大津市歴史博物館

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第11回 約1300年前の鴟尾、ここに復活 
        -全国初、山ノ神遺跡出土鴟尾4基のうち3基勢ぞろい-

セレモニー風景

   大津市一里山三丁目にある山ノ神遺跡の窯跡で、今から約1300年前に焼くのに失敗して、そのまま放置された鴟尾4基のうち3基が完全復元され、 勢ぞろいしました。
 鴟尾とは、宮殿や寺院の屋根の両端に取り付けられた飾りで、建物を力強く立派に見せる役目があります。奈良県唐招提寺の鴟尾は、奈良時代のものがつい最近まで屋根の上に乗っていて有名です。しかしこれは例外で、ほとんどの鴟尾は遺跡の発掘調査で見つかります。現在までに約300例ほどの鴟尾が見つかっていますが、たいてい破片で完全に復元できるものは、ほんのわずかです。山ノ神遺跡ではそのような状況の中、完全に復元できる鴟尾が4基も見つかりました。
 これらの鴟尾は焼成途中に窯の天井が崩壊したため埋まってしまい、取り出されること無く放置されたものです。4個体もの鴟尾が一度に出土したのは、全国的に見ても珍しいことです。 これらの鴟尾は焼成途中であったので、劣化が著しく現状のままでは復元が困難なため、薬品による保存処理を行い、今年度は2基の復元をおこないました。内、1基は製作台(焼き台も兼ねる)と考えられるはしご状に組んだ木製の台も復元しました。前年度の鴟尾と合わせ、完全な形の鴟尾が3基も展示されるのは全国でも初めてです。
 今回、3基の鴟尾の完成を記念して、4月1日から博物館エントランスにお披露目することになりました。完全復元した鴟尾3基は、形や大きさ・飾り方などが非常によく似ていることから、一つのお手本を基にして作ったのではないかと考えられます。しかし、じっくり見比べてみると、いろいろな違いが見られます。さて、皆さんはいくつの違いを見つけることができるでしょうか?
(歴史博物館文化財保護課 田中久雄)

特別展示期間  平成18年4月1日(土)より4月16日(日)まで(月曜日は休館)


展示場所   大津市歴史博物館エントランスホール(入場無料)