大津市歴史博物館

展示・イベント

   

平成23年度


大津市埋蔵文化財センター開設15周年記念企画展(第55回企画展)
地中からの贈りもの−遺跡が語る大津−
平成23年 7月23日(土)〜8月28日(日)

 大津は、琵琶湖の豊かな水と周囲の山々の緑に恵まれ、原始古代から人々が生活を営んできました。そして、その人々の生活の跡は大地に刻まれ、遺跡として地中に眠っています。現在、大津市内の遺跡は約400箇所を数え、その時代は旧石器時代から現代にまで及びます。
 近年、各種開発工事に伴う発掘調査が活発に実施されるようになり、多くの重要な遺跡が発見されるようになりました。この発見された遺構・遺物は、私たちに先人の歴史を語りかけてくれる貴重な文化財であり、後世の人々に伝えていかなければなりません。
 本展では、大津市内の発掘調査で出土した旧石器時代の遺物をはじめ、戦国時代の浅井三姉妹の一人、お初ゆかりの大津城跡の遺物など、よりすぐりの資料を展示し、出土資料から大津の歴史に迫ります。
企画展「地中からの贈りもの」の詳細

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三館連携特別展「神仏います近江」 大津会場
日吉の神と祭
平成23年 10月8日(土)〜11月23日(水・祝)

 湖国三大祭の一つ、近江の春を彩る日吉大社の山王祭をテーマにした企画展です。山・里・湖で華やかにくりひろげられる山王祭は、その景観とあいまって人々を魅了し、絵画の画題にも取上げられ、多くの作品が残されてきました。また、日吉の神々は、延暦寺の守護神として崇敬をうけ、神と仏が融合した独特の世界を作ってきた社としても知られています。本展では、日吉社の歴史を紐解くとともに、江戸時代の山王祭にかかわる作品を中心に、人々が神々に捧げてきた祭への情熱の一端を紹介します。
企画展「日吉の神と祭」の詳細

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三館連携特別展「神仏います近江」について
 この展覧会は、MIHO MUSEUM・滋賀県立近代美術館・大津市歴史博物館が共同し、3館を会場として、近江の伝統的な宗教文化の全体像に3つの視点から迫ろうとする初めての試みです。
 第1部はMIHO MUSEUMの「天台仏教への道ー永遠の釈迦を求めてー」。釈迦なきあとの大乗仏教の展開と伝教大師・最澄が比叡の霊峰に天台宗を立て、円仁・円珍らの活躍でこれが確立されてゆく様子を仏像・仏画などを中心に概観。滋賀県立近代美術館では、「祈りの国、近江の仏像ー古代から中世へー」として、平安時代を中心とする仏像・神像などを展示。加えて当館の展覧会となります。
 この秋は、3館を巡って近江の神仏の世界をご堪能ください。


第57回企画展
大津百町大写真展2011−マチを記録すること−
平成23年 10月22日(土)〜11月6日(日)

  昨年秋、地域で活動する団体と共同で、大津百町を会場として、「大津百町のむかしといま」をふりかえる展示・イベントを行ないました。今回はその第二弾。題して「大津百町大写真展2011」。  本年も昨年同様、大津の中心市街地、通称「大津百町」の昔と今の姿にふれていただき、そこに、みなさんの記憶をまた新たに加えることで、大津百町の過去と現在の記録を作り上げることを目的としています。会場内で繰り広げられる懐かしい風景や現在の大津百町を切り取った写真をお楽しみいただくとともに、これを機会に百町内のまち歩きをお楽しみいただければ幸いです。
◇会場について
大津百町一帯(旧大津公会堂・大津祭曳山展示館・スカイプラザ浜大津・大津百町館)
(博物館ではありません)

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第58回企画展
車石−江戸時代の街道整備−
平成24年 3月3日(土)〜4月15日(日)

