大津市歴史博物館

展示・イベント

平成22年度-れきはく講座-

第456回れきはく講座(企画展関連講座)
良源の彫刻
講師:寺島典人(本館学芸員)

平成22年4月3日(土) 13:30〜15:00

 良源は、わが国に残る僧侶の肖像彫刻としては、古い作例が最も多く現存しており、日本の肖像彫刻を考える上では最重要人物です。しかしながらその研究は進んでおらず、謎だらけなのが現状です。講座では、最近行った調査の成果を紹介し、複雑な良源像の造像の様子を考えます。

第457回れきはく講座
住友家伝来の屏風にみる山王祭
講師:実方葉子(泉屋博古館学芸員)

平成22年4月10日(土) 13:30〜15:00

 湖国三大祭りのひとつにあげられる大祭の山王祭。その祭りの様子は、桃山時代から、絢爛豪華な屏風に描かれて記録され、また座敷の客の目を楽しませてきました。なかでも、住友家に伝わった海北友雪筆の屏風は、その最高峰であり、繰り広げられる祭りの興奮や場面を、最高の桟敷から眺めるかのように、手に取るように鑑賞できる作品です。その作品の見どころや詳細について、所蔵先の学芸員から解説をしていただきます。

第458回れきはく講座
仰木の村座と祭礼
講師:加藤 賢治(成安造形大学近江学研究所研究員)

平成22年4月17日(土) 13:30〜15:00

 比叡山麓に位置する仰木地区は、上仰木・辻ケ下・平尾・下仰木の四集落から構成され、全体の氏神として小椋神社がありますが、この四ケ村の氏神もまつられています。上仰木と辻ケ下の一部がまつる田所神社には親村(シンムラ)と呼ばれる村座があり、現在も伝統行事が行われています。また、5月3日の春祭 (泥田祭り)でも、村座が担う役割が見られます。
 伝統を今に伝える、仰木の祭礼とそれを担う組織(村座)について紹介します。

第459回れきはく講座
車石を探して歩こう【現地見学会】
講師:樋爪修(本館学芸員)

平成22年5月15日(土) 午後半日徒歩コース

 今からおよそ200年前の江戸時代後期、東海道の大津・京都間には、荷物を満載した牛車の通行に便利なように、敷石を、車輪の幅に並べるという大工事が実施されました。その敷石は「車石(くるまいし)」と呼ばれ、表面に車輪のわだちの跡が見られます。この車石は、今も大津・京都間の東海道沿いに点々と残されており、今回は車石を探して歩きます。「あれっ!こんなところにも車石が!」と、さぞ驚かれることでしょう。

第460回れきはく講座
戦国大名・京極一族とお江−大津城攻防戦の背景を探る−
講師:橋本 章(長浜市曳山博物館学芸員)

平成22年6月5日(土) 13:30〜15:00

 関ヶ原合戦の前哨戦として、西軍の進軍を遅らせ、東軍勝利の布石となった大津城攻防戦。この重要な戦について、浅井三姉妹と京極氏との関わりから解説します。

第461回れきはく講座(ミニ企画展「九老ワールド」関連講座)
古文書講座 紀楳亭の書状を読む
講師:樋爪 修(本館学芸員)

平成22年6月12日(土) 13:30〜15:00

 当館には紀楳亭(九老)の書状20通があります。気の置けない俳諧仲間に宛てたと思われ、普段の言葉使いで活き活きと、雪景色の街の様子や、その情景に触発された俳句、句の出来についての評価や俳諧仲間たちを気にする様子などが綴られています。その楽しい書状をテキストに古文書解読をしてみましょう。ただし、かなり難読です。

第462回れきはく講座(ミニ企画展「九老ワールド」関連講座)
紀梅亭の俳諧活動−与謝蕪村の前後−
講師:竹内 千代子(聖トマス大学人間文化共生学部准教授)

平成22年6月19日(土) 13:30〜15:00

 楳亭(俳号は梅亭)は蕪村の門弟として知られていますが、それはもっぱら画についてです。句作については、蕪村宛書簡で「とんと発句のない男にて候」と言っています。そんな梅亭が俳諧に目覚めたのは、大津に移住の後です。画に句を添える機会も重なり、やがて時雨会(芭蕉忌の追善俳諧興行)に一座して句を詠むようになります。大津の俳人資料を辿りながら、俳諧に傾斜していく梅亭の軌跡を追っていきます。

