比叡山の東麓、坂本の高台に天台真盛宗の総本山、西教寺があります。寺伝によれば、飛鳥時代に聖徳太子が創立、平安時代には比叡山延暦寺の関連寺院として、慈恵大師良源と恵心僧都源信が復興したといわれています。また、鎌倉時代に入ると、慈威和尚恵鎮が京都の法勝寺の末寺とし、法勝寺流の戒律を重んじる寺として興隆をみました。さらに、室町時代の文明18年(1486)には真盛上人が入寺すると、上人を慕う人々が全国から集まり、不断念仏が行われるようになりました。このように西教寺は、念仏と戒律を重んじるという、天台宗の中でも独自の位置を占めるようになり、戦後に天台真盛宗として分立しました。
本年は、推古天皇30年(622)に崩御した、聖徳太子の1400年遠忌の年にあたります。さらに、比叡山延暦寺を創建し、天台宗をひろめた伝教大師最澄(822年入滅)の1200年遠忌の年にあたります。本展では、それを記念して、西教寺に伝来する文化財を紹介します。比叡山の麓に所在して、独自の天台宗文化を持っていた西教寺と、天台真盛宗の至宝をかつてない規模でご覧いただきます。
タイトル | 聖徳太子1400年御遠忌・伝教大師1200年御遠忌記念企画展(第85回企画展) 「西教寺 ―大津の天台真盛宗の至宝―」 |
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会期 | 令和3年(2021年) 10月9日(土曜)から11月23日(火曜・祝日)まで |
開館時間 | 午前9時から午後5時まで(展示室への入場は午後4時30分まで) |
休館日 | 月曜日、11月4日(木曜) 年間の休館日カレンダーをご確認ください |
会場 | 大津市歴史博物館 企画展示室A・B |
主催 | 大津市、大津市教育委員会、大津市歴史博物館、京都新聞 |
特別協力 | 天台真盛宗・西教寺 |
協力 | 三重県総合博物館 |
後援 | 朝日新聞大津総局、e-radio、NHK大津放送局、共同通信社大津支局、KBS京都、産経新聞社、時事通信社大津支局、(株)ZTV滋賀放送局、中日新聞社、日本経済新聞社大津支局、BBCびわ湖放送、毎日新聞大津支局、読売新聞大津支局 |
観覧料 | 一般:800円(640円)、高校生・大学生:400円(320円)、小学生・中学生:200円(160円) ※企画展観覧料で、常設展示もご覧いただけます。 ※()内は、前売り、15名以上の団体、市内在住の65歳以上の方、市内在住の障がい者と介護保険の要介護者・要支援者の方の割引料金(証明できるものをお持ちください)。 ※前売り券は、当館受付では10月8日(金曜)まで販売し、大津市内観光案内所(大津駅・石山駅・堅田駅前)では9月9日(木曜)から11月23日(火曜・祝日)まで販売。 |
以下から、チラシのダウンロードができます
企画展「西教寺 ―大津の天台真盛宗の至宝―」チラシ A4サイズ[1,922KB]
出品リスト(A4横・8ページ)[PDF:412KB]
※期間限定の展示品、会期中の展示入れ替えがありますので、ご注意ください。詳細はリストをご覧ください。
【出陳作品の一部変更についてのお知らせ】2021年10月20日
下記の通り、出陳作品と展示期間に変更がありましたので、お知らせします。
No.15-3「授戒三聖図(室町時代)」は、後期展示を予定していましたが、実物の展示は取りやめ、後期は写真パネルを展示します。
No.26「重要文化財 後土御門天皇宸翰真盛上人号」は、通期での展示を予定していましたが、前期のみとし、後期は写真パネルを展示します。
※出陳作品リストも、変更後の内容に改めておりますので、ご確認ください。急な変更となり、申し訳ございませんが、ご理解くださいますようお願いいたします。
会期中に、関連講座を開催します(有料・要申込)。
申込方法など、詳しくは講座・講演会情報をご覧ください。
2021年10月14日(木曜) 14時30分から16時まで |
「持戒念仏の生涯―真盛上人絵伝を垣間見る―」 講師:郷司泰仁氏(香雪美術館学芸員) |
2021年10月21日(木曜) 14時30分から16時まで |
「西教寺と寺社伝奏坊城家」 講師:五十嵐正也(当館学芸員) |
2021年11月10日(水曜) 14時30分から16時まで |
「伝教大師最澄の生涯と思想」 講師:井上優氏(滋賀県文化財保護課主幹) |
2021年11月18日(木曜) 14時30分から16時まで |
「天台大師をもちいる儀礼」 講師:西谷功氏(泉涌寺宝物館学芸員) |
聖徳太子の創建という西教寺は、平安時代に慈恵大師良源や恵心僧都源信によって復興されたといわれています。ここでは、謎に満ちた古代の西教寺について、縁起や関係する文化財を展示します。
戒光山西教寺縁起
