大津市歴史博物館

博物館の活動紹介

第47回 博物館の新収蔵品について(平成27年度下期)

 博物館では、散逸しがちな地域の史料や文化財を積極的に収集・保存しています。今回は、平成27年度下期の新収蔵品を紹介します。



大津絵 座頭 1幅(購入)

 本作は、2枚継ぎのサイズであることと流暢な筆運びから、江戸時代中期、18世紀の半ばに制作されたと推定される。座頭は本来、琵琶法師や按摩師、鍼灸師ら、盲目の人々が形成した「当道座」の頭を意味し、職分に励み申請して認められれば、座頭から勾当、別当、検校への位階に進むことができた。後に、最も数が多い「座頭」は、琵琶法師や按摩師の代名詞となった。十種大津絵に選ばれた画題であり、ふんどしがゆるみ、犬にくわえられて混乱するのは、心がゆるんだせいと説く。

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大津絵 座頭



江辰板 東海道五十三次之内 石部 歌川広重画 1枚(購入)

山庄板 東海道五十三次之内 水口 歌川広重画 1枚(購入)

 歌川広重(1797−1858)の東海道五十三次シリーズの内、「行書東海道」と通称される揃物。石部では、宿場の境に築かれた見附土手、水口では宿場のはずれの木賃宿が描かれる。本揃物は当初、江崎屋辰蔵と江崎屋吉兵衛の両者から版行されたので、初摺には「江崎屋」「江辰」「江吉」いずれかの板元印があり、後摺の山庄板にそれはなく、絵草子掛名主の改印「濱」の円印が余白に入っている。

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江辰板 東海道五十三次之内 石部 歌川広重画

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山庄板 東海道五十三次之内 水口 歌川広重画



近江八景 唐崎 平塚運一画 1枚(購入)

 平塚運一(1895-1997)が手掛けた近江八景シリーズの一図。明治末から大正期にかけて、観光土産で様々な写真絵葉書が発行されると、それに触発されたように、今村紫紅や伊東深水らが、名作の近江八景図を相次いで発表した。本作は、それらに続く昭和初期の近江八景作品。紫紅画や深水画同様に、写真絵葉書から借用した構図でありつつ、前二者とは異なり、美化表現が抑制され、現状描写がなされている。大正9年に枯死した当時の唐崎の松がどのような状態であったのか確認でき、写真資料を補完する絵画資料である。

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近江八景 唐崎 平塚運一画



浅野長祚・脇坂安宅山上等巡見記(旧景山家文書) 4冊(購入)

 嘉永7年(1854)4・5月、京都町奉行浅野中務少輔による比叡山延暦寺巡見にあたり、対応した山門公人景山出羽の記録。応接した詳細を知ることができる。また、4冊のうち1冊は、京都所司代脇坂淡路守の唐崎から堅田までの巡見に対応した記録。

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浅野長祚・脇坂安宅山上等巡見記



江州志賀郡三井寺領五別所村御検地帳写 1冊 (購入)

 天保3年(1832)3月に写された、慶長7年(1602)の五別所村の検地帳。五別所村は、中世以来園城寺膝下寺領に含まれていたと考えられる村落。文禄4年(1595)の園城寺闕所の寺領没収によって延暦寺領となるが、慶長3年以降、再び園城寺領となる。本検地帳は、慶長7年の検地実施の歴史的事実だけでなく、近世に作成された各郷帳に記された五別所村高の実態(字・等級等)を知ることができる。

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江州志賀郡三井寺領五別所村御検地帳写



近江国滋賀郡木戸宿文書 21冊 (購入)

 木戸宿は、北国海道に設定された宿場の一つ。本文書は、木戸宿役人が諸方へ提出した願書の控えなど21冊から構成される。特に幕末期の文書が多く、宿運営に関係する文書(慶応3年〈1867〉、木戸・小松宿など合体)、文久3年(1863)の一橋(のちの徳川)慶喜とともに上洛した松平春嶽の北国海道通行に関する文書がある。

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近江国滋賀郡木戸宿文書



立葵紋瓦 2点(受贈)

 膳所の旧家解体時に取り出された鬼瓦と軒丸瓦。いずれも、膳所藩主本多家の家紋である立葵紋が配されており、鬼瓦には、膳所藩の御用達瓦師であった「(清水)九太夫」の名前が彫り込まれている。

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立葵紋瓦


藤野家近現代学校関係資料 61点(受贈)

 寄贈者の祖父が大正時代から昭和(戦前)にかけて、膳所小学校訓導、和邇・坂本各小学校の校長を勤められた方であることから、それらの学校の卒業記念写真や戦時中の国防献金奉仕団、運動会風景など、学校行事に関する古写真が多く含まれ、本市の教育の変遷が分かる。

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藤野家近現代学校関係資料


乗船札 2枚(受贈)

 現在の乗船券に相当する乗船札。明治前期の乗船札は、木製、紙製のものがあり、上席(上座)・並席(並座)の区分があった。木製乗船札の裏面には「彦根丸」の墨書があるものの、同名称の船は記録に見えず、「金亀丸」の別称と推測される。また、紙製乗船札の「長浜 長運丸」は、明治6年就航の蒸気船。

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乗船札料


第一回国勢調査記念録 一括(受贈)

 大正9年10月1日に執り行われた第1回国勢調査を記念して、調査員を中心とした関係者に配布された記念集。第1巻から3巻までの3分冊であるが、本資料は、第1巻が表紙と裏表紙のみで、本文を欠く。第2巻は、国勢調査に関する法令、従来の大日本帝国の各種統計データおよび列強各国のデータ、調査問答集など、国勢調査の概説とマニュアルの冊子であり、第3巻が、滋賀県下の調査員、郡国勢調査係員など関係者の記念写真集となっている。配達用箱と秩が付属。大正当時の統計行政資料である。

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第一回国勢調査記念録


陶製湯たんぽ 2点(受贈)

 戦時中、武器に使用するため金属類の供出が実施されたことから、代用品として陶製の日用品が多く登場した。今回、寄贈の申し出があったものは、大・小2点の陶製湯たんぽ。

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陶製湯たんぽ


戦時紀念朱塗盆 1点(受贈)

 戦地から無事帰還したときに、紀念の盃や、このような折敷が制作され、配られた。そのなかの一点で、表面に、陸軍の星のマークと、「義勇奉公」「紀念」の文字が書かれている。

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戦時紀念朱塗盆


木銃 1挺(受贈)

 寄贈者の従兄弟が、昭和19年頃、京都府の舞鶴海兵団で訓練に際して使用していた木銃。

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木銃


滋賀県行幸啓関係資料 4冊(受贈)

 昭和天皇が、終戦後の昭和21年から同29年にかけて日本全国を行幸する過程で、昭和26年の滋賀県行幸時に作成されたアルバム、及び昭和50年の全国植樹祭(金勝山)に際する天皇・皇后の行幸啓アルバム他関連資料。

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滋賀県行幸啓関係資料