第463回れきはく講座(ミニ企画展「九老ワールド」関連講座)
古文書講座 文人画の賛を読む−紀楳亭を中心に−
講師:伊東 宗裕(京都市歴史資料館歴史調査担当課長)

平成22年7月17日(土) 13:30〜15:00

 蕪村の弟子であった期間に楳亭(九老)が描いた文人画作品は、わずかしか残っていません。大津に移住してからの作品が遺作の大部分を占めています。従って、彼の文人画に賛をする人物も、大津の友人が中心です。
今回は、楳亭作品の賛をテキストに、京都の文人・学者と違って、大津の文人や俳諧仲間の手がけた漢詩文や仮名を、読解していきます。

第464回れきはく講座 【夏休み特別親子講座】
拓本に挑戦!(小学生とその保護者対象)
講師:青山 均(本館学芸員)

平成22年8月12日(火) 午前の部10:30〜12:00 午後の部13:30〜15:00

 小学生対象の考古学講座です。古代の瓦や土器、昔のお金などの拓本を採ります。湿拓(しったく)という本格的な方法での挑戦です。みなさんの家にあるメダルやコインの拓本も採れます。これで夏休みの宿題もバッチリ!

第465回れきはく講座
地獄めぐり
講師:小栗栖健治(兵庫県立歴史博物館館長補佐)

平成22年8月14日(土) 13:30〜15:00

 死後の世界を描いた地獄絵は大変興味深い資料です。地獄絵は、悪いことをした人が、あの世で舌を抜かれたり、釜ゆでにされたりする場面を描いており、倫理観や道徳観を培う点で大きな効果がありました。一方、そこに私たちの暮らしの起点が見えてきます。それを解説します。

第466回れきはく講座(ミニ企画展「大津・戦争・市民」関連講座)
秘蔵映像 琵琶湖の水上飛行機訓練風景
講師:安藤敏行(航空史研究家)・樋爪 修(本館学芸員)

平成22年8月21日(土) 13:30〜15:00

 戦前、市内馬場一丁目の湖岸にあった天虎飛行訓練所では、若者たちが水上飛行機の訓練に汗を流していました。本講座では、訓練の全貌や琵琶湖、市内の各地を撮影した貴重フィルムを初公開するとともに、当時の古写真も交えながら、戦時下の大津について語ります。

第467回れきはく講座(ミニ企画展「館蔵名品展」関連講座)
絵画作品に見える琵琶湖の船
講師:和田光生(本館学芸員)

平成22年9月18日(土) 13:30〜15:00

 湖と山々が織りなす近江の景観は、古くから名所図会などの画題に取り上げられ、その湖上には必ず船が描かれています。琵琶湖の船は丸子船に代表されるように、独特の木造和船が浮かんでいましたが、その歴史はよくわかっていない面があります。本講座では、絵画作品に描かれた船の形を手がかりに、琵琶湖の船の歴史を考えます。

第468回れきはく講座
歴博館長と巡る唐橋と近江国庁跡【現地見学会】
講師:松浦俊和(本館館長)

平成22年9月25日(土) 午後半日徒歩コース

 壬申の乱の舞台となった瀬田橋、そして整備が進む近江国庁跡を中心に、それらに関わる神社や史跡などを巡ります。

第469回れきはく講座(企画展「大津 国宝への旅」関連講座)
天台系の両界曼荼羅について
講師:入江多美(アサヒビール大山崎山荘美術館学芸員)

平成22年10月16日(土) 13:30〜15:00

 密教美術の代表的なものとして有名なのが「両界曼荼羅」です。胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅からなり、密教の教主、大日如来の教えを体系的に表した図です。日本の密教は、空海の始めた真言宗(東密)と、延暦寺・園城寺などの天台宗(台密)のふたつの流派があります。今回の講座では、そのなかでも天台系曼荼羅の特徴について、わかりやすく解説します。

第470回れきはく講座(企画展「大津 国宝への旅」関連講座)
三井寺の仏教美術について
講師:石川知彦(龍谷大学龍谷ミュージアム教授)

