞大津支局 |
観覧料 | 一般:1,000円(800円)、高校生・大学生:600円(480円)、小学生・中学生:200円(160円) ※本入場券で同時開催の全ての展示(特集展示「源氏物語と大津」を含む)をご覧いただけます。 ※( )内は15名以上の団体、大津市内在住の65歳以上の方、大津市内在住の障がい者の方、大津市内在住の介護保険の要介護者・要支援者の方の割引料金。(証明できるものをご提示ください) ※大津市文化財家族参観事業(家族ふれあいサンデー)について、本展は対象になりません。 |
図録 | 企画展図録『石山寺 ―密教と観音の聖地―』144ページ(A4判変形) 1,700円 当館ミュージアムショップで販売。 |
以下から、チラシ・出品リストのダウンロードができます。
企画展「石山寺 ―密教と観音の聖地―」チラシ A4両面【2.56MB】
企画展「石山寺 ―密教と観音の聖地―」出品リスト(※前期・後期で一部の展示替をおこないます。)【230KB】
企画展関連の記念講演会や講座を開催します。
会場は大津市歴史博物館講堂(定員100名)。有料。聴講には、事前申込が必要です(申込多数の場合は抽選)。申込方法、各講座の受付締切、料金など、詳しくは【講座・講演会情報】ページをご覧ください。※各講座は、申込受付の準備が整いましたら随時公開します。未掲載の場合は、公開までしばらくお待ちください。
2024年 10月24日(木曜) 14時〜15時30分 |
【記念講演会】石山寺の歴史と文化 講師:鷲尾龍華氏(大本山石山寺座主) |
10月26日(土曜) 14時〜15時30分 |
【れきはく講座】石山寺本尊・観音三尊像の変遷 講師:柘植健生(本館学芸員) |
11月3日(日曜) 14時〜15時30分 |
【記念講演会】石山寺縁起絵巻を読み解く 講師:國賀由美子氏(大谷大学教授) |
11月9日(土曜) 14時〜15時30分 |
【記念講演会】石山寺の金銅仏-金属組成分析を踏まえて- 講師:藤岡穣氏(大阪大学教授) |
11月16日(土曜) 14時〜15時30分 |
【れきはく講座】石山秋月について-紫式部・広重・古写真- 講師:横谷賢一郎(本館学芸員) |
11月23日(土曜・祝日) 14時〜15時30分 |
【れきはく講座】観音三十三身説について-石山寺三十三応現身像の理解のために- 講師:赤津將之(本館学芸員) |
10月17日(木曜)、31日(木曜)、11月7日(木曜)、14日(木曜)、21日(木曜)の各日14時から30分程度、学芸員によるギャラリートークを開催いたします。各回で解説する資料や内容が異なります。急遽内容が変更になる場合もありますので、ご了承ください。
※事前申込は不要。会場は企画展示室内です。当日の企画展観覧券が必要です(れきはくカード会員の方は、カードをご提示ください)。
2024年 10月17日(木曜) 14時から |
ギャラリートーク「観音信仰と石山寺」 |
10月31日(木曜) 14時から |
ギャラリートーク「石山寺縁起絵巻を中心に」 |
11月7日(木曜) 14時から |
ギャラリートーク「古文書からみる石山寺の歴史」 |
11月14日(木曜) 14時から |
ギャラリートーク「石山寺開帳と参詣」 |
11月21日(木曜) 14時から |
ギャラリートーク「石山寺の聖教と密教図像」 |
※本展は、会期中に展示替をおこないます。
※掲載画像の無断転載禁止。
保良宮や東大寺と関係するとして建立された石山寺。本章では、草創にかかわる作例とともに、本尊の像内に納入された4躯の金銅仏など、奈良時代から江戸時代までの本尊についての史料を紹介しながら、石山寺の草創と本尊の変遷をたどります。
重要文化財 金剛蔵王立像断片
奈良時代 石山寺蔵
重要文化財 仏涅槃図
鎌倉時代 石山寺蔵
※前期展示
良弁僧正像
室町時代 石山寺蔵
石山寺は、平安時代中期の10世紀頃には、醍醐寺などの真言系寺院の影響を受けることとなります。聖宝、観賢、淳祐内供の入寺によって密教化したのちのあゆみについて、(1)淳祐内供と薫聖教、(2)経蔵をひらく 一切経と校倉聖教、(3)密教図像の世界、(4)受け継がれる教え 江戸時代の宝物整備、の4節に分けて紹介します。
国宝 漢書高帝紀下
奈良時代 石山寺蔵
※後期展示のうち11月19日から11月24日まで
重要文化財 北斗惣明咒
平安時代 石山寺蔵
※後期展示
重要文化財 不動御面図
仁安2年(1167) 石山寺蔵
※後期展示
不動明王立像
鎌倉時代 石山寺蔵
石山寺は、公家・武家・大寺院などの権門と関わりながら法灯を受け継いできた側面があります。本章では、主に鎌倉時代から江戸時代の、石山寺と武家や有力寺社とのかかわりを紹介します。
重要文化財 建久年中検田帳
建久8年(1197) 石山寺蔵
※1巻は前期展示、2巻は後期展示
石山寺定置条々
慶長14年(1609) 石山寺蔵
石山寺は、真言密教の研学の場であるとともに、古来より著名な観音霊場でもありました。本章では、観音信仰に関わる彫刻や絵画作品、勧進帳、近世の開帳関係資料などから、石山観音に対する様々な信仰を紹介します。
三十三応現身像のうち梵王身
鎌倉〜南北朝時代 石山寺蔵
重要文化財 如意輪観音坐像
平安時代 石山寺蔵
石記
南北朝時代 石山寺蔵
奈良時代以来の由緒を誇る石山寺には、数多くの仏画や仏像が伝わっています。長い歴史を物語る優品の数々を紹介します。
春日宮曼荼羅
南北朝時代 石山寺蔵
星曼荼羅
室町時代 石山寺蔵
川弁才天曼荼羅
南北朝時代 石山寺蔵
不動明王二童子像
室町時代 石山寺蔵
奈良時代以来の由緒を誇る石山寺には、数多くの仏画や仏像が伝わっています。長い歴史を物語る優品の数々を紹介します。
滋賀県指定文化財 阿弥陀如来坐像
平安時代 石山寺蔵
重要文化財 維摩居士坐像
平安時代 石山寺蔵
重要文化財 大日如来像
鎌倉時代 石山寺蔵
重要文化財 菩薩立像
飛鳥時代 石山寺蔵
「石山寺縁起絵巻」は、正中年間(1324〜26)に作り始められた全7巻33段からなる絵巻物です。巻一から巻三は、鎌倉時代の宮廷画師・高階派が手掛けたもので、当時最高峰の画技をしることができるのに加え、貴族から庶民に至る生活史をうかがう材料としても貴重です。本展では「石山寺縁起絵巻」を全巻展示し、豊かな色彩や登場人物のユーモラスな表現をご覧いただきます。
※各巻とも、巻替をおこないながら展示しますので、日程によりご覧いただける場面が異なります。1期目は10月12日(土曜)から10月20日(日曜)まで、2期目は10月22日(火曜)から11月4日(月曜・祝日)まで、3期目は11月6日(水曜)から11月17日(日曜)まで、4期目は11月19日(火曜)から11月24日(日曜)まで。
重要文化財 石山寺縁起絵巻 巻第一
[絵]鎌倉時代 [詞]南北朝時代
石山寺蔵
※巻替有
重要文化財 石山寺縁起絵巻 巻第二
[絵]鎌倉時代 [詞]南北朝時代
石山寺蔵
※巻替有