大津市歴史博物館

博物館の活動紹介

第51回 博物館の新収蔵品について(平成29年度)

 博物館では、散逸しがちな地域の史料や文化財を積極的に収集・保存しています。今回は、平成29年度上半期の新収蔵品を紹介します。



保永堂板 近江八景之内 瀬田夕照 歌川広重画  江戸時代 1枚(購入)

  

 歌川広重(1797−1858)が手掛けた近江八景のうち、傑作とされるのがこの〈保永堂・栄久堂板〉である。初摺りに近いホノルル美術館ミッチナー本と比べてもそん色なく、枠線の欠損箇所などは共通しているので、初摺りから、そう離れていない早い時期の摺りと思われる。

保永堂板 近江八景之内 瀬田夕照 歌川広重画

保永堂板 近江八景之内 瀬田夕照 歌川広重画



木屋仙右衛門家文書 江戸時代  93点(購入)

  

 膳所藩主第9代本多康将(やすまさ)から第20代本多康穣(やすしげ)による、内畑・外畑、両村の氏神である春日大明神への神領本資料は、発給者や宛先をみていくと、大津湊町の「木屋仙右衛門」あるいは「池田仙右衛門」とあり、商号屋号として「木屋」を用いた池田家に伝来した文書群であることが判明する。内容は多岐にわたるが、一つの商家の活動が知られるとともに、幕府や藩、寺院、流通(材木)など、大津町を多角的に照射することのできる貴重な史料群である。

木屋仙右衛門家文書

木屋仙右衛門家文書



居初家旧蔵文書 江戸時代 68点(購入)

  

 大津市本堅田の居初家に伝来した室町・戦国時代以来の古文書群。居初家は、中世以来の堅田諸侍の系譜を引き、江戸時代には「船道郷士」として琵琶湖の湖上交通に関わる特権を保持してその支配に関係した。当館が寄贈を受けた所蔵する居初家文書と関連する資料群である。堅田藩堀田家の書状が中心で、近世後期の堀田家と居初家をめぐる関係性が浮かび上がる。

居初家旧蔵文書

居初家旧蔵文書



琵琶湖天然瓦斯縁起 昭和時代〔昭和21年(1946)〕 1巻(購入)

  

 琵琶湖天然瓦斯株式会社について記した縁起絵巻。詞が久留島秀三郎(昭和鉱業社長)、絵が松宮左京(日本画家・初号は芳年)による。琵琶湖周辺の天然ガスは、戦中の燃料難により注目され、昭和30年頃までいくつかの会社が試掘や採掘を行なった。本社は大津市枡屋町。作品では、実際のガス採集や出荷の様子が、絵巻としてまとめられている。

琵琶湖天然瓦斯縁起

琵琶湖天然瓦斯縁起(ガスボンベの湖上輸送)



近江八景柄鏡 松岡豊前守藤原政重造 江戸時代 1面(受贈)

  

 鏡面の径は9p、柄長も8pの小振りな柄鏡。外出先に携行して使用された。鏡面裏には比良暮雪・堅田落雁・唐崎夜雨・石山秋月が陽鋳される。

近江八景柄鏡

近江八景柄鏡



目片六左衛門家文書 江戸〜明治時代 一括(受贈)

  

 大津市北大路の目片家に伝来した文書群。江戸時代〜明治時代の片岡家に関わる文書(土地売買等の証文類)と北大路御霊神社に関する文書群で、構成される。特に後者には、神社運営だけでなく、村慣行(養子や縁組)に関するものもあり、総じて北大路地域の村政を知る上で貴重な史料群である。

目片六左衛門家文書

目片六左衛門家文書



片岡伝四郎家文書 江戸〜昭和時代 一括(受贈)

  

 大津市田上森町の片岡家に伝来した文書群。文書は、片岡家が明治期まで宮大工であったことから、幕府大工頭中井家に提出した普請図面や願書、鑑札等で構成され、特に近世後期の田上不動寺の修復普請に関する資料が注目できる。

片岡伝四郎家文書

片岡伝四郎家文書



膳所藩砲術方松原家資料 江戸時代 18点(受贈)

  

 膳所藩の砲術方・松原家に伝わった資料。初代の松原万兵衛は、堺の砲術家で茶人としても知られる岸紹易(きしじょうえき)から砲術を伝授されて後、膳所藩に召し抱えられた。資料はいずれも江戸時代後期で、由緒書や藩主からの知行宛行状、砲術の相伝書、免許皆伝状など。

膳所藩砲術方松原家資

膳所藩砲術方松原家資料



大津市三共義勇消防団団旗 昭和時代 一式(受贈)

  

 三共義勇消防団は、戦時中、アメリカ軍による空襲に備えて大津市内で結成された消防団の一つと思われる。団旗とともに、旗竿、竿頭、収納ケース(いずれも当時のもの)が揃っている。

大津市三共義勇消防団団旗

大津市三共義勇消防団団旗



吉田氏戦時資料 昭和(戦前) 4点(受贈)

  

 平成21年に開催した企画展「戦争と市民」で展示した資料で、ご遺族からの寄贈。「忠魂」「祈武運長久」と各々書かれた日の丸の寄せ書き2枚の他、戦地で使用した飯盒(吉田班長の名前入り)や水筒からなる。

吉田氏戦時資料

吉田氏戦時資料



三品氏日の丸寄せ書き 昭和(戦前) 1枚(受贈)

  

 日の丸寄せ書きの元の所有者は、大津商業学校に在校中、16歳で軍隊に志願し、特攻隊編成を受けたが終戦によって戦死を免れた方。寄せ書きには名前だけではなく、「大商魂発揮セヨ」「見敵必殺」「散る桜、残る桜も散る桜」などの言葉も書かれている。

三品氏日の丸寄せ書き

三品氏日の丸寄せ書き



緑ヶ丘球場写真 昭和(戦前) 1枚(受贈)

  

 緑ヶ丘球場は、昭和2年7月に京阪電鉄が設置した球場。全国中等学校野球大会の京津予選が行なわれ、大会期間中には臨時駅(緑ヶ丘運動場前)も設置されたが、昭和17年頃には、食糧増産のために芋畑へと姿を変えた。写真は野球大会の開場式の様子を撮影したものと思われる。

緑ヶ丘球場写真

緑ヶ丘球場写真



浜大津・大津駅風景8ミリフィルム 昭和43年(1968) 1本(受贈)

  

 昭和43年9月から10月にかけて寄贈者が撮影した8ミリフィルム。国鉄が浜大津−膳所駅間で行なっていた、蒸気機関車による貨物輸送の様子と、におの浜で開催されていた「びわこ大博覧会」のための臨時快速電車「近江路」号が大津駅を出発する様子が記録されている。

浜大津・大津駅風景8ミリフィルム(浜大津−膳所駅間の貨物輸送)

浜大津・大津駅風景8ミリフィルム



大津祭龍門滝山模型 近代 1基(受贈)

  

 本資料は、三輪二層の大津祭曳山の特徴を持ち、滝を昇る鯉や李膺(りよう)の人形があることから、龍門滝山を現わしている。こうした模型の類例は少なく貴重な作品といえる。ただ、鉦を吊るしていることや、衣桁や装飾の様子も実際とは異なることから、観賞用として実見しないまま製作されたものと思われる。

大津祭龍門滝山模型

大津祭龍門滝山模型