平成22年10月23日(土) 13:30〜15:00

 大津市を代表する寺院のひとつ、園城寺(三井寺)は、天台寺門衆の総本山として朝廷や貴族の深い帰依がありました。そのため、国宝彫刻3件、(滋賀県下4件中)や国宝絵画2件(滋賀県下中)をはじめとして、膨大な数の宝物が今なお伝来しています。一昨年に行われた「国宝三井寺展」の担当者として、三井寺の仏教美術の魅力をお話します。

第471回れきはく講座(企画展「大津 国宝への旅」関連講座)
聖衆来迎寺本『六道絵』について
講師:加須屋 誠(奈良女子大学教授)

平成22年10月30日(土) 13:30〜15:00

 比叡山の恵心僧都源信が記した「往生要集」には、死後、中陰において閻魔王などの十王に裁かれ、現世の行いによって六つの世界に生まれ変わるとあります。その輪廻転生の様を描いたのがこの「六道絵」です。聖衆来迎寺本の六道絵は、その凄惨な地獄の描写で有名で、日本を代表する地獄絵として知られています。今回の講座では、その内容と魅力についてお話します。

第472回れきはく講座(企画展「大津 国宝への旅」 特別講演会)
国宝修理の意義と実践−仏像修理を中心に−
講師:藤本一

平成22年11月6日(土) 13:30〜15:00

 国宝をはじめとする文化財は、何度も先人の手によって修理を受けています。つまり多くの人々によって、長い間大事に護られてきたから、国宝は、いま我々の目の前にあるのです。今回の講座では、国宝を修理することの意義と、具体的な内容について解説します。

第473回れきはく講座(企画展「大津 国宝への旅」関連講座)
比叡山の仏画について−新出の高麗仏画を中心に−
講師:郷司泰仁(比叡山国宝殿学芸員)

平成22年11月13日(土) 13:30〜15:00

 比叡山延暦寺には、たくさんの文化財が伝来していますが、今なお知られていないものも多くあります。今回紹介する絹本著色阿弥陀如来八大菩薩像は、最近の山内調査で発見されたもので、朝鮮・高麗時代の大きな仏画です。高麗仏画は、朝鮮半島を代表する絵のひとつですが、世界で100幅ほどしか知られていない希少な絵です。その大幅比叡山から見つかったのは、延暦寺の宝物の国際性を示しているといえます。本講座では、その魅力を解説します。

第474回れきはく講座(企画展「大津 国宝への旅」関連講座)
大津の国宝建築について
講師:村田信夫(Office 萬瑠夢代表・元滋賀県文化財保護課)

平成22年11月20日(土) 13:30〜15:00

 大津市内には、延暦寺、日吉大社、園城寺、石山寺などの古社寺があり、9件11棟の国宝建造物をはじめ、多くの建物が重要文化財などの指定文化財になっています。今回の講座では、先人たちの努力によって伝えられてきた、これらの古建築の魅力や特徴を紹介します。

第475回れきはく講座
近江八景ヒストリーツアー【現地見学会】
講師:横谷賢一郎(本館学芸員)

平成22年11月27日(土) バス一日コース

 現代的な「観光地」は、現地の景勝を愛でれば、それで来訪した目的を達成したことになりますが、近江八景は、観光地とは、ひと味もふた味も違う「名所」なのです。八景の各情景には、歴史的背景や文学的エピソードなど、名所ならではの歴史的付加価値情報がいくつもあります。今回の現地見学会では、それらの名所の背景や名所たる所以を解説します。本来の、あるべき名所めぐりに皆さんをご案内します。

第1回 開館20周年記念リレー講座(第476回れきはく講座)
大津事件研究の120年
講師:樋爪 修(本館学芸員)

平成23年1月15日(土) 13:30〜15:00

 明治24年(1891)に大津事件が発生してから約120年が過ぎました。その間、この事件の評価をめぐって司法の立場、歴史の立場から、様々な研究が出されましたが、本講座では、過去の大津事件研究を振り返るとともに、現在施行されている裁判員制度も絡め、今後の研究課題についても触れていきます。

第2回 開館20周年記念リレー講座(第477回れきはく講座)
大津絵まるわかり講座
講師:横谷 賢一郎(本館学芸員)

