博物館の活動紹介
第16回 博物館の新収蔵品について(平成18年度1期分)
博物館では、散逸しがちな地域の史料や文化財を積極的に収集・保存しています。今回は、平成18年度第1期の新収蔵品を紹介します。
昭和初年大津祭16ミリフィルム(缶入り) 一巻 昭和初年 (購入)
昭和初年(戦前)頃の大津祭を記録した16ミリフィルム。撮影・竹内鸚亮。収録時間は約6分で、祭礼前の天孫神社の境内や曳山の巡行やからくりの様子、現在は行われていない神輿の渡御風景など、大津祭の歴史を振り返るのに貴重な映像である。また、それのみではなく、見物人やそれを取り締まる警官の服装、背の低い町家の姿、滋賀県庁の旧庁舎や、庁舎前の通り(赤十字病院の滋賀支部やアサヒビールと右から記された看板が写る)など、当時の大津町の有様も写されており、町の景観の変遷をたどるうえでも貴重なデータを提供してくれている。
鬼子母神像 1幅 江戸 (寄贈)
本資料には、外箱と内箱が付属し、内箱のふた表、軸の端裏の墨書では「子安観音」と書かれているが、像容から「鬼子母神像」とした。作者等不明であるが、園城寺には護法善神堂所在の鬼子母神像(重要文化財)があり、千団子祭りなどで賑わいを見せるなど、本市にゆかりの深い像と考えられる。
庄田家文書 一括 江戸から明治 (寄贈)
庄田家は、江戸時代、志賀郡北比良・南比良などで1千石を領した旗本。時代は、元和元年(1615)から明治4年(1871)までの全27件(内1件は系図コピー)。新しく賜った領地の石高分の田地を籤引きにて決定するなど、旗本領のしかも相給地の支配の実態がよく分かり、また指物(馬印)や歴代花押写しなども残されるなど、一括資料としては内容が充実している。
米谷徳太郎コレクション 絵葉書 一括 明治から昭和 (寄贈)
米谷徳太郎氏のコレクション。そのほとんどは明治から昭和(戦前)の絵葉書コレクションで、アルバム52冊に整理された戦争関係の貴重な絵葉書(セット物)や、未整理の同種絵葉書などからなっている。また京都の田中緑紅氏らと趣味人のグループを結成され、展覧会なども開いておられたようだが、メンバーからの年賀絵葉書(手描きのものを含む)を整理したアルバム34冊なども、同人の活動を示す資料として貴重である。絵葉書の内容に滋賀県関係は少ないが、明治から昭和の絵葉書の歴史や、戦争関係の写真データとしても希少価値のあるものと判断される
滋賀県ガイドブック全2巻の内第2巻 1冊 大正 (寄贈)
大正元年(1912)12月30日発行。編纂兼発行人は大津市太間町の北村重之助。序文には近江新報社社長や太湖汽船の専務取締役などの名前が見える。本資料は、上下二巻として発行されたものの、第二巻目。内容は、滋賀県庁旧庁舎や同物産陳列場、馬場停車場などの公共的建物と、県内の企業や個人商店、史跡などの写真と解説からなっており、全体で140ページを超える。
竹細工弁当箱 1点 明治 (寄贈)
明治時代、旅や物見遊山に際して携行された携帯用の弁当箱。外側は竹を編んだもので、開いた蓋や身の裏側は布張りされている。また内部はおかず入れなどに使用された入れ物が三段重ねに収納されており、底部の穴に通して固定するようになっている。当時のすぐれたアイデアが伺え、興味深い。
置洋灯 1基 明治 (寄贈)
木箱の蓋表に「空気置洋灯」、蓋裏に「明治三十四年十月 桑野儀次郎所有」と墨書されている。煤で汚れてはいるものの、本体もガラスの火屋も完全に残されている。製作時期も明治34年(1901)頃と分かるので、当時の風俗を知るうえで貴重と考えられる。