享保3年(1718年) 西教寺蔵
聖徳太子像
室町時代 西教寺蔵
聖徳太子勝蔓経講讃図
南北朝時代 西教寺蔵
慈恵大師二童子像
室町時代 西教寺蔵
鬼大師坐像
江戸時代 西教寺蔵
鎌倉時代後半の天台宗における戒律復興の中で、西教寺は正中2年(1325年)、慈威和尚恵鎮(円観)によってさらに再興され、京都の法勝寺の末寺となりました。ここでは法勝寺ゆかりの宝物を紹介します。
重要文化財 薬師如来坐像(法勝寺伝来)
鎌倉時代 西教寺蔵
滋賀県指定文化財 慈威和尚像
延文元年(1356年) 西教寺蔵
授戒三聖図(法勝寺伝来)
南北朝時代 西教寺蔵
【展示期間:10月9日から10月31日まで】
重要文化財 日吉山王垂迹神曼荼羅図(法勝寺伝来)
鎌倉時代 西教寺蔵
【展示期間:11月2日から11月23日まで】
文明18年(1486年)、横川戒心谷の合衆が真盛上人に西教寺へ入寺することを要請したことにより、西教寺は真盛上人によって中興されました。ここでは西教寺に残る真盛上人ゆかりの宝物を紹介します。
滋賀県指定文化財 真盛上人像
文亀3年(1503年) 西教寺蔵
【展示期間:10月9日から10月24日まで】
真盛上人坐像
天正9年(1581年) 西教寺蔵
重要文化財 後土御門天皇宸翰真盛上人号
明応元年(1492年) 西教寺蔵
【展示期間:10月9日から10月31日まで】
阿弥陀三尊六字名号 真盛筆
室町時代 西教寺蔵
【ミニ企画展コーナーで10月12日から11月28日まで展示】
六字名号 真盛筆
延徳3年(1491年) 西教寺蔵
【ミニ企画展コーナーで10月12日から11月28日まで展示】
元亀2年(1571年)に起きた元亀の法難によって比叡山は焼き討ちされ、山麓の坂本にあった西教寺も一緒に焼失してしまいましたが、坂本城主明智光秀らの助力により再建されたといわれています。さらに、本寺の法勝寺が没落し、西教寺と併合することになりました。ここではこの時代の宝物を紹介します。
重要文化財 豊国大明神像(豊臣秀吉像)
慶長5年(1600年) 西教寺蔵
【展示期間:11月2日から11月23日まで】
重要美術品 前田菊姫像
桃山時代 西教寺蔵
【展示期間:11月2日から11月23日まで】
豊国大明神名号 豊臣秀頼筆
桃山時代 西教寺蔵
比叡山麓の天台宗関連寺院として、西教寺には多くの寺宝が現存しています。ここでは、[1]西教寺の仏像、[2]西教寺の絵画、[3]西教寺の書跡・歴史資料、[4]西教寺の工芸と、各分野の貴重な文化財を紹介します。
重要文化財 化仏 阿弥陀如来坐像(本尊)付属
平安時代 西教寺蔵
重要文化財 聖観音立像
平安時代 西教寺蔵
大津市指定文化財 阿弥陀如来立像(逆手)
鎌倉時代 西教寺蔵
薬師如来立像
平安時代 西教寺蔵
阿弥陀如来立像
鎌倉時代 西教寺徳乗坊蔵
重要文化財 釈迦如来像(持鉢釈迦)
鎌倉時代 西教寺蔵
【展示期間:10月9日から10月31日まで】
三千仏図
室町時代 西教寺蔵
重要文化財 観経変相図
鎌倉時代 西教寺蔵
【展示期間:10月9日から10月31日まで】
重要文化財 阿弥陀如来像
鎌倉時代 西教寺蔵
【展示期間:11月2日から11月23日まで】
重要文化財 阿弥陀如来像(迅雲弥陀)
鎌倉時代 西教寺蔵
【展示期間:11月2日から11月23日まで】
重要文化財 天台大師像
中国・南宋時代 西教寺蔵
【展示期間:11月2日から11月23日まで】
甘露図
朝鮮時代・宣祖24年(1590年) 西教寺蔵
【展示期間:10月9日から10月31日まで】
重要文化財 注大般涅槃経巻八
奈良時代 西教寺蔵
【展示中の巻替えあり】
重要文化財 無量義経疏
寛平7年(895年) 西教寺蔵
【展示中の巻替えあり】
重要文化財 扇面古写経
平安時代 西教寺蔵
【展示期間:10月9日から10月31日まで】
重要文化財 妙法蓮華経
平安時代 西教寺蔵
【展示中の巻替えあり】
花伝書
室町時代 西教寺蔵
千利休書状
桃山時代 西教寺蔵
浅野長政書状
慶長元年(1596年) 西教寺蔵
片桐且元書状
江戸時代 西教寺蔵
蝦夷古記
江戸時代 西教寺蔵
後陽成天皇綸旨 真円上人宛
天正19年(1591年) 西教寺蔵
重要文化財 鰐口
文永10年(1273年) 西教寺蔵
【展示期間:11月2日から11月23日まで】
人物文鏡
中国・金〜元時代 西教寺蔵
銅水瓶
南北朝〜室町時代 西教寺蔵
【展示期間:10月9日から10月31日まで】
南蛮硯箱
琉球王朝時代か 西教寺蔵
大津市内にある天台真盛宗寺院には、さまざまな文化財が伝来しています。そのなかから6件の宝物を展示します。
慈恵大師像
鎌倉時代 真野普門・光明寺蔵
地蔵菩薩坐像
南北朝時代 八屋戸・西福寺蔵
大津市指定文化財 釈迦三尊像
室町時代 京町・善通寺蔵