平成23年1月22日(土) 13:30〜15:00

 歴史ある大津のキャラクターである大津絵。その歴史にはじまり、数々のキャラクターの紹介と解説、そしてキャラクターに込められた意味や護符としての効能など、大津絵全般を、わかりやすく解説します。

第3回 開館20周年記念リレー講座(第478回れきはく講座)
瓦礫も宝 その3
講師:青山 均(本館学芸員)

平成23年1月29日(土) 13:30〜15:00

 古代瓦の入門の第3弾。今回は、まだまだ解明されていない大津の瓦の謎について紹介し、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。

第4回 開館20周年記念リレー講座(第479回れきはく講座)
古代の道路について
講師:須崎 雪博(市文化財保護課長)

平成23年2月5日(土) 13:30〜15:00

 古代の道路については、まだ、未知の部分が多いですが、最近の調査で道路跡と見られる遺構が確認されてきています。今回は、大津市内で検出された道路を中心に関連する問題について紹介していきます。

第5回 開館20周年記念リレー講座(第480回れきはく講座)
近江国府の最新調査成果!
講師:西中 久典(市文化財保護課技師)

平成23年2月12日(土) 13:30〜15:00

 近年の調査で様子が明らかになってきた中路遺跡や、今年度行った近江国庁の東隣における調査をはじめとする最近の調査から、近江国府の様子について考えてみたいと思います。

第6回 開館20周年記念リレー講座(第481回れきはく講座)
古写真の魅力
講師:木津 勝(本館学芸員)

平成23年2月19日(土) 13:30〜15:00

 写真はその瞬間の景色を切り取ることで、町の様子や暮らしぶりを後世に伝えることができます。今秋に開催した「大津百町大写真展」で紹介した展示作品から、古写真の魅力をご堪能いただくとともに、記録することの意義を考えます。

第7回 開館20周年記念リレー講座(第482回れきはく講座)
山王秘密社参について
講師:和田 光生(本館学芸員)

平成23年2月26日(土) 13:30〜15:00

 江戸時代、日吉社では山王秘密社参と呼ばれる儀礼が行われていました。これは、深夜に、坂本・下阪本の社・聖地や日吉社境内を巡礼する神道儀礼です。講座では、他に類例を見ないこの儀礼の実態を探ります。

第8回 開館20周年記念リレー講座(第483回れきはく講座)
大津百艘船と高札
講師:杉江 進(市文化財保護課副参事)

平成23年3月5日(土) 13:30〜15:00

 江戸時代に琵琶湖水運の中心に位置した大津は、大津城主や大津代官から与えられた高札により、他浦からの入船に荷物・旅人を積ませないという特権を得ていました。本講座では、高札文言の変遷から、大津浦の盛衰を検討していきます。

第9回 開館20周年記念リレー講座(第484回れきはく講座)
三井寺の仏像
講師:寺島 典人(本館学芸員)

平成23年3月12日(土) 13:30〜15:00

 天台寺門宗総本山園城寺(三井寺)は、多種多様の仏像が造られたことで有名です。今回は、国宝木造智証大師坐像(御骨大師と中尊大師)を中心とした豊富な現存作例について、複雑な歴史背景とともに紹介します。

第10回 開館20周年記念リレー講座(第485回れきはく講座)
長岡京・平安京遷都と大津-桓武天皇の登場−
講師:松浦 俊和(本館館長)

平成23年3月19日(土) 13:30〜15:00

 奈良時代の終わりに桓武天皇が登場し、都が平城京から長岡京、そして平安京へと遷ります。この遷都が大津に与えた影響は非常に大きく、その変化の様子を遺跡や遺物から紹介します。

企画展「柴田晩葉」関連講座(第486回れきはく講座)
水野藩と近江そして柴田家
講師:小森 重紀(早稲田大学国際情報通信研究センター研究員)

平成23年3月26日(土) 13:30〜15:00

 天保改革の指導者・水野忠邦ゆかりの水野藩は、版籍奉還後、山形から飛び地の所領の浅井郡へと転封となり、朝日山藩となります。水野藩に御茶頭として仕えていた柴田家も、共に近江へ移り、廃藩置県後は、円満院門跡に仕える一方、滋賀県の教員免許第一号を与えられました。本講座では、柴田家を中心に、幕末から明治にかけての教育史を解説し、晩葉という人物の背景に迫ります。