博物館の活動紹介
第44回 博物館の新収蔵品について(平成26年度)
博物館では、散逸しがちな地域の史料や文化財を積極的に収集・保存しています。今回は、平成26年度の新収蔵品を紹介します。
大津絵 鬼の念仏 1幅 江戸時代 (購入)
初期に属する大津絵の鬼の念仏。三井家旧蔵本と描写が一致する。宝永6年(1709)頃刊行の大津絵画題集の絵俳書『大津 追和気』から、二本爪の鬼念仏は17世紀末の登場が推定される。
頼光四天王図 紀楳亭筆 1幅 江戸時代 (購入)
与謝蕪村の高弟・紀楳亭による源頼光の四天王図。人物は、上から順に、卜部季武、坂田公時、渡辺綱、碓井貞光。大江山酒呑童子征伐を前に寄合った場面。師蕪村の俳画と見まがう作風。
大石五ケ村請所浜諸事留帳 1冊 江戸時代(寛政6年=1794) (購入)
近世前期から寛政6年に至る、関津浜の木柴舟運の諸権利をめぐる大石五ヶ村と関津村との争論の訴願書を写し留めたもの。『新修大津市史』以上の新事実が明らかになる史料。
江州滋賀郡両畑村春日大明神関係文書 21点 江戸−明治 (購入)
宝暦12年(1762)〜明治31年(1898)に至る、春日大明神の修繕・普請に関わる勘定帳を中心に、什物調べや氏神明細帳を含む文書群。湖南地域山村部の村落運営の実態に迫る史料群。
太湖汽船時刻運賃表他観光関係資料 5点 大正・昭和 (購入)
太湖汽船が発行した時刻運賃表及び乗客に配られた記念の栞と近江八景めぐりの案内パンフレット。特に時刻運賃表は、観光船だけでなく定期船の時刻と料金が記された貴重な史料。
山岡景友像 1幅 江戸時代(寄贈)
園城寺伝来の鉄山宗純賛(慶長9年=1604))山岡景友像を忠実に模した作品。17世紀の制作。大紋高麗縁(原本では剥落)の上畳で頭巾を被り菊桐文様の小袖に羽織袴姿で団扇を持つ景友像。
松鶴図 徳川綱吉筆 1幅 江戸時代(寄贈)
徳川第五代将軍綱吉(1646-1709)の作。「右大臣綱吉」の款記から、右大臣叙任の宝永2年(1705)3月5日以降の制作と判明。前年4月に逝去した長女・鶴姫の追善供養も兼ねた作品か。
三井寺の桜 柴田晩葉筆 1幅 大正時代(寄贈)
柴田晩葉(1885-1944)は、大津新町出身の日本画家。第6回・8回・10回・12回文展および第8回・第12回帝展に入選。熱心な地元の後援本作は見事な構図で三井寺観音堂の桜と石段を描く。
野寺昏鐘(やじこんしょう)図 横井不染筆 1幅 (寄贈)
横井金谷(1764−1832)の妻・不染(赤穂四十七士原惣右衛門の孫・藤右衛門の娘・ひさ女)によって描かれた希少な作品。金谷の名古屋時代(1800年前後)の影響が色濃い文人山水画。
幕末・明治期錦絵 8組 江戸−明治(寄贈)
国芳門下の歌川芳虎による役者絵見立ての近江八景をはじめ、二代歌川国貞による見立て源氏絵、さらに、明治の楊洲周延による懐古調江戸風俗画作品や友禅図案見本としての錦絵が含まれる。
伊勢参宮細見大全 1冊 江戸時代(明和3年=1766)(寄贈)
旅先に携帯する「袖珍版」。参宮大意、旅行吉日(たびだちよきひ)・凶日(あしきひ)などの他、京より参宮の行程、朝熊参詣、二見浦、多賀社参詣の各行程など、旅行ガイドブック的内容。
車石 3点 江戸時代(寄贈)
文化元年(1804)から翌2年、東海道の大津・京都間に敷設された牛車の通行用の車石。当初は「敷石」・「輪通り敷石」等と呼ばれたが、昭和初年頃から「車石」と通称。本資料は追分付近出土。
雄琴尋常小学校皆勤賞標 附 明治期教科書 21点 明治時代(寄贈)
雄琴尋常小学校の皆勤賞標。明治22年(1889)のもの1枚と、同26〜29年のもの18枚からなる。各々に、明治23年に発布された「教育勅語」に登場する言葉と物語の場面が色刷りされている。
栗本家所蔵資料 7点 明治−昭和 (寄贈)
堅田村竹端忠七商店「賣上帳」、大津絵猪口、大津品川亭徳利など。明治43年の『滋賀県写真帳』2冊は、大津市街、疏水閘門、瀬田川洗堰等および、県内各寺院の仏像・絵画等を各々掲載。
堅田浮御堂倒壊後写真 2点 昭和時代(寄贈)
昭和9年(1934)9月の室戸台風で倒壊した満月寺浮御堂(大津市本堅田)の古写真。倒壊後、建物の部材等が撤去された後で撮影された写真には、堂に渡されていた石橋だけが写っている。
昭和期観光案内関係資料 8点 昭和時代(戦前)(寄贈)
京阪電鉄・太湖汽船による琵琶湖観光やスキー船によるマキノ・朽木スキー場への案内チラシ。大津市案内、琵琶湖祭の開催告知ビラ等もある。
滋賀県観光絵葉書 一括 昭和から平成(寄贈)
比叡山名所、近江八景、琵琶湖八景など、戦前・戦後の絵葉書。袋に、訪れた年代や購入年代の記入や、「滋賀海軍航空隊十分隊」、「玻璃丸御乗船記念」のスタンプ押捺したものもある。
戦時想い出帳 1冊 昭和時代(戦前)(寄贈)
大津海軍航空隊を始め、舞鶴海兵団の同僚やラバウルでの運動会風景などの写真を貼ったノート。写真の裏面に、欠失が多いが、人名や説明が記されている。全38枚。
戦中・戦後教科書他教育関係資料 14冊 昭和時代 (寄贈)
国民学校から戦後の文部省・GHQまでの教科書。特に折り畳み式教科書は新聞紙大両面刷り・未製本の印刷物を生徒自身が折りたたみ製本する、昭和21年前期課程にのみ使用の貴重な資料。
停職滋賀県大津市長等国民学校長に係る嘆願書並びに奉安殿菊紋章 2点 昭和時代(戦後)(寄贈)
戦後GHQによる教職追放関係資料。長等国民学校長が不適格者との判定を受けた際、学区の住民約1,700名が連名で提出した追放免除の嘆願書と追放理由となった奉安殿の菊紋章。
瀬田中学校卒業アルバム 2冊 昭和時代(戦後)(寄贈)
1冊は瀬田に開校した新制中学校が、まだ「栗太郡栗南中学校瀬田校舎」と称していた昭和25年の発行。もう1冊は昭和28年発行で、校名は現在の瀬田中学校となっている。
中西家資料 33点 大正−昭和(寄贈)
大正・昭和期(戦前)の賞状や通知表などの学校関係資料28点。米や牛の品評会の賞状3点。写真アルバム2冊。大津市相模町が昭和30年代の国道開通で景観が変貌する様が記録される。