 江戸時代後期、東海道大津−京都間に敷設された「車石(くるまいし)」は、牛車による物資輸送を円滑にするための画期的な土木工事でした。現在、街道筋に牛車の轍跡(わだちあと)の残る車石が数多く残されていますが、工事の実態は未解明な点が多く、謎に包まれています。
本展では新資料の「車石普請絵図」を中心に、関連する貴重な資料により工事の実態に迫るとともに、江戸時代の街道整備の全体像を紹介するなかで、あらためて大津宿の重要性を見直そうとするものです。
企画展「車石」の詳細

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ミニ企画展

大津事件120年記念ミニ企画展(第90回ミニ企画展)
大津事件と津田三蔵
平成23年 4月26日(火)〜5月29日(日)

 明治24年(1891)5月11日、来日中のロシア皇太子ニコライが大津遊覧中、沿道を警備していた巡査津田三蔵に斬りつけられました。これが、後に日本全体を揺るがすことになる大津事件の発端でした。本年は、事件発生120周年にあたることから、事件関係の様々な資料を展示します。
 まず、津田三蔵が犯行に使用したサーベル。このサーベルは、日本刀を仕立てなおしたもので、先端近くには刃こぼれも残り、ニコライの血染めのハンカチとともに、生々しい事件の様子を雄弁に語ってくれます。また、事件現場の見取り図や関係者の訊問記録を含め、滋賀県指定文化財として保存されています。また、津田三蔵の手紙は達筆で、言葉使いも巧みであり、教養の深さが見てとれるものです。その他、ニコライは現場で応急手当を受けますが、その場所となった永井家に残された名刺帳には、事件後に同家を訪問したロシア士官や青木周蔵外務大臣、ニコライを助けて勲章と褒賞金が下付された人力車夫などの名刺が残されています。また最高裁判所に保存されている大審院判決書の写しなど、一級の関係資料によって、大津事件の全体像に迫ります。


金谷生誕250年記念ミニ企画展( 第91回ミニ企画展)
横井金谷−奇僧が描いた文人画の世界−
平成23年 5月31日(火)〜7月10日(日)

 江戸時代中期の文人画の大家、与謝蕪村に私淑して、蕪村風の山水画を多く残した画僧・横井金谷(1761-1832)は、画人・僧侶以上に奇人でもありました。世事にしばられず気の赴くままに諸国を遊歴しては、滞在先で作品を残しました。シーボルトの弟子で、日本の近代植物学の泰斗、伊藤圭介(1802-1901)が、父親と親しかった金谷の様子を語っています。それによると、名古屋の自宅に金谷が時々来訪すると、近所の人々が話を聞きに寄り集まり、金谷もそれに応え、「劇談雄弁常に海内の奇を吐き、満座を喫驚せしめたり」したようです。さぞかし、全国津々浦々の興味深い話をおもしろおかしく語る金谷の話術に、人々は驚きや興奮の声をあげていたのでしょう。しかし、ひとたび作品を描けば、金谷は、奔放に筆を走らせて激しい風雲の中に聳える山水を描き、または静寂さをたたえた渓谷を手がける人物でした。一方で、マンガチックな略筆で、当時の市井の風俗や人物を描いており、好奇心の旺盛ぶりも作画に発揮しています。
 本展では、大津ゆかりの個性あふれる金谷の生誕250年を記念して、30点前後の作品を展観します。魅力的な作品の数々を楽しんでください。


第92回ミニ企画展
大津・戦争・市民
平成23年 7月12日(火)〜9月4日(日)

 昨年度に引き継き、市内等に残された戦争関係資料によって、戦時下の大津と市民の様子について振り返ります。本年は、銃後の市民生活とともに、別所に駐屯していた陸軍歩兵第九連隊や、同じく別所の地に設置された陸軍少年飛行兵学校、また馬場の湖岸にあった天虎飛行研究所(訓練所)など、市内に所在した軍事関係施設についても紹介します。展示で扱う時代としては、第二次世界大戦前後に焦点を当てますが、第九連隊は、明治8年(1835)別所に駐屯して以来の歴史があることから、第九連隊の日露戦争従軍関係資料も、前史として展示します。また、天虎飛行研究所は、昭和10年(1935)に設置された水上飛行機の訓練所ですが、その出身者の方たちから提供された貴重な当時の写真なども、パネルによって紹介します。
 次に、銃後の市民生活としては、戦争への協力体制を教化するために使用された戦時教育紙芝居や国民学校の教科書、子供たちに戦争へのあこがれを持たせた、戦車や戦闘機の絵を描いた子供茶碗、政府からの通達などを記した町内会の回覧板、さらには、銃後の不自由な生活の象徴であった衣料切符や家庭用品購入切符、戦争遂行の費用調達に利用された戦時国債など、さまざまな資料を展示することで、あらためて平和の大切さについて学べるような展示とします。


第93回ミニ企画展
新収蔵品展
平成23年 9月6日(火)〜9月25日(日)

 今回は平成22年度に、購入及び受贈によって新たに当館に収蔵された資料の数々を紹介します。
 今回の購入資料の一つの特徴としては、江戸時代後期の浮世絵師として知られる歌川広重の東海道五十三次シリーズが含まれていることです。広重は生涯に二十数種類の東海道シリーズを世に送り出していますが、そのなかの代表的な作品である、隷書、行書、狂歌入り各シリーズのうちの大津宿の図が一級資料として挙げることができます。隷書版東海道では大津絵を売る店の風景、行書版と狂歌入りの東海道では、石場港の風景が描かれており、江戸時代の大津の風景を彷彿とさせてくれます。是非ご期待ください。
 一方受贈資料としては、現在、都市計画道路の開通によって風景が一変した、大津赤十字病院周辺の古絵図。これは市内の風景の変遷を跡づけることのできる貴重な資料です。また、明治天皇の皇后が東京から京都まで行啓したときの記録には。大津宿での行程も詳しく書き込まれています。その他、平野一丁目、西光寺の大きな屋根瓦など、バラエティーに富んだ資料の数々をご覧いただきます。

平成22年度の収蔵品について


第94回ミニ企画展
趣味家謹製!! 辰年の年賀状
平成23年 11月25日(金)〜平成24年 1月15日(日)

 大正・昭和のコレクターたちが交換会などを通じて制作した「道楽絵はがき」。今回は米谷徳太郎コレクションの中から、昭和15年(1940)辰年の木版年賀状をご紹介します。
 ちなみに左の年賀状は、浦島太郎の昔話に登場する玉手箱をあしらったもので、玉手箱を受け取った竜宮城から辰年の図柄に用いたようです。このように、趣味家たちが年賀状交換会のために、洒落や見立てに知恵を絞って考案した年賀状をお楽しみください。


第95回ミニ企画展
大津の仏教文化12 西教寺の仏画
平成24年 1月17日(火)〜3月11日(日)

 天台真盛宗総本山の西教寺は、比叡山麓の坂本五丁目に所在する寺院です。このあたりは坂本でも北に位置し、坂本の中心地と比叡山横川飯室谷の間にあたります。聖徳太子の建立という伝承を持ち、平安時代には延暦寺を我が国の最大寺院に創り上げた慈恵大師良源が復興したといいます。さらに、鎌倉後期には、円頓戒を重視した慈威和尚円観が西教寺に住み、天台戒律の寺として、京都・法勝寺とともにこの流派の寺院として興隆します。そんななか、独特の念仏をとなえた真盛上人が、室町時代に横川の僧侶に請われて、西教寺に入寺します。独自の教義に沿った念仏集団としてその後興隆していきました。
 本寺は、比叡山伝来の数々の宝物が伝来していることで知られており、中でも仏画類は、「迅雲弥陀」と呼ばれる来迎図や、2メートルを超える阿弥陀来迎図、さらには当麻曼荼羅(観経変相図)などの鎌倉時代の浄土教絵画は重要文化財として著名です。それ以外にも多くの仏画が伝存しているのですが、未指定のものはあまり紹介されていないのが現状です。
 本展は、今まで展示されることの少なかった西教寺の大量の未指定の仏画のなかから、祖師に関わる絵画を展示します。

「西教寺の仏画」の詳細